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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

食べ歩き日和

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食べ歩き日和

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 夜、オルトアース、フードフェスティバル開催中の食神都市オーサカの入り口。

「オーサカ! フードフェスティバル! 美味しそうなものがたくさんではないか!!」
 アイリス・クラウディアは、きょろきょろ食べ歩く前から大いに興味津々と声を大きくし
「あ、あそこに焼きそば……向こうにはたこ焼き……この匂いはお好み焼き……」
 鼻をクンクン。
 今にも屋台へ飛んで行きそうな勢いだが
「……おおっと、いけない。今回は皆と一緒なのだ。皆で食べて楽しむぞ!」
 我に返り、傍らの皆を見てにんまり。
「グルメな地域の美食がシノギを削る食い倒れの催し。そこを友達と歩く! わくわくします!」
 狛込 めじろは、好奇心から声が弾む。
「……これだけ色々あると、悩んじゃうねぇ」
 ノーラ・レツェルは種類豊富な屋台群に肩を竦めた。
「……はぁあ(本当だったら今頃家でぐうたらするはずだったのに……ドウシテコウナッタ)」
 蓮水 亜鶴は、若干肩を落とし気味に溜息を吐いた。
「坊主達からまた嬢ちゃんの子守を頼まれてしまった」
 何せ、無料で美味しい物がたらふく食べられるからと、ミアプラ・ムルジルに半ば無理矢理に連れて来られたのだから。
 それでも
「……まあ、他の見知ったメンバーもいるし、ゆっくり散策がてら何か食べるかな……」
 楽しみを見つける亜鶴。
「……♪」
 めじろは嬉しそうに仲良しのノーラと風華を一瞥してから
「初めましてですよねっ! アイリスさんとミアちゃ……」
 初対面の挨拶を口にするが
「……マツリ……ウマイニオイ……」
 常に腹ぺこなミアプラが美味しい香りを発する屋台群に誘惑され
「……ミア……イッパイ……クウ。ウマイモノ……モラウ……!」
 めじろの挨拶が終わる前に付近の屋台へ、全て駆逐してやると言わんばかりの形相で特攻。
「ちょっ、待って」
 亜鶴は、慌てて追った。

 亜鶴が到着したのは丁度
「……ゼンブ……」
 ミアプラが至極簡潔な注文をしている所であった。
「……どれだけ頼むわけ……!?」
 初っぱなから飛ばすミアプラに、声が飛び上がる亜鶴に構わず
「……ウマイ」
 ミアプラは持てる量だけを両手に、夢中でもしゃもしゃ。
 そのため残りの待機場所先は
「……初っぱなから飛ばしすぎじゃ」
 自動的に付き添いの亜鶴となる。
「ハスミ……ツギ……アレ」
 次の標的が目に入り、堪らずミアプラは駆けた。
「……ちょっ、はやっ……動きに付いて行けない!!」
 ミアプラのパワフルさについて行けない亜鶴。
 そんな微笑ましい光景に
「ふふふ(親愛なるノーラさんにめじろさん、お出かけは初のアイリスさん、はじめましての亜鶴さんとミアさん……今日はゆるり過ごしよきオフにしたいですねぇ)」
 合歓季 風華は、のんびりと心和んでいた。
「よーし、ミアどのに負けないぞ!」
 アイリスは気合を声高に、ミアプラに続けと手近の屋台を巡り始めた。
「んー、チョコバナナ、最高だな」
 チョコバナナを頬張り
「すごい濃厚だ!」
 アイスを満喫。
 そして
「焼きそばを大盛りで一つ! たこ焼きは12個入りを」
 アイリスは縁日定番な料理を注文し、待っている間
「むむ、これは見たこともない食べ物だ!」
 隣の屋台の料理に釘付けに。
 そこに
「確かに、普通の縁日では見かけぬものも多々ありますね。お祭りとはいえ、飲食店の出す屋台だからですかね」
 めじろがひょっこり。
「だな。店員どの! おいしそうなその食べ物、いただくぞ!」
 アイリスは力強く頷くや早速注文。
「タンドリーチキンとかブルスケッタ……マンガ肉? おもろいですね!(五感ぜんぶで楽しませる。これが本場オーサカで食と向き合うプロによる全力のお遊びですか)」
 めじろも屋台巡りに精を出し
「……(店主さんはわたしの驚きと考えなどお見通しみたいですね。なら、多くは語りません)」
 思わず店主と目が合うも黙って頷かれるだけ。
 時に
「ごちそうになりますね」
 めじろは、興味を引く料理を幾つか入手し
「……って、みんなに置いてかれそう!? ま、待ってぇ……」
 皆の行動の速さに、小走りしたり。

