フェイトスター☆ファイトクラブ!
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リアクション
■インターバル 1
セブンスフォールブロックの戦況は、人数もあって複雑に絡み合っていた。
その様子を真剣に見つめながら、ルティア・オルコットは胸の前で手を握って固唾を飲んでいた。
『これは――水鏡選手、どうやらゾネンウンターガング選手との一騎打ちになだれこんだようです!
解説の神谷さん、いかがでしょう』
『お目当ての相手と手合わせって印象だね。どっちもやる気がみなぎってる』
筒見内 小明が解説の神谷 春人とともに、熱く実況を務めている。
複数の戦場に目を配りながらのせわしい実況は喉を消耗させるため、小明はミネラルウォーターを手放すことができない。
『さあ世良選手と深山選手、和やかながらも漂う気配は狩人のそれ! 一触即発です!』
熱い試合の展開に目が離せないといった様子で、様々な対戦カードをなめていく小明。
しかしその小明と対照的に、ルティアはただ一人の戦いぶりのみをじっと見つめている。
水鏡 彰。彼の鬼気迫る斧使いから、ルティアは目を離すことができない。
「ッ――!」
形成が揺れる。ルティアの胸がどくんと高く鳴り、予感を悟らせた。
『おっと、水鏡選手押され始めた!』
『流れが変わったね』
小明が興奮した様子で告げ、観客席は大いに沸きはじめる。
転じての猛攻に押され始めた恋人を見ていられないとばかりに目をつぶり、祈るように手を握り合わせるルティア。
(――彰っ!)
だが、意を決して顔を上げると、彼女は深く息を吸い込み、届くようにと大きく声援を上げた。
「彰ー! 頑張ってー!! ファイトだよー!!」
それが届いたか届かなかったか、彰は踏ん張って耐える。
『アルドラ選手、ウィークヒットです! 黒瀬選手動じません!』
小明の実況が表すように、闘技場は大小複数の洗浄が所狭しとひしめき合っていた
その中で燦然と輝いて見えた、恋人の活躍は――しかし、相手の痛撃を受けて終わりを告げる。
『水鏡選手吹き飛ばされました! 決定的です!』
『いい試合だね。どっちも晴れやかだ』
場外に飛ばされた恋人の姿を見て、ルティアは小さく声を漏らす。
……だが、彼の健闘ぶりはしっかりと目に焼き付けた。
戻ってきたら、ねぎらいのキスをしてやろうと考えながら、ルティアはゆっくりと観客席を立ち、恋人を迎えに降りて行った。
そして、そんな様子をよそに、にぎわう会場を煽るように、小明はマイクを握って吠える。
『さあ、試合はさらに盛り上がってまいりました――!』
――ときは過ぎて、セブンスフォールブロック終了後。
ディメンションシフトや装飾の転換など、ブロックの幕間は何かとせわしない。
パフォーマーを本職とする北郷瑞己先生はそんなふうに観客を退屈させることをよしとせず、この機に生徒たちの前でパフォーマンスをしたいものを募集していたのだ。
「それじゃあ、よろしく頼むぞ!」
「えっ、えぇ~……」
不幸な事故か意図してのことか八重崎 サクラが着ていた衣装は、トライアングルビキニに申し訳ばかりのミニスカートが付いただけの、しごく頼りないものだった。
気にかける様子もなく、北郷先生は自らも準備に加わるべくその場を立ち去る。
身を抱いて恥じらいを見せるサクラは、しかしステージに音楽が入った瞬間、観念したように深く吐息をついた。
「あぁ~……っ! もうなるようになれです!」
そしてサクラは、その装いのままに駆けだし、闘技場の中心へと躍り出た。
「みんな――頑張って!!」
目指しているのはダンス系アイドル、予定していたポーズと振り付けは、それなりに激しいものだ。
無論、今のような衣装とは相性が悪い――だが不思議と集まる視線が、彼女のダンスを熱くしていく。
さらに織り交ぜたプラスアドリブに、観客の生徒はおお、と感嘆の声を上げた。
(今、私、輝いてるっ……!)
