■プロローグ

　――ビーストラリア。
　その中心にある空気岩では。

「さあ始まりました、ビーストラリアの雌雄を決する頂上対決！」

「アイドルたちはデイズを打ち破ることができるのか、
　ビーストラリアは再びゆーたいるいの袋に閉ざされてしまうのか……
　全びーすとがその様子を、固唾を呑んで見守っています！」

　見えない岩が並ぶライブ会場には、多くのびーすとが集まっている。
　幻の種族ゆーたいるいのユニット・デイズと、かつての人気バンドびーすと☆あみーごすが対バンすることを聞きつけたのだ。
　その張り詰めた空気に、観客のびーすとだけでなく司会のパンダマスターズの司会もどこかこわばっている。

「一発屋なんて敵じゃないのよ。
　すぐにふくろだたきにしてあげるわ」

「あたしはずっとアイドルとして頑張ってきた。
　今更ビーストラリアの支配者だって出しゃばってきた連中に負けてたまるかよ！」

　リュンは小荒真智に向かって啖呵を切ったが、内心はヒヤリとしていた。
　フェスタからアイドル達も応援に駆けつけていたが、ルミマルたちも敵に回っている。
　さらにゆーたいるいの秘技ポケットビブラートは、実践不足を抜いても恐るべき力だ。

　しかし今のリュンたちには、信じることしかできない。

（――勝つんだ。
　アイドルとして、デイズに！）

　そしてレッサーパンダのフータは立ち上がり、
　ササノハサラの笹笛を合図に、ライブ対決の始まりが告げられた。

「それでは――」

「びーすと大決戦、開演です！」




1ページ　プロローグ・目次

2ページ　目を覚ませ、輝きを取り戻せ１
3ページ　目を覚ませ、輝きを取り戻せ２

4ページ　けもの達の狂騒曲１
5ページ　けもの達の狂騒曲２

6ページ　ビーストラリアの明日のために１
7ページ　ビーストラリアの明日のために２
8ページ　ビーストラリアの明日のために３

9ページ　エピローグ