沖縄旅行のある日！
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リアクション
■もうひとつのギターコンテスト
「キエエエエィィィィィ！！」
ステージの上で、まるで祈祷を捧げる祈祷師のような動きを見せるアイドル。決してふざけているわけではなく、これも立派なコンテスト、『エアギターコンテスト』であった。
「……フッ、なるほど。俺のギターレベルはもはや評価できるものではないというわけだな」
ステージを見つめ、不敵な笑みを浮かべるシロミ先輩。彼は自分のギターレベルが圧倒的で、ギターコンテストが評価するのを拒否したのだと思い込んでいた……実際はただ会場を間違えただけなのだが。
「だが、俺を甘く見ていたようだな。俺はエアギターの腕前もトップレベルだということを！
ここで優勝するのはただの通過点に過ぎない……だが、やるからには全力でいかせてもらう」
何故か自信たっぷりの様子で、シロミ先輩がエントリーを済ませる。そして他のアイドル達も、自らのパフォーマンス力を試すため、続々とエントリーを済ませるのであった――。
（みんなすごいなー。でも確かに、演じる、って感じならこれだね。おじさんたちの言ってたことは正しかったよ）
直前の演者の演技を見ながら、日下部 穂波が納得の表情を浮かべる。
（直前までコンテストのこと知らなかったから、持ってきている道具は少ないけど。
でも、今ある手札で盛り上げていくよ！）
意気込みを感じさせる表情を見せた穂波へ、出番を告げるコールがかかる。ステージに立った穂波は、持ってきた魔力の込められた杖をギターに見立てて演奏を始める。最初は基本に忠実に弾き、タン、タンと足でステージを叩いて動きをつけ、自身の演技をアピールする。
（でも、これだけじゃつまらないよね？ 本番はここからさ！）
曲でいえば中盤に差し掛かった頃から、足を高く上げ騎士の行進のようなステップを踏みながらの演奏に切り替える。実際のギターなら難しそうな動きだからこそ、エアギターでは注目を集められる。
「さあいくよ！ ボクの激しいギターさばきを見てくれ！」
終盤、サビに入ると動きはさらに激しさを増し、穂波は大きく頭を振って長い髪をうねらせながら演奏をする。躍動感溢れる動きは女性ながら力強さを表しており、男性、女性ともに好印象を与えていた。
「みんな、見てくれてありがとう！」
最後に杖を頭上に掲げ、穂波が演奏を終えると、観客から拍手と歓声が起こった。
（エアギター……！ これは俺のヘソをアピールする絶好のチャンスなのぜ！ やってやるのぜ！）
天導寺 朱が、自分が最も自信があるヘソを観客にプッシュ出来る機会に期待を膨らませ、出番を待つ。そして出番を告げるコールが聞こえてくると、勢い良くステージに駆け上がり早速ギタープレイを始める。
（ふふふ、この妖艶な手つきを見るのぜ）
あたかも本物のギターを演奏しているような指使いに、観客の目線が引き付けられていく。そしてそれは同時に、朱のアピールしたいヘソに視線が集まることとなった。
（ここだ！）
視線が十分に集まったのを見て、朱が演奏を続けつつ指でグイ、とヘソを開く。アピールの光が弾け、光を浴びた観客が興奮ぎみに歓声をあげる。
（気持ちいいのぜー！ どんどん俺のヘソの虜にしていくのぜ！）
気をよくした朱がステージを移動し、左側の観客、右側の観客、奥の観客にも同様にヘソアピールを行い、支持を集めていった。
「みんな、俺の輝きでノックダウンなのぜ！」
演奏を終える頃には朱の言う通り、ヘソアピールにやられた多数のファンが発生していた。目的を達成した朱の表情は充実感に満ちていた。
「ふふふ……沖縄の海を舞台に、エアギターコンテスト。パフォーマー魂くすぐられるじゃない？」
会場を前に、永見 音萌香が腕を組み不敵な笑みを浮かべる。
「私らはパフォーマー、ならば勝負するのはパフォーマンスの腕前……！ ガチの真剣にエアーをやりきるでぇ！」
かりゆし くるるが拳をグッ、と握り締め、そして音萌香に向き直る。
「万難乗り越えてきた二人でなら、優勝狙えるはずや！ 誰よりも楽しみ尽くしていこ！」
「おうよ！ 全力で楽しみ尽くして最強パフォーマンスで優勝ね！」
固く握手を交わし、二人は会場へと足を踏み入れる――。
出番を告げるコールの後、最初にステージに上がった音萌香は夏らしさを押し出したメイドビキニ姿で、赤いヘッドフォンを片方の耳にかけ、手はつまみやターンテーブルを回す動作を行い、『ライブ前に調整をやっているDJ』感を表現する。
