スピンオフ“戦戯嘘はどこにも存在しないと私だけが知っている”
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■プロローグ■
ゆうは、自分が放棄してしまったストーリーを描くために
アイドル達がステージや各々の戦場へと散る様子を小さく震えながら見ていた。
白紙の世界は外へとどんどん溢れ出して、現実の木々を薙ぎ倒しながら三次元を蝕んでいく。
自分も加勢しなければと思うものの、全くペンが動かないのだった。
かろうじて作りだしたステージも、真っ白な簡素なものだ。
「ステージなんてこれだけあれば十分なのよ!
私たちはアイドル、なんだから――」
ステージを見渡す嘘が、ハッとして言いよどんだ。
作者であるゆうにとっては「アイドル」であることなんて蛇足な要素だったかもしれない。
自分がそんなだから、彼女は嘘を不要だと思ったのかもしれない……。
しょぼんと俯く嘘を見て、ゆうもどうしたらいいのか分からないといった様子でペンを握りしめていた。
そんな様子をやや離れて見ていた左脳は、自分では踏み込めない領域だろうと察して踵を返した。
自分の「後悔」も現れるのならば、妹と――今ではそれに近いものを感じている嘘には格好悪いところは見せたくない。
彼もまた、一人こっそりと白紙の世界へ足を踏み出したのだった。
■目次■
1ページ プロローグ・目次
2ページ それぞれの影(1)
3ページ それぞれの影(2)
4ページ それぞれの影(3)
5ページ それぞれの影(4)
6ページ カラフルな後悔
7ページ 感謝の歌(1)
8ページ 感謝の歌(2)
9ページ 感謝の歌(3)
10ページ ありがとうをあなたに
11ページ ありがとうをみんなに
12ページ エピローグ