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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

羅城門ウォーヘッド・ライブ!

リアクション公開中!
羅城門ウォーヘッド・ライブ!

リアクション

■治安維持



 羅城門周辺の危険は毛狩醜女たちばかりではない。
あちらこちらにいるならず者たちに、怯える周辺住民たち。
耐えることない不平不満が溢れているせいか、些細なことでの小競り合いや喧嘩も既に日常茶飯事と化していた。

「なんだってんだ、コラ!!」

「いちいち威張り散らして歩いてんじゃねぇよ、目障りなんだよ!」

「んだと……」

 男を5,6人連れた同士でリーダー格っぽい男同士がなにやら険悪な雰囲気だ。

「ちょっと止めなよ」

 人々が見て見ぬふりを決め込む中、割って入った声は若い女の声だった。

「関係ねぇガキは引っ込んでな」

 火に油とばかりに男のボルテージが上がっていく。
が、振り上げた拳は界塚 ツカサの影縫いによって振り下ろされることはなかった。
他の男達も同様に動きを封じられ、その隙にツカサは武器になりそうなものを奪いとった。

「こんなものまで……」

 目に見えて物騒なものは特になかったが、武器として使えば危険なものがぼろぼろと出てきた。

「返せよっ!!」

「取り上げるまではしないよ。ノイ」

 そうツカサが名を呼べば、男たちの前に水虎の衣を纏った加賀 ノイが現れ、舞神召喚で召喚した神と共に華やかに舞い始めた。
妖蝶の大扇を大きく8の字を描くように、ゆらりゆらりと振る。
光の粒を青色にして扇を揺らせば、揺らす度に水が散ったように見える。

 その舞は山で川に落ちた葉が海へと流れ落ちていくものをイメージした舞い。
上流、中流、下流、もきちんと舞いの中で分けて表現している。
そんなノイの舞いにいつしか男たちでなく、周囲で見て見ぬふりをしていた人たちまでもが引き込まれるように魅入っていた。

「最後に良いものをお見せ致します」

 そう礼儀正しく言ったノイが紅葉した銀杏の樹へと奔放な風を吹かせた。
風は落ちた銀杏の葉を美しく舞い上がらせたが……

「わっ!?」

 予想外にそこにいたツカサの着物の裾も舞い上がらせた。

(水色……じゃなくてっ!)

 ばっちりしっかりと見ていたノイだったが、ツカサの様子に慌てて脳内で否定する。

「確かに良いもの見せて貰ったぜ」

 男の一人がサムズアップし、ノイの肩をトントンと叩いて立ち去っていく。
他の男たちも身体が動くことに気づき、奪われたものを再び懐にしまいつつ、その場を後にしていく。
どうやら先程まで燻りを見せていた負の感情は消えたらしい。

「何やってるの」

 周囲からの笑い声に表情は変えないもののツカサの耳は明らかに赤くなっていた。
ノイの元へ足早に駆け寄るとツカサはノイのその狐耳を掴んで引っ張りあげた。

「すすすみません。わざとじゃないんです。わざとじゃっ!」

 懸命に謝りつつも自分が悪いからとされるがままのノイ。

 そのまま二人は近くの茶屋で一服することにした。
ノイはお仕置きとしてツカサからイスにされたが、ノイにとってそれはある種のご褒美のようなものだった。



 ツカサとノイが茶屋でゆっくりと一服しているとガラの悪いならず者たちが店に入ってきた。

「呑気に茶飲んでんじゃねぇぞ、コラァ!!」

「や、やめてください。他のお客さんたちも困ってますから……」

 言いがかりのような台詞を大声で喚き散らしながら、ならず者たちは店内のテーブルを蹴り飛ばし、イスを壊したり、放り投げたりした。

「もうっ!」

 せっかく一服していたのに、とツカサが勢い良く立ち上がったが、それを静止してリリィ・エーベルヴァインが前に進み出た。
困り果てている店主の横をすり抜けて、持っていた先ほど食べ終えた三色団子の串を投擲術でならず者の顔の近くに投げつけた。

「ひっ!? な、なんだぁ!?」

 串は男の顔の横の木の柱へ突き刺さった。
情けない声を出しつつも、まだ喧嘩を売る元気はあるようだ。
だがリリィはそんなならず者へ声をかけることすらせず、問答無用で飛びかかった。
三人ほどいたならず者の男たちを蹴り飛ばし、影縫いをして動きを止めると縄で縛り上げた。

「んっ、ブイ」

 あまりにもあっけなく終わったならず者たちの捕獲だったが店主を始め、客やツカサたちからも拍手が贈られた。

「すごいね」

「ありがと。悪いことをするならず者達が来ないほうがいい。ゆっくりお茶出来る」

 思わず声をかけたツカサにリリィは残りの三色団子へ手を伸ばしながら答えた。
どうやらツカサの目的もリリィの目的もほぼ同じだということで(リリィは食べ歩きがメインだったが)三人は共に茶屋を後にした。



 三人が茶屋から出ると茶屋に入る前とは打って変わって通りは賑わい始めていた。

「ライブだって!」

「舞芸者が舞台やってるらしいよ!!」

 通りを過ぎ行く人たちが口々にそう言っては何処かへ向かっていく。
『舞芸者』、『舞台』の二つの言葉にツカサたちやリリィは頷き合って、人々が向かう先へと行ってみることにした。


 ツカサたちやリリィが向かった先にいたのは空莉・ヴィルトールだった。
花笠鳴子の音色を美しく響かせながら大火の舞を激しいリズムで、だが元気よく舞い踊っている。
全身に炎を纏ったその様子は一般の人もならず者も関係なく、魅了されていた。

「みんなも一緒に楽しもう~!」

 そう空莉が呼びかけるが、見ている人はいれど参加者はまだいない。

(……いきなり皆に参加して貰うのは難しいかな?)

 観客の入りは上々。あとはみんなに参加してもらうばかり。
そこで空莉はお祭りムードを盛り上げるためにと穿いてきた盛夏ふんどしを見せた。

「女の子がこんな恥ずかしい格好で頑張ってるんだから~! 一緒に踊ってくれないとお仕置きしちゃうからねー♪」

 空莉がそう言えば、先程からいけよ、いやお前がいけよ、状態だった若い男たちが6人ほど加わった。
中にはまだ羞恥心を捨てきれない者もいたようだが、キレキレの動きを見せる者もいて、観客は大盛り上がりだ。

「それじゃあ、どんどん畳み掛けちゃうぞ~♪」

 空莉が朧芸者の符の力を借りて舞芸者を召喚する。
空莉の芸に合わせて賑やかな演奏と踊りを披露する舞芸者たちに参加者が一人、また一人と増えていく。

「ほらほら、皆も私達と一緒に~♪ おいでおいでー!」

 空莉が観客の手を引いて参加してもらったり、子供たちに手招きしたり、と参加者を増やしていく。

「ノイ! ほら、キミも」

 そう言ってツカサがノイとリリィを引き連れて参加する。
人が人を呼ぶ形で参加者はどんどん増えていった。
こっそりとその場から去ろうとしたならず者も

「不参加は認めません♪ 皆で楽しまないとね!!」

「なっ!? い、いつの間に……」

 忍法彩雲隠れした空莉が背後へと回り込み、がっしりと捕まえて強制参加させる。


 こうして空莉による全員参加型のアクションライブは大成功を収めたのだった。
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