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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

フェイトスター☆ファイトクラブ!

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■インターバル 3

 照美 瑠羽神宮司 嵐は、眼下の試合運びを、食い入るように見つめていた。
 瑠羽のほうはビデオカメラを片手に構え、嵐は売り子の生徒から買ったドリンクを握りしめるようにして持ちながら、それぞれ真剣に、闘技場で繰り広げられる攻防に目を見張っていた。
「……ご熱心ですわね」
「何事も勉強ですから。
 本当は出たかったのですが、戦い方も定まらないままでは……ところで、あなたは?」
「わたくしも、似たようなものですわ。きっと、学び取ることは多いでしょうし――」
 鬨の声と歓声が入り混じる戦場を、嵐は瞬きひとつないほどに集中して見つめていた。
 そして瑠羽もまた、手にしたビデオカメラをせわしなく動かし、その試合の様をできるだけ多くとらえようと励んでいた。
 優れた戦術をとる選手の戦いを観察するのは無論の事ではあるが、そうして作り出された状況に心を手折られることなく、身一つになって抗い、戦い続ける選手の雄姿もまた、応援に値する。
 闘技場はいまや、知略と闘志、技術と地力がせめぎ合うるつぼであった。
 あらゆる要素が複雑に絡み合いながら、熱を伴ってうねり、そうして勝敗という結果が生み落とされる。
 それが決まる一挙手一投足に至るまで見逃すまいとして、嵐と瑠羽は戦うときにも近しいほど集中を見せていた。
「……あの方、すごい動きでしたね」
「ええ、賞賛すべきですわ」
 真剣な中にも楽しさを見出す彼らの戦いの中に、彼女たちは己が掴むべき何かを探していた。
 力の使い方、戦うための技術、あるいはその根底にある強固な「勝つ」という意志。
 試合であったとしても、その本質は変わりなく、技を扱うのは意思であり、また意思を支えるのは技であり、それらが互いに影響しながら戦いが動いていく。
 俯瞰から観察している彼女たちには、それがよくわかる。
 やがて試合が決し、勝者の名前が読み上げられると、場外に出たものや気を失ったものを救護スタッフが運び出すさまを見ながら、二人はそれぞれに意見を交わし始めた。
「あの半妖の戦術が、やはり妖術の使い方としては――」
「ええ、ですが侍の方は消耗が――」
 同じ試合を見ていても、見方には微妙な差異が生まれ、それがより知見を深めるための鍵となっていく。
 だがそれも、闘技場の試合が、死力を尽くした戦いであったからだ。
 いい試合であればあるほど、闊達な議論が生まれ、学び取るものは多くなる。
 収穫の多かった彼女たちの会話は、決勝戦の準備が整うまで、尽きることを知らなかった――。
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