「Are you ready？ さぁ、そろそろ呼ぼうか！ ギター、かりゆし！」
「Yeahhhhh!!」
音萌香の呼びかけに、くるるがギター代わりのモップ片手にハイジャンプでステージに飛び込んでくると、肩から肋骨付近へ流すようにモップを構え、それぞれの手と手首で身体に寄せ、演奏準備を完成させる。観客はその完成された構えに、まさに今これからバンドライブが始まる予感を得る。
「さあ、ミュージックスタートや！」
音萌香とくるるが顔を見合わせ、まずは二人での演奏が始まる。音萌香が全身でリズムを取りながらフェーダーを上下させたりターンテーブルを回したりしてエアDJをこなせば、くるるが足をタン、タンと踏みつつ左手でコードを押さえ、右手でストロークしてエアギターをこなす。
「DJ NAGAMIのソロパート！」
そこから音萌香のソロパートに突入し、ヘッドフォンを両方の耳に当て、両方の手が別々にフェーダーのスライドとターンテーブリズムを担当する。音萌香の動きは徐々に激しさを増し、背面を向いて腕をクロスさせながらの操作や、上げた足から手を回して操作したりといったことまでやってのける。
「ギターかりゆしの凱旋公演やぁ！」
バックキューイングで出番を渡した音萌香に代わり、ステージの前に出たくるるが身体でリズムを刻み、ソロ演奏を披露する。こちらも徐々に動きを激しくさせていき、最後はステージの最前で膝立ちになり、モップの柄を激しく揺らしながらの速弾きでステージを沸かせる。
「「これが二人の……ビートフュージョン！」」
演奏を終えた二人へ、一番の拍手と歓声が送られる――。
全ての参加者の演奏が終了し、審査の結果、『宜野湾エアギターコンテスト』優勝および特別賞受賞者は以下となった。
【優勝】
永見 音萌香・かりゆし くるる 【美ら海みんくる☆】
【特別賞】
天導寺 朱
「……フッ、やはり俺のエアギターテクは、コンテストが逃げ出すほどのレベルだったようだな」
大層な自信を見せるシロミ先輩だが、彼の演奏は観客のブーイングにより途中で打ち切りとなっていた。ちなみに演奏が途中終了となったのは彼のみである。
彼のことはともかくとして、最後にコンテストに参加した参加者がステージに立ち、彼らに対して観客が温かな拍手を送り、コンテストは無事に終了となった――。
「キエエエエィィィィィ！！」
ステージの上で、まるで祈祷を捧げる祈祷師のような動きを見せるアイドル。決してふざけているわけではなく、これも立派なコンテスト、『エアギターコンテスト』であった。
「……フッ、なるほど。俺のギターレベルはもはや評価できるものではないというわけだな」
ステージを見つめ、不敵な笑みを浮かべるシロミ先輩。彼は自分のギターレベルが圧倒的で、ギターコンテストが評価するのを拒否したのだと思い込んでいた……実際はただ会場を間違えただけなのだが。
「だが、俺を甘く見ていたようだな。俺はエアギターの腕前もトップレベルだということを！
ここで優勝するのはただの通過点に過ぎない……だが、やるからには全力でいかせてもらう」
何故か自信たっぷりの様子で、シロミ先輩がエントリーを済ませる。そして他のアイドル達も、自らのパフォーマンス力を試すため、続々とエントリーを済ませるのであった――。
（みんなすごいなー。でも確かに、演じる、って感じならこれだね。おじさんたちの言ってたことは正しかったよ）
直前の演者の演技を見ながら、日下部 穂波が納得の表情を浮かべる。
（直前までコンテストのこと知らなかったから、持ってきている道具は少ないけど。
でも、今ある手札で盛り上げていくよ！）
意気込みを感じさせる表情を見せた穂波へ、出番を告げるコールがかかる。ステージに立った穂波は、持ってきた魔力の込められた杖をギターに見立てて演奏を始める。最初は基本に忠実に弾き、タン、タンと足でステージを叩いて動きをつけ、自身の演技をアピールする。
（でも、これだけじゃつまらないよね？ 本番はここからさ！）
曲でいえば中盤に差し掛かった頃から、足を高く上げ騎士の行進のようなステップを踏みながらの演奏に切り替える。実際のギターなら難しそうな動きだからこそ、エアギターでは注目を集められる。
「さあいくよ！ ボクの激しいギターさばきを見てくれ！」
終盤、サビに入ると動きはさらに激しさを増し、穂波は大きく頭を振って長い髪をうねらせながら演奏をする。躍動感溢れる動きは女性ながら力強さを表しており、男性、女性ともに好印象を与えていた。
