■ライブｉｎシアターアーク・５


「互いに修めた技を以て……リンアレル、勝負といこう！」
　堀田　小十郎がリンアレルに声を掛け
「いいですよ！」
　リンアレルが快諾するなり
「楽しい勝負になりそうだな」
　睡蓮寺　陽介は口元をやる気と楽しむ気満々に歪め
「さあ小十郎、皆、派手に気張っていこうぜ！」
　底抜けに明るい調子で共に舞台を彩るメンバーに言った。
「観客も含めたみんなでリンアレルを後押ししよう」
「うん！　再び神獣と共に歩む事を決めたキラフェス……その時の祈りや感動を、また届けよう……！」
「みんなで新しい世界をひらく力になろう」
　麦倉　淳、睡蓮寺　小夜、栗村　かたりも上昇した気分を言葉に表せて応じた。
　そしてライブが始まった。

　ライブ開始後。
「♪♪（しかし新しい世界、か……どんな世界なんだろうな……フェスタに来てからというもの新しい出会いばかり道場で修練に打ち込むだけだったあの頃では、経験できなかった事だ……あの人の言う通りだったな）」
　小十郎は広がる世界や
「♪♪（多くの世界に触れ……人々に触れ……そこにある想いと心に触れなさい……その出会い、経験の先に……君の武の在り方が見えてくるでしょう、と……未だ、自分の武の在り方は見えないが、異世界での活動は確実に己の糧になっている……必ずその答えも……）」
　ライブにわく人々の顔を見渡してから
「♪♪（だから新たな世界に私は行きたい……その為なら、どんな壁だって超えてみせるさ）」
　空を駆けつつ歌唱する共演者達の歌を形にするべく
「♪♪（演武には、その者の人生や想いが宿る……込められた想い、願い……それを全霊を以て演武を示し、道を拓こう）」
　『ショピアニーナ』の技術を駆使し己が武を形にしようとする。
「♪♪（小夜の歌に込められた想いや祈りを演武の随所に載せて届けよう……）」
　ヴィブラブレイドによる『スターダストフィル』の暗闇の中にある希望の如く星光を散し幻想を演出。
「♪♪（キラフェス以来だが、皆が仲良くやってるようで良かったぜ！）」
　陽介はパレードフラッグを駆使したダイナミックな演武を『スターダストフィル』で光をばら撒きながら行い
「♪♪（神獣だとか人じゃないとか気にしてねぇで、皆で盛り上がった方が断然いいな！　今回はリンアレルが古の魔術を使って勝負してくれるって話だしな。本当、三世界同時ライブたぁ、面白い事になったよなぁ！）」
　皆の演舞がより派手になるよう『フレア・ドロウ』で彩り魔術の陣のようなモノを虚空に描き、演武や舞い、歌に合わせて現れ散る灯にてファンタジックな演武を演出。

