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【異世界カフェ・番外編】猫祭り

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【異世界カフェ・番外編】猫祭り
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リアクション

◆猫祭りのパレード(2)

 猫耳を付けた睡蓮寺 小夜と、顔に歌舞伎の隈取みたいな模様を描いて猫のメイクをした睡蓮寺 陽介、それに、シンプルに猫のお面を付けただけの堀田 小十郎が一塊になってパレードの隊列の中にいる。

「ぽかぽか笑顔が溢れるお祭りになるように……頑張ろうね、十くん、兄さん……」
 高揚する気持ちを隠さず兄たちに微笑みかける小夜は、沿道を埋め尽くす見物人にも今では臆することなく笑顔を見せることができる。
 これまで数々のライブをこなしてきた小夜だが、藍や茜と一緒にパフォーマンスをするのは今回が初めてなので素直に嬉しい。
(わたしや、皆にとって……楽しいお祭りになるといいな……ううん……そうなるよう、精一杯頑張ろう……)

 密かに決心を固めている小夜の気持ちを、まるで読んだかのように陽介が応える。
「任せな……猫らしい、華やかで自由奔放なパレードにしてやるぜ!」
 道化王子の陽介はリスや鹿にも扮したことがあるので、猫に扮することなど朝飯前。
 むしろ何かに扮した方が気分も盛り上がるというものだ。
(最高な猫を演出して、その上で熱いパフォーマンスを披露させてもらうぜ!)
 意欲溢れる笑顔で周りを見回すと、パレードに参加している人々も見物人も、何かしら猫にまつわるものを身に着けたり持ったりしていて、いやがうえにもワクワク感が高まってくる。
「いくぜ、小十郎、小夜! 幻想演武でパレードを笑顔と熱気に包んでやろうぜ!」

 そんな前のめりになっている陽介とは対照的に、小十郎は落ち着いて静かに行進している。
「猫が如き奔放さと華々しさ……それらを演武にて表現し、皆に示そう」
 小十郎はこれまでにアイドルとして様々な芸能に触れ、経験を重ねてきた。
 そんな小十郎だからこそできる、いや、小十郎にしかできない演武で猫祭りを盛り上げる覚悟だ。
(猫祭りに相応しいモノが示せるかはわからない。だが、自分にはこれしかないのでな)

 …………
 ……

 パレードの行進が止まった。その場でパフォーマンスを披露する時間だ。

 小夜が【陽の天津弦杖】を奏でながら【天女の舞】で美しい舞を披露すると、まるでスポットライトが当たったように天から光が差してきた。
 そして小夜は猫姫の藍と茜の乗っている山車に上がり、二人と共に【奉歌高唱】でウタを歌う。
 曲目はもちろん【陰なわたし、陽なわたし】。小夜が藍と茜に初めて会った時に歌った思い出の曲だ。

 心が陰り、落ち込もうと
 きっと、陽光(ひかり)は心(ここ)にある

(藍さんと茜さんが、元気に笑顔でいられますように)
 光の粒をまき散らして想いを込めて歌えば、可憐な猫姫たちと目が合う。
 その視線を笑顔で受けて頷くと、今度は祭りに参加する全ての人の笑顔を祈って歌う。
 足元では【パステトの癒し】の猫たちがにゃーにゃーと可愛らしく合唱してくれている。
 光に彩られた猫ざんまいのパフォーマンスは、そこだけで一枚の絵のように美しい。
 
 陰と陽、どちらも大事な、わたし自身
 

 感動的に歌いあげた小夜は、見物人からも猫姫たちからも笑顔で惜しみない拍手を送られたのだった。


 小夜の優しいパフォーマンスが終わると今度は打って変わって、陽介・小十郎の男性二人による勇ましい演武に移った。
 陽介が【炎天劫火】で眩い光を炸裂させ、燃え盛る炎を出現させた。

「演武にはその者の人生が宿る。なればこそ……此度の猫の演武、その在り方を体現したいものだ」

 思いの限りを込め、小十郎は秘奥の技【古武術演武・幻想紡ぎ】を使って完璧な武の粋を披露する。
 振るわれた【天津鈴笛の剣】からは美しい笛の音が響き、辺りを清浄な気で満たしていく。
 音を奏で、技を示し、小十郎は奔放でいて華々しい猫が如き自由な演武を成した。
 その演武は小十郎の生きざまを彷彿とさせ、厳しさの中に宿る美を見物人に見せつけた。

 陽介は小十郎の演武を演出して【牛鬼の焔絵筆】を使って炎の猫の絵を描き、そのまま筆で右へ左へと躍動させている。
 小十郎の【大殺陣回し】と陽介の【スペクタクル・バトルショウ】の合わせ技で、殺陣は見事なものになった。

 その後、陽介は【陽気:妖翼】を帯びた【炎鳥・迦楼羅】に乗り、小十郎は【≪式神≫舞芸:日華鳳凰】を足場に空へと翔け上がった。
 二人は空を縦横無尽に飛び回る。
 鳳凰の上から【幸魂霊舞】の祈りと共に、笑顔を紡ぐ小十郎。
「猫は幸福と笑顔を呼び込むモノ……この演武で、その役を少しでも担えたら嬉しいよ」

 大きく羽ばたく幻鳥たちと炎の幻想演武は大スペクタクルの様相で、小十郎と陽介は空中で大喝采を浴びたのだった。
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