【異世界カフェ・番外編】猫祭り
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◆猫祭りを楽しむ(3)
「ハル、葦原で猫祭りやってるんだって……行きたい」
御空 藤は夫の御空 一晴の袖口をそっとつまんで、控え目におねだりした。
「猫祭り、か。変わった催し、とゆか、誰かさんにピッタリな祭りだなぁ」
一晴は藤の猫耳パーカーの耳の縁を指先でなぞる。
「……べ、つに。猫好きなだけだから……! 私猫じゃないからね……!!」
そんな会話をして、二人で出かけた猫祭り。
猫だらけのご機嫌なパレードを見てから、ゆっくりと出店を見て回る。
どの店も猫に絡めた商品を置いていて、それは大抵「猫祭り限定商品」だった。
「へえ、結構、気合入れてやってるな」
一晴はそれぞれの店が工夫を凝らして作っている様々な商品に興味津々。
限定という言葉に弱いので尚更である。
“本日限定! 運の付く猫の額(ひたい)漬け”というタイトルの謎の商品を思わず手に取った一晴が「中身は何だろう」としげしげ見ていると、
「……ハル、変なもの買わないでね……?」
藤から警告を受けてしまった。
手に持った商品をバッと手放して、一晴はジト目の藤を見る。
そんな藤のバッグには、もうすでに今日買った可愛らしい猫グッズが溢れているのだった。
「あー、唐突だけど。猫居るとこ探して、少しそこで休憩しね……?」
一晴は猫絡みのものばかり見ているうちに猫そのものを見たくなってきていたので、こう提案してみた。
それに、本来は藤とゆっくりできればそれでいいのだ。
藤も(結局、ハルを引っ張って連れ回す形になってる気がするけど……)と少し気にしていたので、一晴に賛成した。
「……ん、休憩、する。私も猫と遊びたい、かも」
それじゃあ猫がいそうな場所を知っているか聞いてみよう、と近くの店に入った。
「……あ、マタタビ……! 猫じゃらしも売ってるよハル! 買おう……!」
たまたま入った店で、本物の猫に会いに行くのに丁度いいものを見つけた。
マタタビのお金を払う時、一晴が「これ面白い!」と言って、猫祭り限定商品をついで買いした。
猫の手をかたどった棒だ。
肉球部分は、綿が詰められているのかふわふわしている。
藤は(何に使うんだろ?)と思ったが、一晴が楽しそうにしているので黙っていた。
買物を済ませた二人は手を繋いで、店の人に教えてもらった路地裏の空き地に行ってみた。
そこは猫の集会所になっているようで、たくさんの猫がこちらを見ていた。
藤は猫たちを怖がらせないように、静かに歩いて少し離れた所に座った。
一晴も藤に倣って並んで静かに座る。
しばらく待っていると二人の周りに猫が寄ってきた。
藤は、猫耳パーカーを着ているせいか猫好きのせいか、普段でも猫が周りに集まってくるお得な体質だ。
頃合いを見計らって、手近な猫を一匹抱き上げてみる。
「……どこからきたの、にゃ?」
猫は「にゃー」と一声鳴いて応えた。
藤には猫の警戒心を解くなにかがあるのか、猫たちはだんだん大胆になって藤の膝や肩の上に乗ってきて、にゃあにゃあ鳴く。
それに合わせて藤もにゃあにゃあ言って、猫を追って夢中で遊んでいたが、猫を抱き上げた時ふと一晴の姿が目に入り、彼がいることに急に気付いて目を逸らせた。
猫語を聞かれていたかと思うと恥ずかしくなって、そっと一晴の様子を窺い見ると、一晴にも猫がすり寄っている。
(あれはマタタビの効果なのか……? それともハルが虎の半妖だから?)
一晴は、寄ってきた猫を猫じゃらしで翻弄して適当に遊んでいた。
しばらくして、先ほど買った「猫の手」を出して猫に見せてみた。
一晴はこれを猫に見せたらどんな反応をするか見たいと思って、衝動買いしたのだった。
「…………」
猫はふんふんと匂いを嗅いだだけで特に興味もない様子だった。
一晴がふわふわの肉球部分で撫でようとしたら、猫は棒で叩かれると誤解したのか、サッと身をかわして避けた。
「ああ、ごめんごめん、脅かすつもりはないんだ」
一晴は言いながら、藤の様子を見ようとそちらに視線を向けると、じっと見つめている藤と目が合った。
藤は表情が分かりにくいが、今はやや不満そうに見える。
訝る一晴の元に、腕に茶虎猫を抱いたまま足早に近寄ってくると、藤は一言、
「……にゃあ」
と鳴いて、猫のように体をすり寄せる。
藤は一晴にまとわりついている猫が羨ましくなってしまったのだ。
その気持ちが「……にゃあ」と発音された。
意味は(私にも構ってよねー……?)。
急に猫化した藤の破壊的な可愛さに、一晴はどう反応したらいいのかわからない。
思わず持っていた猫の手のふわふわの肉球で、藤の手と茶虎猫の境目あたりを撫でて目を逸らせ、口の中でぼそりと呟く。
「んっ、可愛い……」
「へっ……え、と」
(可愛いって、どっちに言ったのさぁ……!)
