【異世界カフェ・番外編】猫祭り
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◆猫祭りのパレード(3)
兎多園 詩籠は猫にちなんでネズミに仮装している。
ネズミはネズミでも、妖怪「旧鼠(きゅうそ)」だ。
衣装は【妖の衣】を自分で改造してこしらえた。
明るい灰色の生地の上にネズミの足跡の形のスタンプを、赤と青の二色使いで散らして捺すと、花びらが散ったような綺麗なデザインになった。
特徴的なネズミの長~い尻尾は、同じ灰色の生地で作ってズボンのお尻に縫い付けた。
顔にはネズミのひげをテープで貼り付けて、コミカルかつ可愛らしい旧鼠の出来上がりだ。
パレードの行進が止まり、パフォーマンスの時間になった時、詩籠は猫姫の乗った山車の前に篠笛を吹き鳴らしながら飛び出した。
そして、ネズミっぽくちょろちょろ動き回りながら猫姫の二人を指さして、【傾奇帆符】をラップ調で歌う。
やあ! お可愛い姫様 飛びこみゃオイラ両手に花
ちょいと本気で飛び上がりゃ 鼠だって猫のお殿様
と、そこで掛け声を掛けて【浮遊身転】で低く二回転。
「よ! ぴょーい! よ! ぴょーい!」
不思議な掛け声と動作が、妖怪っぽさを表現している。
「こいつぁおかしい! まるであやかしぃ!」
韻を踏んだ言葉遊びのような台詞を言いながら右往左往する演技をしつつ、手から【飛炎】で小さな炎を出現させて踊らせる。
「あ! ちゅーい! あ! ちゅーい!」
叫びながら、長い尻尾を炎すれすれに掠めて振って、今度は思い切り高く【浮遊身転】で二回転。
あ、ちゅーい、の掛け声は「熱い」を意味していたのか、
「こいつはたまらーん」
と叫んで、文字通り尻尾をまいて猫姫の前から逃げていった。
小者感がにじみ出た旧鼠を演じた詩籠のパフォーマンスは猫の強さを際立たせ、また、猫姫の優雅さを引き立たせるのにも一役買った。
それが分かった猫姫の二人は、走り去る詩籠に感謝の眼差しを送っていた。
***
根が陽気で明るい性格の深郷 由希菜は、どちらかと言うと犬派だが、猫も大好きなのだ。
だから、パレードに参加する前に係の人にお願いして顔に猫のメイクを施してもらっただけでも、ワクワクして楽しい気分になった。
由希菜は、手持ちの衣装の中で唯一猫に関わりがある……かもしれない【水虎の衣】を身に纏い、涼やかな水音を立てながらパレードの隊列の中で行進している。
猫耳や尻尾は適当なものを持っていなかったので、大胆に省略。
顔が猫メイクなので、それで十分だ。
手は猫の手のように指を丸くして、猫になりきって由希菜はしなやかな身のこなしで歩いている。
「藍ちゃん茜ちゃん、猫姫おめでとうにゃ~♪」
山車の上にいる猫姫たちに【るみ鳴子】を振って光と音で祝福すれば、
「由希菜さ~ん、ありがとう~!」
「由希菜さんも、と~っても可愛い猫さんになりましたね~!」
藍と茜が交互に答えてくれる。
由希菜は嬉しくて、なんだか踊りたい気持ちになってきた。
【大桜の舞】で踊り始めると、沿道の見物人も由希菜につられて踊り出す。
彼らにも由希菜の楽しい気持ちが伝染したらしくニコニコ顔だ。
だんだん盛り上がってきて今度は【おさんぽ日和の舞】で踊ってみると、近くにいた小動物たち、特に猫たちが由希菜の周りに引き寄せられる。
「にゃんにゃにゃにゃにゃんにゃ♪」
デタラメな猫語を話しながら、由希菜と見物人たち、集まった猫や小動物たちはみんなで楽しく踊ってパレードしたのだった。