「みんな、見てくれてありがとう！」
最後に杖を頭上に掲げ、穂波が演奏を終えると、観客から拍手と歓声が起こった。
（エアギター……！ これは俺のヘソをアピールする絶好のチャンスなのぜ！ やってやるのぜ！）
天導寺 朱が、自分が最も自信があるヘソを観客にプッシュ出来る機会に期待を膨らませ、出番を待つ。そして出番を告げるコールが聞こえてくると、勢い良くステージに駆け上がり早速ギタープレイを始める。
（ふふふ、この妖艶な手つきを見るのぜ）
あたかも本物のギターを演奏しているような指使いに、観客の目線が引き付けられていく。そしてそれは同時に、朱のアピールしたいヘソに視線が集まることとなった。
（ここだ！）
視線が十分に集まったのを見て、朱が演奏を続けつつ指でグイ、とヘソを開く。アピールの光が弾け、光を浴びた観客が興奮ぎみに歓声をあげる。
（気持ちいいのぜー！ どんどん俺のヘソの虜にしていくのぜ！）
気をよくした朱がステージを移動し、左側の観客、右側の観客、奥の観客にも同様にヘソアピールを行い、支持を集めていった。
「みんな、俺の輝きでノックダウンなのぜ！」
演奏を終える頃には朱の言う通り、ヘソアピールにやられた多数のファンが発生していた。目的を達成した朱の表情は充実感に満ちていた。
「ふふふ……沖縄の海を舞台に、エアギターコンテスト。パフォーマー魂くすぐられるじゃない？」
会場を前に、永見 音萌香が腕を組み不敵な笑みを浮かべる。
「私らはパフォーマー、ならば勝負するのはパフォーマンスの腕前……！ ガチの真剣にエアーをやりきるでぇ！」
かりゆし くるるが拳をグッ、と握り締め、そして音萌香に向き直る。
「万難乗り越えてきた二人でなら、優勝狙えるはずや！ 誰よりも楽しみ尽くしていこ！」
「おうよ！ 全力で楽しみ尽くして最強パフォーマンスで優勝ね！」
固く握手を交わし、二人は会場へと足を踏み入れる――。
出番を告げるコールの後、最初にステージに上がった音萌香は夏らしさを押し出したメイドビキニ姿で、赤いヘッドフォンを片方の耳にかけ、手はつまみやターンテーブルを回す動作を行い、『ライブ前に調整をやっているDJ』感を表現する。
「Are you ready？ さぁ、そろそろ呼ぼうか！ ギター、かりゆし！」
「Yeahhhhh!!」
音萌香の呼びかけに、くるるがギター代わりのモップ片手にハイジャンプでステージに飛び込んでくると、肩から肋骨付近へ流すようにモップを構え、それぞれの手と手首で身体に寄せ、演奏準備を完成させる。観客はその完成された構えに、まさに今これからバンドライブが始まる予感を得る。
「さあ、ミュージックスタートや！」
音萌香とくるるが顔を見合わせ、まずは二人での演奏が始まる。音萌香が全身でリズムを取りながらフェーダーを上下させたりターンテーブルを回したりしてエアDJをこなせば、くるるが足をタン、タンと踏みつつ左手でコードを押さえ、右手でストロークしてエアギターをこなす。
「DJ NAGAMIのソロパート！」
そこから音萌香のソロパートに突入し、ヘッドフォンを両方の耳に当て、両方の手が別々にフェーダーのスライドとターンテーブリズムを担当する。音萌香の動きは徐々に激しさを増し、背面を向いて腕をクロスさせながらの操作や、上げた足から手を回して操作したりといったことまでやってのける。
「ギターかりゆしの凱旋公演やぁ！」
バックキューイングで出番を渡した音萌香に代わり、ステージの前に出たくるるが身体でリズムを刻み、ソロ演奏を披露する。こちらも徐々に動きを激しくさせていき、最後はステージの最前で膝立ちになり、モップの柄を激しく揺らしながらの速弾きでステージを沸かせる。
「「これが二人の……ビートフュージョン！」」
演奏を終えた二人へ、一番の拍手と歓声が送られる――。
全ての参加者の演奏が終了し、審査の結果、『宜野湾エアギターコンテスト』優勝および特別賞受賞者は以下となった。
【優勝】
永見 音萌香・かりゆし くるる 【美ら海みんくる☆】
【特別賞】
天導寺 朱
「……フッ、やはり俺のエアギターテクは、コンテストが逃げ出すほどのレベルだったようだな」
大層な自信を見せるシロミ先輩だが、彼の演奏は観客のブーイングにより途中で打ち切りとなっていた。ちなみに演奏が途中終了となったのは彼のみである。
彼のことはともかくとして、最後にコンテストに参加した参加者がステージに立ち、彼らに対して観客が温かな拍手を送り、コンテストは無事に終了となった――。