藤は心の中で叫んだが、そんな事はもう明白ですよね☆
「ハル、葦原で猫祭りやってるんだって……行きたい」
御空 藤は夫の御空 一晴の袖口をそっとつまんで、控え目におねだりした。
「猫祭り、か。変わった催し、とゆか、誰かさんにピッタリな祭りだなぁ」
一晴は藤の猫耳パーカーの耳の縁を指先でなぞる。
「……べ、つに。猫好きなだけだから……! 私猫じゃないからね……!!」
そんな会話をして、二人で出かけた猫祭り。
猫だらけのご機嫌なパレードを見てから、ゆっくりと出店を見て回る。
どの店も猫に絡めた商品を置いていて、それは大抵「猫祭り限定商品」だった。
「へえ、結構、気合入れてやってるな」
一晴はそれぞれの店が工夫を凝らして作っている様々な商品に興味津々。
限定という言葉に弱いので尚更である。
“本日限定! 運の付く猫の額(ひたい)漬け”というタイトルの謎の商品を思わず手に取った一晴が「中身は何だろう」としげしげ見ていると、
「……ハル、変なもの買わないでね……?」
藤から警告を受けてしまった。
手に持った商品をバッと手放して、一晴はジト目の藤を見る。
そんな藤のバッグには、もうすでに今日買った可愛らしい猫グッズが溢れているのだった。
「あー、唐突だけど。猫居るとこ探して、少しそこで休憩しね……?」
一晴は猫絡みのものばかり見ているうちに猫そのものを見たくなってきていたので、こう提案してみた。
それに、本来は藤とゆっくりできればそれでいいのだ。
藤も(結局、ハルを引っ張って連れ回す形になってる気がするけど……)と少し気にしていたので、一晴に賛成した。
「……ん、休憩、する。私も猫と遊びたい、かも」
それじゃあ猫がいそうな場所を知っているか聞いてみよう、と近くの店に入った。
「……あ、マタタビ……! 猫じゃらしも売ってるよハル! 買おう……!」
たまたま入った店で、本物の猫に会いに行くのに丁度いいものを見つけた。
マタタビのお金を払う時、一晴が「これ面白い!」と言って、猫祭り限定商品をついで買いした。
猫の手をかたどった棒だ。
肉球部分は、綿が詰められているのかふわふわしている。
藤は(何に使うんだろ?)と思ったが、一晴が楽しそうにしているので黙っていた。
買物を済ませた二人は手を繋いで、店の人に教えてもらった路地裏の空き地に行ってみた。
そこは猫の集会所になっているようで、たくさんの猫がこちらを見ていた。
藤は猫たちを怖がらせないように、静かに歩いて少し離れた所に座った。
一晴も藤に倣って並んで静かに座る。
しばらく待っていると二人の周りに猫が寄ってきた。
藤は、猫耳パーカーを着ているせいか猫好きのせいか、普段でも猫が周りに集まってくるお得な体質だ。
頃合いを見計らって、手近な猫を一匹抱き上げてみる。
「……どこからきたの、にゃ?」
猫は「にゃー」と一声鳴いて応えた。
藤には猫の警戒心を解くなにかがあるのか、猫たちはだんだん大胆になって藤の膝や肩の上に乗ってきて、にゃあにゃあ鳴く。
それに合わせて藤もにゃあにゃあ言って、猫を追って夢中で遊んでいたが、猫を抱き上げた時ふと一晴の姿が目に入り、彼がいることに急に気付いて目を逸らせた。
猫語を聞かれていたかと思うと恥ずかしくなって、そっと一晴の様子を窺い見ると、一晴にも猫がすり寄っている。
(あれはマタタビの効果なのか……? それともハルが虎の半妖だから?)
一晴は、寄ってきた猫を猫じゃらしで翻弄して適当に遊んでいた。
しばらくして、先ほど買った「猫の手」を出して猫に見せてみた。
一晴はこれを猫に見せたらどんな反応をするか見たいと思って、衝動買いしたのだった。
「…………」
猫はふんふんと匂いを嗅いだだけで特に興味もない様子だった。
一晴がふわふわの肉球部分で撫でようとしたら、猫は棒で叩かれると誤解したのか、サッと身をかわして避けた。
「ああ、ごめんごめん、脅かすつもりはないんだ」
一晴は言いながら、藤の様子を見ようとそちらに視線を向けると、じっと見つめている藤と目が合った。
藤は表情が分かりにくいが、今はやや不満そうに見える。
訝る一晴の元に、腕に茶虎猫を抱いたまま足早に近寄ってくると、藤は一言、
「……にゃあ」
と鳴いて、猫のように体をすり寄せる。
藤は一晴にまとわりついている猫が羨ましくなってしまったのだ。
その気持ちが「……にゃあ」と発音された。
意味は(私にも構ってよねー……?)。
急に猫化した藤の破壊的な可愛さに、一晴はどう反応したらいいのかわからない。
思わず持っていた猫の手のふわふわの肉球で、藤の手と茶虎猫の境目あたりを撫でて目を逸らせ、口の中でぼそりと呟く。
「んっ、可愛い……」
「へっ……え、と」
(可愛いって、どっちに言ったのさぁ……!)
藤は心の中で叫んだが、そんな事はもう明白ですよね☆