 アイリスやめじろが物色に出た後。
「……賑やかな集いに夏祭りのような雰囲気、眺めるだけでも楽しいですね」
「だねぇ(それに亜鶴くんがあんなに振り回されているの初めて見るねぇ……いいお兄さんをしているようで微笑ましくなるよぉ)」
 風華とノーラは皆とのひとときにしみじみ。
「アイリスちゃんやめじろちゃんが沢山貰ってそうだから、ぼくはあのわたがしだけ貰ってこようかな(……虹色……気になる……どうやって作ってるのかな)」
 趣味がお菓子作りのノーラは、好奇心から付近の綿菓子の屋台へ行き
「こうして虹色のわたがしが出来るんだねぇ」
 綿菓子作製の様子を熱心に見学すると同時に
「どんな味がするのか気になるけど……(お仕事も沢山頑張ってきたし、ちょっとくらい食べても)」
 味も気になり、乙女の問題を端に寄せ、綿菓子を手に皆の元へ。

「……このやわらかな香りは……」
 風華は微かに香る優しい匂いに惹かれ、少し離れた屋台へ。
 その屋台は
「まあ、ベビーカステラですか」
 祭りの定番。
「美味しそうですね。大きい物を……」
 風華は皆と食べる事を考慮し、人差し指を立て大きい物をお願いしようとした時
「お姉ちゃんもこれ好きなの?」
 隣にいた6歳程の少女が不思議そうに訊ねて来た。
「えと、ねむねむお姉さん子供っぽいでしょうか? こ、これは世代を問わぬお味のはず」
 風華は、ちょっぴり困り気味に言った。
「ううん、お姉ちゃん可愛いからいいよー! それにお菓子も美味しいからー」
 少女は、にまあと笑って店主から品を貰って行ってしまった。
「……これは味わないとですねぇ」
 風華は少女を見送ってから品を貰い、皆の元へ。

 一方。
「……ゼンブ」
 ミアプラは、屋台に立ち寄る度に沢山注文し
「……ウマイ……」
 次の屋台に向かう道々、料理を順調に消化していく。
 しかし
「……減る様子が無いどころか増えてる……」
 荷物持ちたる亜鶴の仕事は、一向に楽にならない。
 それどころか
「……ハスミ……ツギ、ココ」
 ミアプラが導くは、さらなる苦行。
「……盛り料理って……」
 ミアプラが止まったのは、デカ盛り料理の屋台。
「……ウマソウ……ゼンブ……」
 ミアプラは容赦なき注文をし
「……ウマイ……」
 楽しそうな雰囲気で、幾つかを食べながら
「……ツギ……アッチ……」
 別の屋台に飛んで行く。
「本当、勘弁、食い物の重さと連れまわされる動きで腕がもげそう!」
 抱える食べ物の重さで、亜鶴の腕の負担は半端無い。
「……ゼンブ」
 別の屋台に着くと同時に躊躇いなく注文するミアプラに
「いやいや、これ以上は無理だから、お兄さんそんなに身体じょうぶじゃないから!!」
 必死に訴える亜鶴。
 ふと
「……?」
 ミアプラは足を止め、小首を傾げたと思ったら
「……ミア、イク」
 勢いよく駆け出した。その向かう先は、自分を呼び手招きする今日を共に過ごす皆の元。
 その後ろを、大荷物抱える亜鶴が必死に続いた。

「どうだ? 焼きそば、たこ焼き、見た事もない物だ!」
 両手に大量の料理のアイリス。
「ぼくは虹色のわたがし」
 不思議な色の綿菓子のノーラ。
「ベビーカステラはいかがですか」
 沢山のベビーカステラが入った紙袋を抱えた風華。
「色々ありますよ」
 沢山の料理を持つめじろ。
 こうして、四人が合流した所で
「二人とも、一緒に食べないか」
 アイリスが合流していない二人を呼び手招き
「ここ、空いてますよ♪」
 めじろが近くのテーブル席を発見。
「何か飲み物貰ってくるねぇ(ミルクは祭りで見かけたことないけど、この大きさならあるのかも)」
 ノーラが飲み物調達。
「料理を並べますねぇ」
 風華が食べやすいように料理をセッティング。
「ミルク、あったよぉ」
 ノーラが飲み物を手に帰還した所で
「ミア、キタ」
「……やっと、休める」
 元気なミアプラと疲れから生きる屍化とした亜鶴が合流。
 一息とばかりに、皆腰を下ろした。