***
死 雲人は猫姫のエスコートをする“猫武将”の役としてパレードの隊列を歩いていた。
顔には猫の面を被り、上着は【孔雀の袖飾り】を取り付けた豪華なもの。
手に持った【黄金丸】は振るほどにきらきらと輝き、位の高い武将らしさを醸し出している。
その様子は猫姫を一層高貴な姫らしく演出し、引き立てるのだった。
アイランシックスである雲人に、猫姫のエスコート役は非常に適していた。
他のアイドルたちがパフォーマンスを行うのを、雲人はエスコート役らしく落ち着いて堂々とした態度で見守っていた。
彼らのパフォーマンスが一段落したところで、雲人は満を持して【迎春六駆】のロックサウンドを演奏し始めた。
今は年の初めではないが、雲人はこれからの抱負を音楽に乗せて演奏し、また見物人にも訊いたりしてコール&レスポンスの要領で人々を引きこんで行く。
見物人たちは雲人の演奏で次第に盛り上がり、一体感を増していった。
「さあ、猫姫、俺と一緒に!」
雲人は猫姫たちの手を取って【ARANAMI☆舵燻】で見物人たちの中に飛び込んでいく。
すぐ近くに猫姫がやって来たことで人々のテンションが一層上がったのを見極めて、雲人は【チョコビーンズ・シャワー】を盛大に振り撒いた。
小さな粒チョコが猫の形になっていて、一粒一粒がカラフルな色に染め分けられているのがまた可愛い。
雲人は熱狂する見物人に、【チョコビーンズ・シャワー】を惜しみなく投げかけてやった。
パフォーマンスの最終盤、雲人は猫姫たちと共に【神通天幕】でマジックのように見物人の間を瞬間移動して大いに沸かせ、最後に猫姫を山車の上までエスコートして戻した。
「雲人さん、ありがとう」
猫姫たちに笑顔で労われ、雲人は満足げに【よしよし】しながらパレードを続けたのだった。
兎多園 詩籠は猫にちなんでネズミに仮装している。
ネズミはネズミでも、妖怪「旧鼠(きゅうそ)」だ。
衣装は【妖の衣】を自分で改造してこしらえた。
明るい灰色の生地の上にネズミの足跡の形のスタンプを、赤と青の二色使いで散らして捺すと、花びらが散ったような綺麗なデザインになった。
特徴的なネズミの長~い尻尾は、同じ灰色の生地で作ってズボンのお尻に縫い付けた。
顔にはネズミのひげをテープで貼り付けて、コミカルかつ可愛らしい旧鼠の出来上がりだ。
パレードの行進が止まり、パフォーマンスの時間になった時、詩籠は猫姫の乗った山車の前に篠笛を吹き鳴らしながら飛び出した。
そして、ネズミっぽくちょろちょろ動き回りながら猫姫の二人を指さして、【傾奇帆符】をラップ調で歌う。
やあ! お可愛い姫様 飛びこみゃオイラ両手に花
ちょいと本気で飛び上がりゃ 鼠だって猫のお殿様
と、そこで掛け声を掛けて【浮遊身転】で低く二回転。
「よ! ぴょーい! よ! ぴょーい!」
不思議な掛け声と動作が、妖怪っぽさを表現している。
「こいつぁおかしい! まるであやかしぃ!」
韻を踏んだ言葉遊びのような台詞を言いながら右往左往する演技をしつつ、手から【飛炎】で小さな炎を出現させて踊らせる。
「あ! ちゅーい! あ! ちゅーい!」
叫びながら、長い尻尾を炎すれすれに掠めて振って、今度は思い切り高く【浮遊身転】で二回転。
あ、ちゅーい、の掛け声は「熱い」を意味していたのか、
「こいつはたまらーん」
と叫んで、文字通り尻尾をまいて猫姫の前から逃げていった。
