■ぽかぽかとほっこりなライブ


　ショッピングモール『イクスピナ』の屋外特設ステージ、舞台袖。

「……もうそろそろ」
　桜色の愛らしいポップ系ブランド「フェスタ」プロデュースのサクラストームを纏う狩屋　恋歌が出番を待っていた。
　程なくして、スタッフが休憩が終了し午後の部の始まりを伝えに来た。
「分かりました。すぐに行きます」
　恋歌は答えてから左手薬指にそっと触れ、心穏やかにしてから
「さあ、出番です」
　耳を覆う部分がハートの形であるヘッドセットマイクのハートリンクヘッドセットを付けてステージへ。

「初めまして、甘味恋歌です」
　アイドルとしての風格『風雅のクロスコード』を纏った恋歌は芸名を名乗り、丁寧にお辞儀をした後
「最愛の人、家族、お友だちや、今日この場にいる皆さん……“あなた”と同じ時を過ごせる幸せと感謝を胸に、一曲歌います」
　顔を上げ、客席に向かってふんわりと笑んでから、優しい曲調の可愛らしいバラード曲【わたしのしあわせ】を歌い始めた。
「♪♪（歌に私の想いを乗せて）」
　ハートリンクヘッドセットを通す“あなた”と過ごせる幸せと感謝の気持ちを、優しく歌い上げる。
「♪♪（ぽかぽかな光と暖かさで相手を想う穏やかな心を表現して）」
　『ナチュラルサンシャイン』も加え、歌声にのびのびさが加わり、舞台はぽかぽかな光に満たされる。
「何か胸がほっこりする」
「実家に帰りたくなったなぁ」
「帰って妻にありがとうを言いたくなった」
　観客達は、温かさに満たされ誰かに感謝を伝えたい気分になっていた。
「♪♪（溢れる好きの気持ちを乗せて）」
　恋歌は『フワリ・ハート』で、好きな気持ちをふわふわと風船のようなハートを沢山生み出し浮遊させ、ステージを一層ポップで愛らしくする。
「歌う事が大好きなのを感じますね」
「だねっ！　ハートの風船とか可愛いし、何か笑顔になっちゃうねっ」
　凛菜と桃子は、仲良く“楽しい”を共有していた。
「♪♪（皆さんに少しでも楽しんでいただけていたら、嬉しいのですが）」
　恋歌は丁寧に歌い、会場に笑顔を溢れさせる。
　そしてついに楽しいひとときは、終わりを迎え、ステージが元に戻ると共に恋歌は、お辞儀をして締めた。