 席に着いた後。
「よーし、皆とともに食べるぞ」
 アイリスはそう言って
「……うむ、おいしいな!」
 たこ焼きを一個頬張り、良い笑顔で
「皆もどうだ?」
 皆に勧めた。
「あらあら。ありがとうございます。一緒にいただきましょう」
「貰います!」
 風華とめじろは貰い、美味しく食した。
 その様子をミアプラは
「……」
 じっと見てから
「ミア……ソレ……モラウ」
 嬉しそうにたこ焼きを一個口の中に入れ、ふんわりと微笑んだ。
「……ミア」
 亜鶴は、少し驚いた様子を見せた。普段あまり笑わないセブンスフォールの戦士の微笑に。
「こちらもおいしいぞ、ミアどの」
 美味しく食べるミアプラの様子に嬉しくなったのか、アイリスは焼きそばも勧めた。
「……モラウ……」
 ミアプラは勧められるままパクリ。
 その横では
「……」
 ノーラがミルクを一口飲み、並んだ多くの料理に眉を寄せ
「……凄い量……でもどれも美味しそう……大丈夫、大丈夫、食べて歩くんだし……太らないはず……!」
 再来する乙女の問題に小声でぶつぶつ。
「亜鶴さん、ミアさん、ベビーカステラはいかがですか? 美味しいですよ」
 風華がふんわりと笑みながら、ベビーカステラを勧めた。
「……貰おうか」
「……ウマソウ……ミア、クウ」
 亜鶴とミアプラは一つずつ貰った。
 ミアプラに至っては
「モット……」
 美味しかったのか、もう数個口に追加。
「こういうのは友達とシェアするからおいしいんですよね」
 めじろがにこにこと、明石焼きを手に
「どうぞ! 同じパックの明石焼きを分け合えば初対面だろうとマブダチです」
 初対面組に勧める。
「1個貰うぞー」
「……モラウ……」
 アイリスとミアプラは貰い、パクリ。
「亜鶴さんもどうぞです(……何か、亜鶴さん……わたし達の誰よりも女子力高いような……)」
 めじろは、勧めながら亜鶴をまじまじ。
「……それなら」
 亜鶴は、ありがたく受け取り食した。