ステージに立つ喜びを、サクラはそのとき、全身に感じていた。
まもなく、華乱葦原ブロックの試合が始まる。
セブンスフォールブロックの戦況は、人数もあって複雑に絡み合っていた。
その様子を真剣に見つめながら、ルティア・オルコットは胸の前で手を握って固唾を飲んでいた。
『これは――水鏡選手、どうやらゾネンウンターガング選手との一騎打ちになだれこんだようです!
解説の神谷さん、いかがでしょう』
『お目当ての相手と手合わせって印象だね。どっちもやる気がみなぎってる』
筒見内 小明が解説の神谷 春人とともに、熱く実況を務めている。
複数の戦場に目を配りながらのせわしい実況は喉を消耗させるため、小明はミネラルウォーターを手放すことができない。
『さあ世良選手と深山選手、和やかながらも漂う気配は狩人のそれ! 一触即発です!』
熱い試合の展開に目が離せないといった様子で、様々な対戦カードをなめていく小明。
しかしその小明と対照的に、ルティアはただ一人の戦いぶりのみをじっと見つめている。
水鏡 彰。彼の鬼気迫る斧使いから、ルティアは目を離すことができない。
「ッ――!」
形成が揺れる。ルティアの胸がどくんと高く鳴り、予感を悟らせた。
『おっと、水鏡選手押され始めた!』
『流れが変わったね』
小明が興奮した様子で告げ、観客席は大いに沸きはじめる。
転じての猛攻に押され始めた恋人を見ていられないとばかりに目をつぶり、祈るように手を握り合わせるルティア。
(――彰っ!)
だが、意を決して顔を上げると、彼女は深く息を吸い込み、届くようにと大きく声援を上げた。
「彰ー! 頑張ってー!! ファイトだよー!!」
それが届いたか届かなかったか、彰は踏ん張って耐える。
『アルドラ選手、ウィークヒットです! 黒瀬選手動じません!』
小明の実況が表すように、闘技場は大小複数の洗浄が所狭しとひしめき合っていた
その中で燦然と輝いて見えた、恋人の活躍は――しかし、相手の痛撃を受けて終わりを告げる。
『水鏡選手吹き飛ばされました! 決定的です!』
『いい試合だね。どっちも晴れやかだ』
場外に飛ばされた恋人の姿を見て、ルティアは小さく声を漏らす。
……だが、彼の健闘ぶりはしっかりと目に焼き付けた。
戻ってきたら、ねぎらいのキスをしてやろうと考えながら、ルティアはゆっくりと観客席を立ち、恋人を迎えに降りて行った。
そして、そんな様子をよそに、にぎわう会場を煽るように、小明はマイクを握って吠える。
『さあ、試合はさらに盛り上がってまいりました――!』
――ときは過ぎて、セブンスフォールブロック終了後。
ディメンションシフトや装飾の転換など、ブロックの幕間は何かとせわしない。
パフォーマーを本職とする北郷瑞己先生はそんなふうに観客を退屈させることをよしとせず、この機に生徒たちの前でパフォーマンスをしたいものを募集していたのだ。
「それじゃあ、よろしく頼むぞ!」
「えっ、えぇ~……」
不幸な事故か意図してのことか八重崎 サクラが着ていた衣装は、トライアングルビキニに申し訳ばかりのミニスカートが付いただけの、しごく頼りないものだった。
気にかける様子もなく、北郷先生は自らも準備に加わるべくその場を立ち去る。
身を抱いて恥じらいを見せるサクラは、しかしステージに音楽が入った瞬間、観念したように深く吐息をついた。
「あぁ~……っ! もうなるようになれです!」
そしてサクラは、その装いのままに駆けだし、闘技場の中心へと躍り出た。
「みんな――頑張って!!」
目指しているのはダンス系アイドル、予定していたポーズと振り付けは、それなりに激しいものだ。
無論、今のような衣装とは相性が悪い――だが不思議と集まる視線が、彼女のダンスを熱くしていく。
さらに織り交ぜたプラスアドリブに、観客の生徒はおお、と感嘆の声を上げた。
(今、私、輝いてるっ……!)
ステージに立つ喜びを、サクラはそのとき、全身に感じていた。
まもなく、華乱葦原ブロックの試合が始まる。