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「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

フェイトスター☆ファイトクラブ!

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フェイトスター☆ファイトクラブ!

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■地球ブロック 1


 地球ブロックでもまた、賑やかなスタートをきっていた。

「今日のうちは悪ぅい子猫ちゃんどす。ふふ」

 その中でも特に目立つ登場をしたのは朝霞 枢高城 仄藤原 陽である。

 どうやら枢が【マネー・イズ・オール】でボディーガードとして事前に仄と陽の二人を雇ったようだ。
 イケメンボディーガードを侍らせる悪の女幹部というテーマらしく、枢は仄と陽の後ろに控えている。
 まずは高みの見物といった所だろうか。

 さらにガチめにうるせー奴ことウェイクアップシンバルで爆音を響かせ、陽が自分たちの登場を強調する。
 【ベーシックリズム】でギターも刻み、インパクトは抜群だ。

「……お前ら、良いから真面目にやれよ」

 そう呟きながらも仄はガトリングアンブレラを日傘のように枢にさし、寸劇に付き合っている。

「あや、仄はん傘さしてくれはるんやねぇ。
 陽はんも演出ご苦労さん。
 二人とも気ぃきくなぁ、ご褒美あげよね」

 枢は褒めまくるも、チラリと正面をみて、すかさず声色を変え、【飴と鞭理論】で2人を鼓舞するのだ。

「ただし、サボったりしたらお給金はカットやさかい。
 あんじょうお気ばりやす」

 そう、これだけ注目を集めれば、標的にされるというもの。
 真っ先にこちらに向かってきたのはノノ ネネ古川 玲河である。

「黒猫……? ちょ、待ちの介。給料カットは勘……い、Yes,Ma’am!」

「はいはい、お嬢様。サボってねぇからご褒美(ボーナス)宜しく!」

 手始めにネネが放った【衝撃波】を仄がガトリングアンブレラを用いて【パームカウンター】で受け流し、枢に攻撃が当たらないように防いで見せる。
 そのまま掌底で反撃に出たのをネネが一歩後退し、避ける。

「ノノネネだ」

 ネネは名乗るや否や、【マネー・イズ・オール】や【マネー・ヴァイオレンス】用に持ち歩いている札束を取り出し、仄に掲げる。

「金が目的か? ……この場から降りるならいくらでもやろう」

 褒美という言葉を聞き、ネネは買収の真似事を始めたのだ。

「名誉が欲しいか?……この場で得られる名誉より、ノノネネのプロデュースを受けビッグにならないか」

 けれども、これは隙を作るための作戦。ネネは人の心が金で買えないことは十分に分かっていた。
 一瞬、仄の視線がお金に向いた所で、スパルタウィップを足元へと打ち付ける。

 仄の足が浮き、転倒させたと感じたネネはすぐさま暴漢撃退用特製スプレーを吹きかける。

「っと、お嬢様の前で格好悪く負ける訳にはいかないだろう?」

 しかし、仄は転んでなど、お金に心を奪われてなどいなかった。
 【フェスタ流護身術】でネネの鞭を避け、スプレーにかかるどころかネネの背後に回って見せる。

「ま、相棒もお嬢様も信頼してるんでね」

 そのまま至近距離で【聖式寸勁】による打撃を見舞う。

「くっ」

 仄にとって、金で雇われたという形をとるのはただの照れ隠し。決して心揺るぐものではない。
 背後から打撃を喰らったネネはそのまま気絶してしまった。

 しかし、敵はネネ一人ではない。相棒の陽は既に玲河と交戦中だ。けれどもその陽の後ろにさらなる敵の姿、槍沢 兵一郎を確認する。
 背後を取られる前に仄がガトリングアンブレラで牽制し始める。





「ふふ、たのしおすなぁ」

 後ろでコロコロと笑いながら見守る枢の声が響く中、陽もまた目の前の敵、玲河に集中していた。

「ウィーッス。こっからは? ワリとガチめなんでシクヨロ的な?」

 先ほどの陽たちの寸劇のインパクトもさることながら、玲河も負けず劣らず、観客の注目を集めている。
 というのも、玲河はカエルミマルの着ぐるみを着ており、【演技の知識】と【ゆるキャラの演技メモ】の内容を思い出しながら【ファストアクト】で闘うカエルミマルになりきっているのだ。
 目立つ者同士、しっかりと自分を持っているようで、相手のペースに引っ張られることなく、それぞれの攻撃を繰り広げていく。

「黒猫と相棒には指一本触れさせねーぞオラァ!」

 まずは陽が【クイックドロー】で素早くビーム・ウォーターガンを取り出し、2連撃する。

 それを玲河もフォールディングシールドでしっかりと防御。引き続き陽が距離を詰めさせないように、ビーム・ウォーターガンを撃ちつけて牽制していく。
 それに対し、玲河もまた【パームカウンター】で受け流しながら、距離をつめると、掌底で反撃を行う。

 すると、今度は陽がそれを【ウェポンガード】で防いで見せる。

「まだまだ終わらないルミ!」

 その勢いのまま身体を捻らせ、今度は玲河が勢いよく【クイックドロー】による2連撃を見舞う。

 一撃目を咄嗟に【ウェポンガード】で防ぐも、二撃目はかわしきれずに直撃し、陽が膝をつく。

 そのまま玲河がトドメにトンファーバトンを振りかざすも、突如爆音が鳴り、咄嗟に構える。

「黒猫の為ならミュージシャンだって血を吸えるんだぜ?」

 その一瞬の隙に陽のガチ目にうるせー奴による打撃が襲い掛かる――……。
 そう、【爆音ヒット】を用いたのだ。

 けれども、爆音を聞いてすぐに玲河もまたフォールディングシールドを展開していたようで、その打撃を受け止めると、弾き返して先ほど【クイックドロー】の当たった箇所に目がけて再び【スリーバースト】による3連撃を見舞う。