「風華ちゃん、食べる?」
 ノーラは、虹色の綿菓子を一緒に食べたいと誘った。
「ありがとうございます」
 風華は礼を言ってから
「本当に綺麗な虹色ですね。お味の方も変わっていたり……?」
 少し綿菓子をちぎって頬張った。
「どうなのか楽しみだねぇ」
 続いて、ノーラも綿菓子をちぎり頬張る。
「んー、フルーツの味がするみたい……」
「色によってフルーツの味が違いますね」
 食したノーラと風華は揃って、甘くて美味しい味の虜になった。
 そこに
「おいしそうだな。私も貰いたい」
 アイリスが加わり、同様に綿菓子を味わった。
 ここで
「ネムさん、ひとくち交換しましょう!」
 めじろが明石焼きと共に風華に声を掛けた。
「まあ、明石焼き、私に?」
 綿菓子を食べ終えた風華は、めじろの手にある料理を確認してから
「はい、交換しましょう! そちらはお味噌ですか?」
 ベビーカステラを勧めつつ、めじろのもう片方の手にあるドレス&ディップみその存在に気付いた。
「そう、ミソ! お味噌とは日本人の心。美味しい! 甘いのもしょっぱいのも、味噌仕立てでまろやかに旨みを増します!」
 めじろは椅子から立ち、熱く語るなり
「わたしは見つけたのです! ミソをつけると、はかどると」
 貰ったベビーカステラに味噌をつけ、パクリ。
 途端
「んーーー、持ち込んで正解でした」
 めじろは感激の声を上げ
「わたし、今日から、ミソラー、です」
 何やら胸を張り
「片っ端から料理をミソアレンジをしていきますよ」
 味噌アレンジを始めた。
「では、私も是非一緒に」
 風華は、貰った明石焼きを味噌で飾りパクリ。
「味噌持参……めじろちゃんの食への熱意が凄い……」
 ノーラは、めじろのミソラーさを目の当たりにした後
「えと、ミアちゃんとは初めましてだったねぇ。よろしくだよぉ」
 改めてミアプラに初対面の挨拶を掛けつつ
「わたがし、食べる?」
 虹色の綿菓子を勧めた。
「……クウ」
 ミアプラは、口いっぱいに頬張った。
「どれが一番、美味しかった?」
 ノーラが綿菓子を食べながらにこにこと訊ねた。
「……」
 ミアプラは並んだ沢山の料理を見回してから
「ゼンブ……ウマイ……!」
 元気に答えた。
「そうだねぇ。それにミアちゃんやみんなと食べると凄く美味しいよねぇ」
 ノーラは変わらず笑顔で頷き、目には楽しく過ごす皆の姿。
「……ウマイ!」
 ミアプラは、もう一度言ってから別の料理を頬張った。
「……ミアが他の人と話したり溶け込めているようで、良かった良かった」
 亜鶴は、適当に料理を摘みながらミアプラの楽しむ様子に笑みを洩らし
「……って、これはアレか……成長する娘を見て満足してる父親の気分なのか……? まさかな」
 至った考えを奥に引っ込め、ミルクを一口。
 突然、夜空に爆ぜる音が鳴り響いた思ったら
「みんな、空だ、空!」
 何やら立ち上がったアイリスが空を指し示しながら、大声で皆に声を掛け
「おお、とても綺麗だ(たしかこういう時には……)」
 花火の美しさに酔いしれる。
「……綺麗……これが趣があるってことなんだろうねぇ」
 ノーラは食べながら花火も味わう。
「……花火ですか」
 味噌布教の手を止めてめじろは、空を仰ぐ。
「……綺麗……花火もいつもと違う趣で」
 風華も花火咲く空を見上げ、しみじみ。
「おっ、花火か、これは葦原民は叫ばずには居られない!」
 気付いた亜鶴も空を見上げた。
 花火に酔いしれた次に出て来るのは
「たーーーまやーーー!」
 アイリスの掛け声。
 続いて
「かーぎやぁぁぁあ」
 亜鶴の掛け声。
「閑けさや 花火消えたる あとの星……」
 ノーラが感慨深く、趣のある言葉で思いを表現し始め
「きっと一つとして同じはない色合いと咲き加減。思わず皆様との出会いのようで……」
 風華が美味と笑顔、笑い声に彩られた一日を自伝の1ページのように振り返り
「冬の花火も乙なものですね……」
 めじろが花火に見入る中
「!!」
 ミアプラは、花火の音と皆の掛け声に若干驚いたのか
「ウガーー!」
 亜鶴へ八つ当たりと、腕にがぶりと噛みついた。これもご愛敬。
「ぎゃぁぁぁあ、嬢ちゃん噛みつかないでぇ!?」
 想定外の展開に亜鶴は堪らず、先程の掛け声よりも景気よく悲鳴を上げた。
 その轟く悲鳴に対して
「……(亜鶴どのと、ミアどのと、ねむねむどのと、ノーラと、楽しんだお祭りだ!)」
 アイリスは、今日のひとときに浸りどこへやら。
「……ならぬ悲鳴声? って、花火の音と悲鳴? 何が!?」
「……悲鳴!?」
 ノーラとめじろは、驚いて悲鳴の先に顔をくるり。
「空に消えていく花火の余韻と悲鳴……悲鳴?!」
 心の中で自伝を綴っていた風華はびっくり。
 こうして気付いた皆により、亜鶴は何とか事なきを得たとか。
 とにもかくにも、楽しいひとときを過ごしたという。

担当マスター:夜月天音

担当マスターより
 参加者の皆様、大変ありがとうございました。そして、お疲れ様でした。
 一人や誰かと一緒に食べたり飲んだりとフェスティバルを満喫して頂くだけでなく、屋台を経営し美味しい料理をお提供して頂いたり、素敵な演奏や舞で盛り上げて頂き、大変ありがとうございました。
 ほんの少しでも楽しんで頂ければ、幸いです。
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