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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

スピンオフ“戦戯嘘はどこにも存在しないと私だけが知っている”

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スピンオフ“戦戯嘘はどこにも存在しないと私だけが知っている”

リアクション

■それぞれの影(1)


「すごいことに、なっている……」
 真っ白い世界で、静かにびっくりしているのはリリィ・エーベルヴァインだった。
「チョコ、おいで」
 リリィはそばにいた星獣のトランペット犬【≪星獣≫チョココロネ】に手を差し伸べる。

 リリィはたまたまこのゆうの家の近辺にいた。
 染まり始めた紅葉を見ながら、チョコとピクニックをしていたのだ。
 そしてこの異変に気づき、気づけば解除に参加することになっていた。
「わととっ」
 リリィがよろける。
 先ほどからこの不思議な白い空間とその足元は、不安定この上ない。
 変動する地面に向けて、チョコが【≪星獣≫グラウンドアタック】。
 動き続ける地面を叩いて衝撃波を発生させてリリィを助ける。
「ありがとうチョコ。早く、ピクニックに戻ろうね」
 しかしなかなかそうもいかず。

 ゆらり……  

 突然地面から、リリィが現れた。
 本当に、見た目はリリィにそっくりだった。
「これが、影」
 リリィはしげしげと自分そっくりの影を見る。
「私はお昼寝前で眠い。だから、後悔の記憶どころじゃないはず」
 リリイの影は、少し困った雰囲気でリリィを見つめる。
 まるでリリィの頭の中を探っているように。
「あ……」
 リリィが、ほんの少し眠気の覚めた顔になった。
「そんなのは嘘」

 影はねつ造の恥ずかしい後悔の記憶をリリィに植えつけてきた。
「いくらなんでも、あれは絶対、食べていない」

 リリィは反論しつつ、【氷雪の武威】で手元に冷気と霰を纏った。
 そして【氷刃乱舞】。無数の小さな氷の刃で影や白い空間を攻撃する。
 影が同じことをしてきたので、【アーククリスタル】で防御する。
「じゅるる。確かにちょっと、興味ある……で、でも絶対、食べていない」

***

「ちょっとちょっと。一体何を食べて、どうなちゃったの?」
 リリィに声をかけたのは天地 和だった。
「あっ……危ない。後ろ」
「なぁに?」
 リリィの緊迫感の薄めな声に、和がのんびりと後ろを振り返る。
 そこにいたのは、和にそっくりの影だった。
「ああぁぁ、後悔の記憶、キター!」
 和が悶え出す。
「そっそうよ正直に白状しよう。『あの時、あそこであの牌を切ってれば』これがわたしの後悔! ああ、もーちょっとでいい手で和了れたのに逆に振り込んでしまうとはー!?」
 和が涙ながらに後悔を吐露したあと、ビシっと己の影を指さした。
「で、わたしの影なんだからそっちも麻雀アイドルってことよね。だったらやっぱり、ここは麻雀で戦うのよ!」

***

 戦うリリィと和を気にしながら、弥久 風花は現れた己の影と向き合っていた。
「あ……」
 影から何かを感じ取った風花が、はあっとため息をもらす。
 心の中に脳の中に、それがなだれ込んできたのだ。
「くっ……なんてリアルなの?」
 
 風花の後悔は、【初陣の苦い思い】。


  ちょっと鍛えて、
  異世界からのモンスターを相手に木刀で突っかかって行った中学1年の夏休み
  殺す為の武器も持たず、普段着で、負けた時の事を想像すらしないで挑んだ惨敗
  手足を折られて、何も出来なくなってからやっと後悔したわ……
  でも一番後悔したのは、そんな私を助けようとしてお父さんが重傷を負った事ね……


 過去の後悔に胸を鷲掴みにされていた風花だったが、まわりで戦うリリィや和を見て、ハッと目を見開く。

「世界が亡くなっちゃったら【自分】って言うのも亡くなっちゃう、それもその世界の全ての生き物が!」

 【ファンタジックアーマー】に身を包んだ風花は【ライアーズツインソード】を手に二刀流の構えをする。
 影の風花も同じ二刀流の構えをとった。
「何が阻んでも絶対に世界を亡くさせたりなんてしないわ!」
 風花のソードが、影を責めて、攻めて、攻めまくる。
 不利な地形での戦いによってダメージを受けても【高速なる再生】で出来る限り回復。
 さらに風花は、【二次元キャラ:[魔女見習い]クロウ】を呼ぶ。
 召喚されたクロウは、地形の不利さに苦労しながらも、雷の球体を後方から飛ばして風花を援護。
 影の動きが鈍った隙に。
「ラッシュラッシュラーッシュ!」
 【エンディングスラッシュ】で一気呵成にラッシュを仕掛ける。

 風花の猛烈な戦いを見ていたリリィと和は、その気迫に背を押された。

***

 リリィは目の前の自分の影をにらんだ後、
「私は、チョコとピクニックに戻ってお昼寝するのっ」
 一気に【智者のサーベル】で影を斬りつけた。
 影がパチンと弾け、真っ白い世界にカラフルな色が飛び散り……そこには、カラフルなリリィの姿が描かれている。

***

 和は、クラリティアイドルのスタイルで影と麻雀バトルを繰り広げている。
 影には光。敵は自分の影……
 つまり自分と同じ能力ならばスタイルの対応世界の違いよりも、どれだけ自分らしく戦えるかが重要になるはず、その気持ちからだった。
 
「見せてあげるわ! 光のアイドルの光の麻雀バトル!」
 和は決めポーズのごとくビシィィィッ! と牌を持った右手を高くあげた。
 その隙に左手で牌を【メレンゲ麻雀牌】とすり替える。
 明らかなイカサマ行為であったが、和には秘策があった。
 影も、和の真似をしてポーズを取りつつイカサマを働き、こっそり左手に【メレンゲ麻雀牌】を出現させる。
 和の瞳がキラリンと輝いた。
 
「いっちゃうよ! クラリティー……クライマーックス!」

 広い宇宙を彷彿させるクラリティーでスペクタクルな盛り上がりの中、和が【きらめきのオーロラボルト】を放つ。
 真っ白い白紙の世界で、自らの光を信じた和の強い気持ちが、輝く矢になってが放たれる。
 同時に【トリック・オブ・トリート】。
 影が、和を真似して出した【メレンゲ麻雀牌】が、その手の中で小爆発を遂げる。
 和の影は、カラフルな色になって弾け飛び、そこにはカラフルな和のイラストが残った。

***

「私もいくわよっ!」
 猛烈な攻撃を繰り返していた風花が、目を輝かせてソードを強く握った。
 ダメージは回復しきれておらず、服も鎧も、きわどくズタズタになっている。 
 それでも風花はソードに持てる力の全てをこめて【必殺のフリー・グノーシス】。
 相打ち覚悟の、超必殺の一撃を繰り出す。

***

 カラフルな影はパチンと弾け、カラフルな色が飛び散び、そこにはカラフルな風花のイラストが残った。

「やだ。私、服がボロボロのままだわ!?」
「あの影、最後はこうなるというわけね」
「んー? わたしってあんな顔してるっけ?」

 3人は和気あいあいと、イラストになった自分を眺める。
 
「で? リリィさん、いったい何を食べて、どんなことを後悔してるの?」
「ほらほらぁ、言っちゃいなよ」
「うう……絶対ナイショ。チョコにも教えないほどナイショ」
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