全力エスケープ・ナウ!
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「やれやれ、何故俺まで、こんな珍妙な飾りをつけて番組に参加しなければならないのか……まぁいい。これも歌い手を守る王国騎士の仕事だ。契約通り、歌音を守る任を遂行するとしようか」
ウィリアムはため息をつきつつ、集まってきた黒服の元へ向かった。
黒服は見渡す限りの獣耳の集団を見て動揺しているようだった。
中には間違えてエキストラに手を出す者もいる始末である。
「やはり……予想通りになったな。仕方ない、観客側がパニックを起こして怪我をする前に、行くとするか」
ウィリアムは素早く黒服のもとへ駆けつけると、黒服と観客との間に入り、その場に立ちはだかった。
黒服はウィリアムのカチューシャを見て参加者だと気づき、一斉にこちらへ向かってきた。
「ウィリアム君! その人達はボクが引き受けるよ!」
そう言ってアクロスケボで飛び込んできたのはウサ耳を付けた日下部 穂波だった。
穂波がハイジャンプで自分の存在をアピールすると、黒服達は一斉に穂波を追い始めた。
しかし全員とはいかず、黒服はウィリアムの前に1人残ってしまった。
「抵抗するべきか……しかし、黒服たちに怪我を負わせるわけには……」
黒服と一対一になったウィリアムは背後に庇ったエキストラ達と黒服の間に挟まれ、決断を迫られた。
そして悩んだ末、舞台の上の仲間と観客エキストラのため、初志貫徹を選んだ。
「貴様らも……もう分かっただろう。参加者は俺達だ。エキストラに手を出さないならば、持っていくが良い!」
黒服は大きく頷き、ウィリアムのカチューシャを外した。
こうしている間に番組スタッフや黒服同士のやり取りで、エキストラと【絶対逃げ切り隊】メンバーとの判別がはっきりし、会場内での大きな混乱は阻止された。
「うわっ、みんな来た……! キ、キミ達何人いるの!? ちょっと待って―!」
アクロスケボに乗った穂波は逃げる速度では圧倒的に有利だったが、黒服も追うことに関してはエキスパートである。
巧みに追い詰められ、穂波は大ピンチに陥った。
「ひっ、ひどぉい……お、おにーさん。ボクを、いじめるの?」
ぷるぷるしながら上目遣いで訴える穂波に迫る屈強な黒服達。
しかしそこへ、新たな仲間が駆け付けた。
「ジャルジー、フォリ、黒服さんの足元に行って遊んでらっしゃい」
二匹のミニうさを繰り出したのは猫耳カチューシャを付けた美鶴妃 タオである。
一体何なのかと振り返る黒服に、タオは「はぁい♪」と投げキスをしてみせた。
本来の性別は男だが、今日は完全に女になりきっての参加のようだ。
タオは黒服の気を引こうと、真っ黄色のひよこのきぐるみを着ていた。
「穂波ちゃんだけじゃなくてあたしとも遊んでくれない? その子達、かわいいでしょ?」
黒服達がタオのお色気アピールに一瞬たじろぐ。
その間に、穂波はアクロスケボでその場から逃げ出した。
「ごめんねおにーさん! もうちょっとこうして遊んでいたいんだ! ありがとうね、美鶴妃君!」
「いいのよ~。さぁ、ジャルジー、フォリ、戻るのよ、逃げるから。じゃね黒服さんたち♪」
タオはミニうさたちを回収すると、ウィンクしてその場から走り出す。
黒服たちはハッと正気に戻ると、その後を追った。
「タオ姐さん! こっちこっち! 引きつけて!」
そう言って物陰から現れたのはシャチとサメのヒレを模したカチューシャを付けたアスティノア・シエスタリアだった。
アスティノアはマナ・バレットを放ち、黒服達を妨害した。
「とりあえずシャロの言う作戦は今のところうまくいってるみたいね……このまま、ライブ勢にも頑張ってもらわなきゃ!」
舞台の上ではライブメンバーが観客を惹きつけ、盛り上げ続けている。
その背後の画面が切り替わると、そこには猫耳カチューシャのシャーロット・フルールの姿が映った。
『にゃっは~♪ 黒服ちゃんをライブ組から引き離す囮役としちゃ、目立ってヘイト集めないとね♪ 猫耳付けてれっつご~☆』
