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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

全力エスケープ・ナウ!

リアクション公開中!
全力エスケープ・ナウ!

リアクション

【残り 0:36】

 待機場所全てが封鎖され、参加者に求められるのはもはや「全力で逃げる」ことのみになった。
 そんな中、新たに店舗内から檻のをゲットする参加者が現れた。

「これが私のガン=カタアクション! 残り30分! クールにキメるわよ!」
 クロティア・ライハはインフィニティ レプリカを手に、ガン=カタアクションで観客にアピールしていた。
 演じるのはフローズンドリンクのスタンド前。
 黒服が周囲にいないことを確認し、その間にお店の宣伝を買って出ているのだ。
「走って疲れた体に効果抜群! 人気商品フローズンドリンク発売中!」
 クロティアはカメラに向かってグッドスマイルでアピールした。
 すると、店員が拍手をしながら何かを持ってきた。
「クロティアさん、ありがとうございます。これ、お持ちください」
「えっ、これ1人限定復活キーよね? どうして……?」
「実は、お店の宣伝をしてくださった方にお渡ししているんです。内緒ですよ?」
 実は、これがゲームの裏技だった。
 イクスピナ内の幾つかの店の店員は檻を開ける復活キーを持っており、お店の商品を上手にPRしてくれた参加者に手渡すことになっていたのだ。
「えっ、どうしよう! 私、今回はソロ参加だから渡す人がいないのよ……! えっと、誰か……!」
 その時、クロティアの目に入ったのは息を切らしながら走ってくるUltra Ray橘 駿の姿だった。
 クロティアは手を振り、その場で駿を呼び止めた。
「駿さん! これ、持っていって!」
「クロティア?! おい、良いのか!?」
「いいの。私は最後まで逃げ切りたいから。ウルレイのメンバー、まだ捕まってるんでしょう? あげるわ!」
「すまない……。礼を言う!」
 駿はクロティアの復活キーを受け取ると、檻の方へ走り出した。
 檻には自分と引き換えに捕まってしまったメンバーが入っている。
 残り時間は少ないが、駿は1人でも多く助けるつもりだった。
「黒服の行動パターンは檻の中から十分に観察して分かった……! このままうまく逃げれば、あいつらを助けられる!」
 駿はぜぇはぁと息を切らしながらもどうにか逃げ延び、鍵を探して回った。
 その様子を街歩きしているグランツ・ファタリテートシエラ・リアンが見ていた。
「今のは、ウルレイのメンバーだね。シエラ、ハイこれ。フローズンドリンク来たよ」
「駿さんは今、1人で逃げてるみたいです。と、いうことはいざというときは大勢を相手にしなければならないのです」
 シエラはドリンクを受け取り、ストローを口に運んだ。
「商い道徳に反するのでここだけの話にするですが、この混み合ったショッピングモール内で多数を相手にするなら一度に全て相手をしない方法が有効です」
「見守るだけで情報をどちらにもリークしないつもり? 凄い楽しそうだよねー……シエラ」
 グランツが苦笑する。
 だが、シエラは気にしていないようだった。
「それと、お店の人しか入れない場所は隠れるのに向いてますが、袋小路になり易く、逃走経路からも不利になり易いので、行かないほうが良いのです」
 そんな事を言うシエラの視線の先で、駿が行き止まりに入り込んで右往左往していた。
 早速行き先を誤ったようだ。
「あのまま、駿さんはきっと屋根に行くです」
「えっ」
「お店の屋根に登るですよ」
 シエラはポカンとするグランツにそう言って笑ってみせた。
 今回、シエラは皆がどのようにして逃げるか予想して歩いて見守ることを楽しみに来ているらしい。
 グランツはそんなシエラを呆れつつも微笑ましげに見守っていた。
「やれやれ……出かける前、『時代の最先端を行く私は探検家の勘を生かし皆さんがどのように逃げるか予想してイクスピナを歩き、双方の戦いを客観的に楽しむです』なんて言ってたけど、徹底してるよね、流石に」
「……何故笑うですか」
「屋根はないよ流石に。第一、あんなところどうやって……」
 そう、グランツが言いかけた時だった。
 駿は薬局の前に置かれていたマスコットキャラクターの置物を引きずって屋根の下に置くと、そこから庇の上によじ登った。
 2階の店舗のデッキに回るつもりのようだ。
「今度駅ダンジョンって遺跡みたいな所でも探検しに行こうか」
 グランツがそう言って笑いかけると、シエラは大きく頷き、フローズンドリンクを飲み干した。
「では行くですよ! 続きはウィンドーショッピングです! ふふっ、グランツさん、美少女とデートとは役……何故笑うですか!」
「美少女って、やっぱり自分で言うんだ」
「むがーっ! 上から目線でむかつくです! 美少女ったら美少女です!」
「まぁ、そういうことにしておくよ。さぁ、行こうか」
 残り時間は少ない。
 イクスピナの散策を楽しむために、2人は再び歩き出した。
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