「くっそ……」

 意識が薄れゆく中、戦闘中の仄に視線を送り、陽は気絶してしまった。





 そして、仄の牽制攻撃を受けた兵一郎はフォールディングシールドを展開し、防戦に徹していた。
 フォールディングシールドで防御しつつ、射線が他の参加者に向くようにと動き回っていたのだ。
 そして、その射線に入ってしまったのがクロティア・ライハである。

 しかし、それに気づいたクロティアも素早く対応して見せる。
 クロティアは遠距離攻撃、特に銃撃を警戒していたのだ。

 クロティアは銃口に透明の長い刃が付いているとイメージしながら、【ホークアイ】で仄の位置を確認しつつ、射線上に入らないように細心の注意を払って接近していく。

 一方の仄はというと、兵一郎にも引き続き牽制しつつ、枢を守ることを意識していた為、クロティアに集中が向けきれていなかったようだ。

 そこをついて、クロティアがエアーハンドガンによるプラスチック弾を仄へと撃ち込む。
 狙いは仄自身ではない。仄のガトリングアンブレラだ。

 接近しながら何発か撃ち込み、そのうちの数発が仄のガトリングアンブレラを弾く。

 そして、その攻撃の手が緩まった隙に一気に距離を詰める。

「とっ」

 クロティアは接近に成功すると、今度は竹刀による攻撃に切り替える。

「小手! 突き! 面! ……まあ、私剣道部じゃないんだけどね」

 仄に銃を引かせる暇を与えずに、武器を握る手に狙いを定めて攻めまくっている。
 【フェスタ流護身術】でかわされていることもあり、決定打こそないものの、じわりと仄の体力を奪い、小さな傷を蓄積させていく。

「ま、攻め続けられる訳にもいかないからね」

 しかし、ここで仄が動いた。突如ガトリングアンブレラを開き、クロティアの視界を遮る。

 さらに傘に身を隠すようにすると、そのまま右側から飛び出し、クロティアに【聖式寸勁】を見舞う。

「きゃっ」

 同じくクロティアもまた【フェスタ流護身術】で受け身をとるも、意をついた攻撃は完全にはかわし切れず、大きく負傷してしまう。

 そのままトドメに再度、仄がガトリングアンブレラを振りかざすも、それよりも速くクロティアが竹刀を地面へと落とし、手を上げる。

「はい、負け降参と、引き際はわきまえてますよ」

 こうして仄が勝利を治め、クロティアは退場していった。





 それとほぼ同時であっただろうか。バタリと陽が気絶し、仄に視線を送ってきたのは――……。

 そのまま玲河は後ろに控えていた枢を倒しに向かっていた。

 すると、玲河に気づいた枢は急にぷるぷると怯えた様子で玲河を見つめ始めたのだ。
 それも目に涙を浮かべながら、上目遣いで。
 どうやら【子供の演技メモ】を参考に愛らしい子供のように振る舞い、罪悪感を煽っているようだ。

「そんな目をしても駄目ルミ!」

 いくらとびきりの可愛い上目づかいでも、いくら子どもに優しそうなカエルミマルの着ぐるみを着ていても、これは勝負。

 玲河は惑わされることなく、【クイックドロー】ですばやくトンファーバトンを取り出し、2連撃を見舞う。

「子どもどすえ? やさしゅーぅ、やさしゅうしおし」

 そう言いながら罪悪感を煽ることに失敗した枢は【フェスタ流護身術】で一撃目、二撃目となんとか回避してみせる。
 けれども、追い込まれ二撃目をかわした所で転んでしまったようだ。

 後ずさりする枢。そこに玲河が【スリーバースト】による3連撃を行う。

「お嬢様……!」

 が、しかし、そこに仄が飛び込んできたのだ。
 その3連撃を防ぐ間なく受けるも、最後にこの極至近距離の中、置き土産に【聖式寸勁】による打撃を残していく。

「うっ……油断したルミ」

 そのままバタリと仄は気絶し、玲河もまた、膝をつく。

「陽はんだけやない……仄はんまで」

 ぐっと言葉を堪え、枢が膝をついた玲河に仄に引き継いで先ほどの打撃した箇所に【マネー・ヴァイオレンス】で殴りつける。

「無駄にせえへんさかい。安心しおし」

「ううっ……」

 殴りつけられよろけた所にスパルタウィップで鞭打ちを喰らい、玲河もまた気を失う。

「二人の分は……」

「最初からフルスロットルだ」

 と、意気込む間もなく、次の敵、天笠 徹が現れる。

 徹は挨拶代わりと言わんばかりに【手慣れたパンチ】をしてくる。
 それを【フェスタ流護身術】の身のこなしで必死に回避していくも、徐々に隅へと追いやられていく。

 さらには、ずっと座っていたのに急に立って動き出した反動だろうか、ふらりとよろけてまたも転倒してしまう。

 今度は演技ではなく、自然と上を向き、絶妙な上目遣いで徹を見つめる。

 もしかしたら力加減はしてくれていたかもしれない。殴られた瞬間に【エアブロウ】を放たれ、枢は場外へと吹き飛ばされた。目の前に気絶して倒れている陽と仄を切なげに見つめながら――……。

「あーれー」

 枢の声がまだ響いている中、徹は踵を返し、次の敵を求めて駆けて行った。
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