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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

【陰陽アイドル大戦】大幕・葦原華乱舞!

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【陰陽アイドル大戦】大幕・葦原華乱舞!

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■天津神宮での混戦――守る、ということ――(3)

「シャロちゃん!」
「おーかのんちゃん、ウィリーちゃんは……ふむふむ、なるほどりょーかい。こっちはちょうど取り巻きの子たちをやっつけたところだよ」
 合流してきた歌音から話を聞いたシャーロット・フルールがうんうん、と頷いて現状をさっくり説明する。ウィリアムや他のアイドル達によって部隊を分断させられていった結果、この場に健在なのは輝夜のみとなっていた。
「ほんっと、ヘビ公の手下は使えない者揃いね。適当な神でも突っ込んで使い捨ててやった方がまだマシよ」
 不愉快極まりないといった様子で吐き捨て、輝夜が両手に炎を生み出し戦闘態勢に入る。
「最初は戦いづらくてイライラしたけど、大分馴染んできたわね。ヘビ公も無駄な抵抗しなきゃいいのに」
「……そっか。まだ真蛇さんは戦っているんだね。あなたの悲願を果たすために、最後まで……」
 輝夜の声を聞いた狛込 めじろが一瞬表情を柔らかくして、すぐに引き締める。背後でシャーロットが、「お、めじろちゃん本気」と呟いた。
「じゃあボクたちもがんばろー。かのんちゃん、ミュージックおねがいっ」
「はい! ……これはシャロちゃんやめじろちゃんだけじゃない、輝夜さんのための演奏でもあるの。みんながこの曲で熱く盛り上がって、全てを出し切ってもらいたい。
 そこから見える新しい景色が、きっとあるはずだから」
 歌音が芸器を手に、戦う戦士に送る応援歌を演奏し始める。その音楽に合わせるようにしてめじろ、シャーロットと輝夜が行動を始める。
「アタシのため? つくづく人間って何考えてるか分からないわ」
「輝夜ちゃんのそういう、人も半妖も見下してるところ、気に入らないっ!
 ボク達だってすごいんだぞ! 神様にだって負けないんだぞっ!」
 虎の腕のような手甲を着けたシャーロットが、まさに虎のような俊敏な動きで輝夜に迫り、接近戦を仕掛ける。
「アンタ達のどこを評価しろというの? 群れなければ何もできない、生み出せない存在が下等である以外に何だというの」
「ひとりではちっぽけな存在だって分かっているから、ボクたちは力を合わせることができる!
 輝夜ちゃんは確かに強い、だけど知らないことがいっぱいあるよ! だからお勉強が必要だと思うの!」
 接近戦を不利と見た輝夜が炎幕を張ってシャーロットの接近を拒み、幻獣をけしかける。
「がおーーー!!」
 咆哮をあげながら襲いかかる幻獣だったが、シャーロットのかわいらしくも威厳のある咆哮にすっかり気勢を削がれ、攻撃することもなく消滅してしまった。そしてその間に詠唱を行っていためじろが詠唱を終え、灼熱の鳳凰を顕現させる。
「アタシに炎で対抗しようなんて、バカな真似を!」
 輝夜が炎幕を鳥の姿に変えて、対抗するように放つ。二対の炎鳥は甲高い鳴き声を残して弾けるように消滅し、術の残滓が熱風となって周囲に吹き荒れる。
「バカはどっちよ! 真蛇さんのばーか!
 イケメン!
 ドS!
 激おこ仮面!
 好き!」
「おぉ~、めじろちゃんあっつ~い告白ぅ~」
「茶化さないでくださいシャロさん! わたしは二人のために命賭けられるくらい、二人のことが大好きな人が居るんだ、って伝えてあげたいんです!」
 めじろの声に、シャーロットもうんうん、と頷く。
「そうだよねぇ。好きじゃなかったらこんなことしてないよねぇ。アイドル同士でガチンコバトルしちゃうくらい、なんだかんだで真蛇ちゃんと輝夜ちゃんのことが気になってるんだ」
 そこまで口にした所で、爆炎が起こり、炎の翼を背負った輝夜が現れる。
「なにあれ!? もうぶっ倒れちゃうくらいマジカッコイイんですけど!」
「……一度ならず二度までも、我を本気にさせるか。実に不愉快だが、認めざるを得ないようだな、貴様らの力を」
「えっへん、どうだぁ! ……というわけで、ササッと矛を収めて仲良くしてくれないかな~」
「それはならぬ。たとえ我がここで真に消滅しようとも、為せる力を持つ間は敵に膝を折る真似はできぬ!」
「やっぱりダメかぁ。何かをしようとするのはいいけど、周りに迷惑かけないようにやってほしいな! 手順って大事だと思わない? 今回だっていきなり真蛇ちゃんを乗っ取って悪いことしてるし! ズルいんだよ、神様だっていうなら正々堂々やってほしいよ!」
 シャーロットの訴えに対する、輝夜の回答は『聞く耳持たぬ』であった。
「も~! このわからずや!
 わからずや!!
 わからずや!!!」
 襲ってきた幻獣を手甲の一撃で消滅させて、シャーロットが叫び、めじろと共に輝夜との戦闘に突入する――。