そう言って屋根の上をハイジャンプするシャーロットを、撮影スタッフは音声を含めてしっかりカメラに収めていた。
曲の合間に聞こえてきたそのおちゃめな声に会場がどっと笑いに包まれる。
そして、黒服の注意も一斉にそちらに向かった。
「ああもうシャロったら既に屋根の上にいるのね……! じゃあわたしは下でシャロの為に妨害をしないとね!」
アスティノアはそう決心すると、ユニカジのパーカーを脱ぐ。
その下にはスクール水着を着込んでいた。
黒服の注目を集めるのが狙いのようだ。
「シャロのところには行かせないわ! 食らいなさい!」
桃鯱クルト、水鮫レクアの二丁のエアーハンドガンを手に、ガンナーズ・ハイの派手な乱れ撃ちを繰り出し、黒服の行く手を妨害した。
さらに、それをかわして階段を上がろうとする者たちはアクア・ダートの水攻撃で狙い撃ちする。
そうする間に、シャーロットはサーカスワイヤーを店舗の屋根に張り、大立ち回りを披露しながらルミマルブザーを振り回し、曲芸の如く黒服を煽った。
「鬼さ~ん、ねこねこ妖精シャロちゃんはこっちだよ~♪ にゃふふ、これでも喰らえっ☆」
上を見上げた黒服の上にシャーロットの投げたピコピコハンマーが落下する。
シャーロットは「にゃははは♪」と笑いながら屋根の上を走り回っていた。
しかし……。
「ひゃぁっ?!」
「シャロ!」
足を滑らせ、植え込みの中に落下するシャロと駆けつけるアスティノア。
どうやら、無事だったようだ。
「もう、シャロったら心配したわよ」
「えへへ、あすちゃん大好きっ♪ ずっ友だよっ!」
仲睦まじく寄り添う2人。
散々2人に翻弄され、やられまくった黒服達がその周囲でふらふらと立ち上がる。
すると……。
「……!!」
突如、ズガーンという派手な音が響き、沸き起こった爆発。
思わず伏せる黒服。
そして、顔をあげると……。
「あはははは♪ こっちだよーん♪」
「ほらほら馬鹿でロリコンなお兄ちゃん達、私達はここよ?」
シャーロットとアスティノアは手に手を取って逃避行中。
黒服たちは若干ゲンナリしながら2人を追ったのであった。
「やれやれ、何故俺まで、こんな珍妙な飾りをつけて番組に参加しなければならないのか……まぁいい。これも歌い手を守る王国騎士の仕事だ。契約通り、歌音を守る任を遂行するとしようか」
ウィリアムはため息をつきつつ、集まってきた黒服の元へ向かった。
黒服は見渡す限りの獣耳の集団を見て動揺しているようだった。
中には間違えてエキストラに手を出す者もいる始末である。
「やはり……予想通りになったな。仕方ない、観客側がパニックを起こして怪我をする前に、行くとするか」
ウィリアムは素早く黒服のもとへ駆けつけると、黒服と観客との間に入り、その場に立ちはだかった。
黒服はウィリアムのカチューシャを見て参加者だと気づき、一斉にこちらへ向かってきた。
「ウィリアム君! その人達はボクが引き受けるよ!」
そう言ってアクロスケボで飛び込んできたのはウサ耳を付けた日下部 穂波だった。
穂波がハイジャンプで自分の存在をアピールすると、黒服達は一斉に穂波を追い始めた。
しかし全員とはいかず、黒服はウィリアムの前に1人残ってしまった。
「抵抗するべきか……しかし、黒服たちに怪我を負わせるわけには……」
黒服と一対一になったウィリアムは背後に庇ったエキストラ達と黒服の間に挟まれ、決断を迫られた。
そして悩んだ末、舞台の上の仲間と観客エキストラのため、初志貫徹を選んだ。
「貴様らも……もう分かっただろう。参加者は俺達だ。エキストラに手を出さないならば、持っていくが良い!」
黒服は大きく頷き、ウィリアムのカチューシャを外した。
こうしている間に番組スタッフや黒服同士のやり取りで、エキストラと【絶対逃げ切り隊】メンバーとの判別がはっきりし、会場内での大きな混乱は阻止された。
「うわっ、みんな来た……! キ、キミ達何人いるの!? ちょっと待って―!」
アクロスケボに乗った穂波は逃げる速度では圧倒的に有利だったが、黒服も追うことに関してはエキスパートである。
