【異世界カフェ・番外編】猫祭り
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◆猫祭りのパレード――出発前
華乱葦原のある街の伝統的な猫祭り。
今日一日だけは、食べ物も雑貨も街中の店という店が猫一色になる。
猫好き、猫祭り好きの人々が繰り出し、街はたいそう賑わっていた。
祭りの花形・パレードに猫姫として参加する藍と茜は、猫姫の衣装に着替え、緊張の面持ちで待機していた。
「うう~ ドキドキするよ~」
「緊張する~」
手を握り合って互いに緊張を鎮めようとしている双子の猫姫。
その時、パンッ!と何かが爆ぜるような大きな音がして、二人は驚いて音のした方を見た。
猫祭りにはいつも悪党が何かしらの妨害を仕掛けてくるので、今の音はひょっとして何か事件や事故が起こったためではないかと不安になる。
「お久しぶりだね♪」
何の前触れもなく、いきなり藍と茜の間に割り込んで登場したのは空莉・ヴィルトール。
二人が破裂音に気を取られている隙に、音もなく忍び寄っていたらしい。
悪戯っぽい笑顔を向けている。
「空莉ちゃん!?」
「ねえ、びっくりした? さっきの音は【忍法猫騙し】の音だよ。久しぶりに二人に会うから楽しみで楽しみで、印象的に登場したかったんだ~♪」
ぺろりと舌を出す空莉に、双子は安心するやら驚くやら。
「空莉ちゃんにまた会えて嬉しいよ~」と藍が抱きつくと空莉も同じテンションで応える。
「藍ちゃんも茜ちゃんも、猫モードで可愛すぎるよ~♪」
茜は、空莉の衣装とメイクを目にして怪訝そうに尋ねた。
「……鳥の仮装なの?」
空莉は、猫祭りだというのになぜか可愛らしい鳥の顔を模したメイクを施している。
着ているものもフワフワの羽飾りが付いた衣装で、優雅で美しい鳥をイメージしているようだ。
よくぞ気が付いてくれました! とばかりに空莉は胸を張った。
「じゃじゃーん、今日の衣装は“敢えて”鳥イメージで決めてきたんだよー♪」
見て見て、とくるりと一周回ってみせる。
「これはね~、猫好きの着眼点から言わせてもらうと、こっちの格好の方が猫っ子な皆には構って貰えるかな~って♪」
空莉は猫をからかう鳥のような足取りで、軽く飛び跳ねている。
「ほらほらぁ、周りで鳥さんがパタパタ動いてると襲いたくなるでしょー♪」
元々猫の妖である藍と茜は、空莉の動きにムズムズする。
「……襲っても良いんだよ?」
蠱惑的な眼をして誘惑するように囁く空莉。
ごくりと唾を飲み込んだ双子に、空莉は「なーんて♪」と牽制して翻弄する。
そうして、罪な鳥さんはパレードの先頭に立つため、その場を離れていった。
そこへやって来たのは渋谷 柚姫。
「藍さんと茜さんも久しぶり! 唯が迷惑かけてなかったかな?」
柚姫とは「葦原かふぇ」オープン時以来、久しぶりの再会になる藍と茜だ。
「あ、柚姫さん! お久しぶりです。迷惑だなんて全然」
「唯ちゃんにはいつもすごく助けてもらっていますよ!」
口々に応える双子に、「それはよかった」と柚姫が微笑む。
「唯もしっかりやってるみたいで安心したよ。一人でカフェのお手伝いをするって聞いた時はちょっと心配だったけど……。それじゃ、また後でね」
柚姫はパレードで双子の猫姫と共にパフォーマンスを披露するので、準備のため行ってしまった。
まもなく、パレードが出発した――。
華乱葦原のある街の伝統的な猫祭り。
今日一日だけは、食べ物も雑貨も街中の店という店が猫一色になる。
猫好き、猫祭り好きの人々が繰り出し、街はたいそう賑わっていた。
祭りの花形・パレードに猫姫として参加する藍と茜は、猫姫の衣装に着替え、緊張の面持ちで待機していた。
「うう~ ドキドキするよ~」
「緊張する~」
手を握り合って互いに緊張を鎮めようとしている双子の猫姫。
その時、パンッ!と何かが爆ぜるような大きな音がして、二人は驚いて音のした方を見た。
猫祭りにはいつも悪党が何かしらの妨害を仕掛けてくるので、今の音はひょっとして何か事件や事故が起こったためではないかと不安になる。
「お久しぶりだね♪」
何の前触れもなく、いきなり藍と茜の間に割り込んで登場したのは空莉・ヴィルトール。
二人が破裂音に気を取られている隙に、音もなく忍び寄っていたらしい。
悪戯っぽい笑顔を向けている。
「空莉ちゃん!?」
「ねえ、びっくりした? さっきの音は【忍法猫騙し】の音だよ。久しぶりに二人に会うから楽しみで楽しみで、印象的に登場したかったんだ~♪」
ぺろりと舌を出す空莉に、双子は安心するやら驚くやら。
「空莉ちゃんにまた会えて嬉しいよ~」と藍が抱きつくと空莉も同じテンションで応える。
「藍ちゃんも茜ちゃんも、猫モードで可愛すぎるよ~♪」
茜は、空莉の衣装とメイクを目にして怪訝そうに尋ねた。
「……鳥の仮装なの?」
空莉は、猫祭りだというのになぜか可愛らしい鳥の顔を模したメイクを施している。
着ているものもフワフワの羽飾りが付いた衣装で、優雅で美しい鳥をイメージしているようだ。
よくぞ気が付いてくれました! とばかりに空莉は胸を張った。
「じゃじゃーん、今日の衣装は“敢えて”鳥イメージで決めてきたんだよー♪」
見て見て、とくるりと一周回ってみせる。
「これはね~、猫好きの着眼点から言わせてもらうと、こっちの格好の方が猫っ子な皆には構って貰えるかな~って♪」
空莉は猫をからかう鳥のような足取りで、軽く飛び跳ねている。
「ほらほらぁ、周りで鳥さんがパタパタ動いてると襲いたくなるでしょー♪」
元々猫の妖である藍と茜は、空莉の動きにムズムズする。
「……襲っても良いんだよ?」
蠱惑的な眼をして誘惑するように囁く空莉。
ごくりと唾を飲み込んだ双子に、空莉は「なーんて♪」と牽制して翻弄する。
そうして、罪な鳥さんはパレードの先頭に立つため、その場を離れていった。
そこへやって来たのは渋谷 柚姫。
「藍さんと茜さんも久しぶり! 唯が迷惑かけてなかったかな?」
柚姫とは「葦原かふぇ」オープン時以来、久しぶりの再会になる藍と茜だ。
「あ、柚姫さん! お久しぶりです。迷惑だなんて全然」
「唯ちゃんにはいつもすごく助けてもらっていますよ!」
口々に応える双子に、「それはよかった」と柚姫が微笑む。
「唯もしっかりやってるみたいで安心したよ。一人でカフェのお手伝いをするって聞いた時はちょっと心配だったけど……。それじゃ、また後でね」
柚姫はパレードで双子の猫姫と共にパフォーマンスを披露するので、準備のため行ってしまった。
まもなく、パレードが出発した――。