小者感がにじみ出た旧鼠を演じた詩籠のパフォーマンスは猫の強さを際立たせ、また、猫姫の優雅さを引き立たせるのにも一役買った。
それが分かった猫姫の二人は、走り去る詩籠に感謝の眼差しを送っていた。
***
根が陽気で明るい性格の深郷 由希菜は、どちらかと言うと犬派だが、猫も大好きなのだ。
だから、パレードに参加する前に係の人にお願いして顔に猫のメイクを施してもらっただけでも、ワクワクして楽しい気分になった。
由希菜は、手持ちの衣装の中で唯一猫に関わりがある……かもしれない【水虎の衣】を身に纏い、涼やかな水音を立てながらパレードの隊列の中で行進している。
猫耳や尻尾は適当なものを持っていなかったので、大胆に省略。
顔が猫メイクなので、それで十分だ。
手は猫の手のように指を丸くして、猫になりきって由希菜はしなやかな身のこなしで歩いている。
「藍ちゃん茜ちゃん、猫姫おめでとうにゃ~♪」
山車の上にいる猫姫たちに【るみ鳴子】を振って光と音で祝福すれば、
「由希菜さ~ん、ありがとう~!」
「由希菜さんも、と~っても可愛い猫さんになりましたね~!」
藍と茜が交互に答えてくれる。
由希菜は嬉しくて、なんだか踊りたい気持ちになってきた。
【大桜の舞】で踊り始めると、沿道の見物人も由希菜につられて踊り出す。
彼らにも由希菜の楽しい気持ちが伝染したらしくニコニコ顔だ。
だんだん盛り上がってきて今度は【おさんぽ日和の舞】で踊ってみると、近くにいた小動物たち、特に猫たちが由希菜の周りに引き寄せられる。
「にゃんにゃにゃにゃにゃんにゃ♪」
デタラメな猫語を話しながら、由希菜と見物人たち、集まった猫や小動物たちはみんなで楽しく踊ってパレードしたのだった。
***
死 雲人は猫姫のエスコートをする“猫武将”の役としてパレードの隊列を歩いていた。
顔には猫の面を被り、上着は【孔雀の袖飾り】を取り付けた豪華なもの。
手に持った【黄金丸】は振るほどにきらきらと輝き、位の高い武将らしさを醸し出している。
その様子は猫姫を一層高貴な姫らしく演出し、引き立てるのだった。
アイランシックスである雲人に、猫姫のエスコート役は非常に適していた。
他のアイドルたちがパフォーマンスを行うのを、雲人はエスコート役らしく落ち着いて堂々とした態度で見守っていた。
彼らのパフォーマンスが一段落したところで、雲人は満を持して【迎春六駆】のロックサウンドを演奏し始めた。
今は年の初めではないが、雲人はこれからの抱負を音楽に乗せて演奏し、また見物人にも訊いたりしてコール&レスポンスの要領で人々を引きこんで行く。
見物人たちは雲人の演奏で次第に盛り上がり、一体感を増していった。
「さあ、猫姫、俺と一緒に!」
雲人は猫姫たちの手を取って【ARANAMI☆舵燻】で見物人たちの中に飛び込んでいく。
すぐ近くに猫姫がやって来たことで人々のテンションが一層上がったのを見極めて、雲人は【チョコビーンズ・シャワー】を盛大に振り撒いた。
小さな粒チョコが猫の形になっていて、一粒一粒がカラフルな色に染め分けられているのがまた可愛い。
雲人は熱狂する見物人に、【チョコビーンズ・シャワー】を惜しみなく投げかけてやった。
パフォーマンスの最終盤、雲人は猫姫たちと共に【神通天幕】でマジックのように見物人の間を瞬間移動して大いに沸かせ、最後に猫姫を山車の上までエスコートして戻した。
「雲人さん、ありがとう」
猫姫たちに笑顔で労われ、雲人は満足げに【よしよし】しながらパレードを続けたのだった。