巧みに追い詰められ、穂波は大ピンチに陥った。
「ひっ、ひどぉい……お、おにーさん。ボクを、いじめるの?」
ぷるぷるしながら上目遣いで訴える穂波に迫る屈強な黒服達。
しかしそこへ、新たな仲間が駆け付けた。
「ジャルジー、フォリ、黒服さんの足元に行って遊んでらっしゃい」
二匹のミニうさを繰り出したのは猫耳カチューシャを付けた美鶴妃 タオである。
一体何なのかと振り返る黒服に、タオは「はぁい♪」と投げキスをしてみせた。
本来の性別は男だが、今日は完全に女になりきっての参加のようだ。
タオは黒服の気を引こうと、真っ黄色のひよこのきぐるみを着ていた。
「穂波ちゃんだけじゃなくてあたしとも遊んでくれない? その子達、かわいいでしょ?」
黒服達がタオのお色気アピールに一瞬たじろぐ。
その間に、穂波はアクロスケボでその場から逃げ出した。
「ごめんねおにーさん! もうちょっとこうして遊んでいたいんだ! ありがとうね、美鶴妃君!」
「いいのよ~。さぁ、ジャルジー、フォリ、戻るのよ、逃げるから。じゃね黒服さんたち♪」
タオはミニうさたちを回収すると、ウィンクしてその場から走り出す。
黒服たちはハッと正気に戻ると、その後を追った。
「タオ姐さん! こっちこっち! 引きつけて!」
そう言って物陰から現れたのはシャチとサメのヒレを模したカチューシャを付けたアスティノア・シエスタリアだった。
アスティノアはマナ・バレットを放ち、黒服達を妨害した。
「とりあえずシャロの言う作戦は今のところうまくいってるみたいね……このまま、ライブ勢にも頑張ってもらわなきゃ!」
舞台の上ではライブメンバーが観客を惹きつけ、盛り上げ続けている。
その背後の画面が切り替わると、そこには猫耳カチューシャのシャーロット・フルールの姿が映った。
『にゃっは~♪ 黒服ちゃんをライブ組から引き離す囮役としちゃ、目立ってヘイト集めないとね♪ 猫耳付けてれっつご~☆』
そう言って屋根の上をハイジャンプするシャーロットを、撮影スタッフは音声を含めてしっかりカメラに収めていた。
曲の合間に聞こえてきたそのおちゃめな声に会場がどっと笑いに包まれる。
そして、黒服の注意も一斉にそちらに向かった。
「ああもうシャロったら既に屋根の上にいるのね……! じゃあわたしは下でシャロの為に妨害をしないとね!」
アスティノアはそう決心すると、ユニカジのパーカーを脱ぐ。
その下にはスクール水着を着込んでいた。
黒服の注目を集めるのが狙いのようだ。
「シャロのところには行かせないわ! 食らいなさい!」
桃鯱クルト、水鮫レクアの二丁のエアーハンドガンを手に、ガンナーズ・ハイの派手な乱れ撃ちを繰り出し、黒服の行く手を妨害した。
さらに、それをかわして階段を上がろうとする者たちはアクア・ダートの水攻撃で狙い撃ちする。
そうする間に、シャーロットはサーカスワイヤーを店舗の屋根に張り、大立ち回りを披露しながらルミマルブザーを振り回し、曲芸の如く黒服を煽った。
「鬼さ~ん、ねこねこ妖精シャロちゃんはこっちだよ~♪ にゃふふ、これでも喰らえっ☆」
上を見上げた黒服の上にシャーロットの投げたピコピコハンマーが落下する。
シャーロットは「にゃははは♪」と笑いながら屋根の上を走り回っていた。
しかし……。
「ひゃぁっ?!」
「シャロ!」
足を滑らせ、植え込みの中に落下するシャロと駆けつけるアスティノア。
どうやら、無事だったようだ。
「もう、シャロったら心配したわよ」
「えへへ、あすちゃん大好きっ♪ ずっ友だよっ!」
仲睦まじく寄り添う2人。
散々2人に翻弄され、やられまくった黒服達がその周囲でふらふらと立ち上がる。
すると……。
「……!!」
突如、ズガーンという派手な音が響き、沸き起こった爆発。
思わず伏せる黒服。
そして、顔をあげると……。
「あはははは♪ こっちだよーん♪」
「ほらほら馬鹿でロリコンなお兄ちゃん達、私達はここよ?」
シャーロットとアスティノアは手に手を取って逃避行中。
黒服たちは若干ゲンナリしながら2人を追ったのであった。