「♪♪（さよちゃんの小狼丸ちゃんに乗せてもらえて、うれしいなの♪　落ちないように、気をつけなきゃ）」
　『神獣覚醒』した小夜の小狼丸に乗るかたりは
「♪♪（二人の強さがきらきら輝くように）」
　演出用屑ジェムを地上組に降らせて楽しい雰囲気を演出。
　同じく小狼丸に乗る小夜は
「♪♪（この舞台に立つのは、キラフェス以来かぁ……あの頃は神獣さん達を倒そうとする考えがあったけど、今は色んな人達が、笑顔で、共に過ごしてる……こんなに、嬉しい事はないよ）」
　自身が作った曲である【駆けろ青年、羽ばたけ少女】を歌いながらこれまでを振り返りつつ
「♪♪（……以前空の上の遺跡で聞いた“皆で笑い合った日々を信じたい”という願いが、少しずつでも実現しようとしているのは本当に嬉しい……だからその願いや想い……これからも、届けたい……この演武（ライブ）を通して、改めて込められた願いや祈りを……歌にのせて）」
　心と祈りを真摯に込めて
「♪♪（小狼丸と一緒に空を舞い、一緒に歌い……皆で楽しもう……）」
　『フェザーダンス』で小狼丸と共に舞い歌う。
　ここで
「♪♪（オレは旅の演奏家に扮してさよちゃんの歌の世界を展開しよう）」
　淳が登場し
「♪♪（道に迷って疲れ果てた夜四人の歌と演武に元気を貰いつつ）」
　ウィンドリュートで『ローリービート』を奏で
「♪♪（そして夜明け……静寂な木陰で目覚めるオレ　楽しかった昨夜は夢なのか？　誰もおらず、行くあてもなく再びさまよう　どこに行けばいいんだろう？　どうしたら？）」
　旅をする。
「♪♪（夜明けの森でさまよう、まことおにーさんにちっちゃい楽隊さんでこちょっと、いたずら♪　こっちおいで……♪（小狼丸ちゃんのほうに誘うなの）」
　かたりがタクト・ブルーメンの賑やかな楽隊に合わせて
「♪♪（そんなとき、歌に合わせて歩く小人の楽隊に遭遇☆　動きにつられてつい舞うように）」
　淳は『おさんぽ日和の舞』を舞い
「♪♪（誘われると、あっ小狼丸……昨夜のごほうびさ☆　エンシェントベリーを掲げて、鼻筋なでてみよう）」
　ステージ前の観客にエンシェントベリーを渡し
「♪♪（不思議なもの……猫みたいなキノコ発見）」
　ルミブラを発見し摘んで小狼丸に掲げようとすると光った。息吹か何かで。
　瞬間
「♪♪（リンアレルさんも……一緒に、楽しもう……）」
　小夜がリンアレルに視線で合図をし
「♪♪（楽しみましょう）」
　リンアレルがライブをしつつ答えるのを見るや
「♪♪（これはライブ対決だけど……この機会を心の底から楽しみたい空を飛び、ウタを歌い……一緒に楽しみ、それ以上に皆を楽しませたい……共に生き、共に歩むって……そう言う事だと、思うから……）」
　小夜は思いを呟いてから
「虹を架けよう……みんなの心に、希望の虹を……」
　『レインボーマイスター』で虹を描く。
「おおきな虹をかけるよー」
　かたりは『レインボーマイスター』を元気に描き
「……観客達の心に虹を架ける（暗い夜も共に歩み、壁を越える虹を架ける……まさに今回の演武のテーマだ）」
「さあ……皆の心に、虹を架けるとしますかねぇ……！（今回のテーマ……夜が明け、朝が来て、皆の心に虹が架かるそんな想いをこの舞台で伝えてぇという麦倉が考えたもんだが俺達は演武という形でそれを助けねぇとな……）」
　小十郎と陽介は共に舞台を飛び出し『レインボーマイスター』で虹の軌跡を描きつつナイトの武技を見せながら観客の近くを駆け抜ける。
　最後は舞台に戻り
「♪♪（……皆の心にも虹の軌跡を描きたい）」
　小十郎は『スターダストフィル』で星を散らしながら
「♪♪（最後まで全霊の演武を成して想いを観客に伝えよう……）」
　『レインボーマイスター』を描き
「♪♪（小夜の歌と演武を彩る虹の軌跡……それはウタの輝きにだって負けねぇ輝きだ。心を繋ぐ虹の架け橋……それを皆に届けるぜ）」
　陽介と共に手を抜くどころか心がたっぷりと入った演武で佳境を飾る。
　そして
「♪♪（希望の虹が、皆の心にありますように……）」
　小夜は『レインボーマイスター』で虹を描きつつ【最初の想い、最初の夢】を歌う。
「♪♪（虹の向こうの“新しい世界”に、向かってみたくなるように）」
　かたりは小夜の歌に合わせて『アンプ・コーラス』を行う。
「♪♪（壁の向こうにかかる大きな虹が何本も！）」
　淳は四人が作った虹を見て
「♪♪（迷いながら歩いていたけど……やっと出口が、道が見えた！）」
　安堵の演技から
「みんなで一緒に、あの虹（ミチ）を渡ろう！　新しい世界をひらこう！」
　『ラッシュエール』で最大に叫んだ。
「♪♪（新しい世界……たいへんかも……でも大好きなさよちゃんたちや、リンアレルちゃんやみんなと一緒なら、きっと楽しくやれるよね♪）」
　かたりはコーラスを続けながら周囲を見回し
「♪♪（観てくれた人が幸せになってリンアレルちゃんが、世界をひらくための力にちょっとでもなれたら、うれしいの）」
　心底の楽しいを呟いていた。