(めじろさん……会長さん……)
 二人の戦いを上空から、藍屋 あみかが見守っていた。その顔に複雑な感情を含ませつつ、せめて二人の援護をと祈りを捧げ、植物の幻影が輝夜の妨害とめじろ、シャーロットへ加護をもたらす。
「あみかちゃん」
「ねむねむさん! ……状況はどうですか?」
 祈りを終え目を開いたあみかは、接近してくる合歓季 風華の姿を認め声をかけた。半ば分かっていたものだったが、風華は予想通り首を横に振って言う。
「仄さんは反魂香を手に入れられなかったようです。そのことが水希さんに知れれば天津神宮は甚大な被害を被るでしょう。水希さんにはそれをするだけの力も、意志もある」
「そんな……!」
 あみかが悲鳴に近い声をあげ、沈黙してしまう。
「……私たちは水希さんの『強奪』に力は貸せない。水希さんは輝夜の復活を強く望んでいるのに対し、私たちは真蛇解放が目的ですから」
 風華の言葉に、あみかは思う所がありつつも言葉を紡げない。
「残された可能性は、私たち『アイドル』のライブ」
 風華が向けた視線の先を、あみかも追う。現在の主戦場となっている舞台に近付く数名のアイドルたちが確認できた。
「久世さん、彼らの護衛を頼めますか?」
「心得た」
 あみかが久世 七咒に頼み、頷いた七咒が麒麟を駆って彼らの元へ向かう。
「ライブが嫌であるのなら、真っ先に狙われているはず。それをしないということは、輝夜自身もライブを嫌ってはいないはず。そのライブに、輝夜を変えるだけの声を……意志を込めることができたなら」
 輝夜に反魂香を用いることなく、かつ、輝夜が消滅することなく、真蛇を解放できるかもしれない。
「……信じましょう。信じる思いがきっと、力になる」
 あみかの声に、風華も頷き事態を見守る――。


「オーッホッホッホッホ! この場で誰よりも一番美しく、この場の誰よりも一番弱いワタクシが参上ですわ!!」
 御萱堂 華燐が高らかに笑い、攻撃の余波で生じた爆風に吹き飛ばされていった。口上は決して自虐ではないようだった。
「……ふぅ。まったく、せっかちはいけませんわ。何事もキチンと考えることが大切。
 そう、『輝夜を救いたい』という方は多くとも、救った後のことを考えている方はどれほどいらっしゃるか」
 輝夜は、自分で自分の願いを叶えられるだけの力を持っている。故に『母親に会う別の方法を探そう』等と言ったところではいそうですね、となるとは到底思えなかった。
「ですので、輝夜から力を奪う方法が必要なのです! その鍵となるのは、真蛇!」
 ビシッ、と指差した先、戦闘に集中する真蛇(今は輝夜が乗っ取っているが)に向けて、華燐が言葉を放つ。
「今回は利用される形で散々ですわね! ……ですが、このまま輝夜に虚仮にされたままで終わって、貴方はそれでいいのかしらぁ?」
 その顔は、実に悪女であった。元々お嬢様風な顔立ちの彼女がそれをやると、なかなかのハマり役であった。
「自身を上位の存在と疑わない者が地べたに這いずる羽目になったら、どんな惨めな気分になるでしょうねぇ?」
 そこまで言ったところで、またも強い爆風が起こり、またも吹き飛ばされた華燐は目を回してしまった。彼女は護衛に回っていた七咒に助け出され、事無きを得る。


(……わたしはアイドルだから、誰かの笑顔が奪われる結末は受け入れたくない……!
 へっびーやかぐかぐの笑顔も守る、それが奇跡だと言われようと、命を賭ける覚悟で奇跡を勝ち取ってみせる! それがわたしの麻雀アイドル道だー!)
 輝夜が戦っている舞台へ駆けつけた天地 和が、派手派手しく名乗りをあげて自分に輝夜の注意を惹きつけようと試みる。
「わたしは未来のカリスマ麻雀アイドル! わたしの麻雀ライブで、穢ノ神だって感動させてみせる!」
 しかし直後、戦闘の余波で生じた熱風が和に吹き付ける。思い切り煽られた和が体勢を立て直すと、自分の頭がとても涼しいことに気付いた。
(しまったウィッグが……! でもこれでかぐかぐが笑ってくれたらワンチャン!)
 そう思って和が輝夜へ視線を向ければ、輝夜の口元がニヤリ、と歪むのが見えた。
(うわー! あれ笑ったんじゃなくてバカにしてるー! へっびーの顔でやるとすごく似合ってるけど!)
 ぐぬぬ、と歯噛みしつつ気を取り直し、和は符の力を用いて喚び出した舞芸者と卓を囲む。どうやら舞芸者演じるヤクザチームに、和演じる一般人が追い詰められているようだった。

「これで三人リーチや。もう逃げ場所は無いで」
「アンタもここで仕舞いや。土地はウチらのもんになる」
「無駄な抵抗は止めて楽になれ。なぁに、骨は拾ってやる」

「これメッチャダメなやつだー!
 でもこのままだと本当に、消滅させるしか無いんだよ! かぐかぐがもう悪いことしないって約束してくれるなら、いくらでも力になってあげられる! 何があれば助けれるかは、神様のかぐかぐなら知ってるでしょ? いつ見つかるかは判らないけれど、お母さんと会う方法探しだって手伝うからさ!」
 高級麻雀セットを叩きつけながら和が必死の訴えを見せるも、輝夜から返答らしい返答は返ってこなかった。そして再び生じた戦闘の余波が和を襲い、和は麻雀セットごと後方に吹き飛ばされてしまった。彼女も護衛に回っていた七咒に助け出され、事無きを得る。

(……奴らは何故、それほどまでに我と関わろうとする? 我を消滅させようとする者も居た、だがここに居る者からは、そういった気配を感じぬ。一体何が目的なのだ?)
 輝夜がふと感じた、一抹の疑問。この瞬間輝夜と舞芸者の間に生まれた『繋がり』が、輝夜に致命的な影響をもたらすことは、この時の彼女は知る由もない――。
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