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【『かぞく』の結婚式~あみか×華恋】

 海辺のリゾート風の街並みの、とある高台の広場。
 野外に設えられた祭壇の前に、白く大きな神獣レーヴェの姿があった。
 祭壇の前にはバージンロード。
 そこを今、二人の花嫁がゆっくりと歩いている

 藍屋 あみか竜胆 華恋だ。
 二人が着ているのはお揃いのドレス、花嫁衣裳の【いつかあなたと歩む白】。
 あみかの母が、デザインと制作をしてくれた品だ。
 
 手にしているのは、白のカサブランカにブルーデイジーを加えたブーケ、【いつかあなたの贈る花】。
 これも二人お揃いの品で、使われているブルーデイジーは、あみかと華恋にとっては象徴的で、非常に感慨深い花である。
 
 あみかは隣を歩く華恋を見つめる。
 
(私の幼い頃からの夢『華恋さんのお嫁さん』
 再会し、お付き合いが叶い、あたたかな時間をすごせて、今日その夢が……)
 
 広場からは海が見渡せ、波の音が素敵なBGMになっている。
 まばゆい日差しを受け、二人の花嫁衣裳の白い布地がキラキラと輝き、大変に美しい。
 
「おねえちゃんたち、きれいだね」

 参列席から二人を見守っているのは【フェスタフォーマル】を着た藍屋 むく
 むくの周りは、賑やかだった。
 こちら側の隣にはむくの星獣、トランペットイヌのウェスペルが。
 さらにむこう側の隣にはあみかの幼生神獣ファーブラと、華恋の星獣、クラリネットネコのエレイルが座っている。

 むくは、小声で3匹の家族に話しかけている。

「記憶のないむくを妹にしてくれたあみかおねえちゃん。
 いつもおむねをぽかぽかにしてくれるかれんおねえちゃん。

 血がつながってなくても、ふたりともだいじな『かぞく』だから
 ふたりの結婚式をしあわせいっぱいにしたいの!

 みんなでいっしょにがんばろうね!」
 
 3匹はやる気満々らしく、気合の入った視線をむくに返す。
 
 
 二人の花嫁が祭壇に到着し、教会式に沿った厳かな式が始まった。

 神獣レーヴェとあみか達は、気持を通じ合わせながら式を進行した。
 一番大切な誓いの言葉の場面では、レーヴェがあみかと華恋の心に直接語り掛けてきた。


(あなた達二人は、お互いを良き伴侶として、
 互いに守り合い、相手が悲しいときはそばに寄り添い、嬉しいときは共に喜び、
 死が二人を分かつその瞬間まで愛し合うと、誓いますか? )


「はい、誓います」

(幸せにしてもらうだけじゃなく、いっしょに、幸せに向かって歩み出そう)

 あみかはそんな風に決意しながら。
 
「誓います」

(今日まで一途にずっと好きでいてくれたあみかちゃんの愛を、受け止める)

 華恋はそう胸に誓いながら。

 レーヴェが、エレイルとウェスペルに、優しい視線を向けた。
 いよいよ自分達の出番、一世一代のお役目だと、2匹は意気揚々とそれぞれの【小さな羽根】を羽ばたかせる。
 2匹の星獣エレイルとウェスペルは、花嫁達に指輪を運ぶ役目を担っていたのだ。
 
 エレイルはあみかに、ウェスペルは華恋に、それぞれ指輪を届ける。
 そして。
 あみかはエレイルから受け取った指輪を、華恋の薬指に。
 華恋はウェスペルから受け取った指輪を、あみかの薬指に。
 
 そして、レーヴェがあみかと華恋を見つめた。
 流れからいってもここは誓いのキスだと二人はすぐに判った。

「あ……」

 突然あみかが真っ赤になった。
 二人にとって、これがファーストキスなのだ。

「……っ!」

 覚悟を決めたあみかが目を閉じる。
 そっとあみかに近づいた華恋は、小さく耳打ちした。

「(あみかちゃん、顔が真っ赤ですね。可愛らしいです)」

 華恋はそのままあみかに近づき――二人は無事に誓いのキスを終える。
 
 続いて祭壇の前にケーキが用意されると、ケーキナイフをくわえたファーブラが祭壇に前にやって来た。
 あみかと華恋はファーブラからナイフを受け取り、ケーキに入刀する。

 無事に式が終わり、高らかな鐘が響き渡る。
 大役を終えたレーヴェは、


(どうか、お幸せに)


 皆の心にそう語りかけると、悠然と空へ飛び立った。

 広場には、式を見ようとフェスタ生が集まっている。
 ブーケトスを待っているのか、式が終わってもまだ大勢がそこにいる。

「むくちゃん、ブーケトスをお願い」

 あみかと華華はそれぞれのブーケをむくに託すと【神獣翔歌】。
 二人は大きくなったファーブラに乗ると、歌と空中散歩を楽しむために飛び立った。
 
 
 残されたむくの手には、2つのブーケ。
 ブーケトスに集まったギャラリーは、2つもあると、もらえる確率があがると喜んでいる。
 ブーケを手にした人は次に結婚できるという言い伝えを、もちろんむくは知っている。
 
(むくもいつか結婚したりするのかな?
 もし、いまするなら、ふたりのおよめさん! かな)
 
 そんなことを考えながら、むくはブーケを投げる。
 ブーケを取ろうと、広場に歓声があがった。


 上空のファーブラの上では、二人の花嫁が身を寄せ合っている。
 ひととき二人きりの甘い時間を楽しむと、二人はどちらからともなく言う。

「そろそろ、戻りましょうか」

「そうですね。みんなのところへ」

 
 ファーブラの下降に気づき、むくがこちらに手を振って来た。
 むくの周りには【小さな羽】をつけた星獣達。
 
「あみかおねえちゃん! かれんおねえちゃん!」

 もう声が届くほど近い。
 あみかのは心の中で、この後皆に言う言葉を反すうする。

『今日はお手伝いしてくれてありがとう。
 むくちゃんもファーブラもウェスペルもエレイルちゃんも、
 これまでもこれからも変わらない、だいじな家族だよ』
 
 そんなあみかの横で、華恋がつぶやいた。
 
「こんな幸せな時間。これからも作っていきましょうね」
  
 心から微笑みうなずくと、あみかは華恋と手を取り合って、家族達の待つ広場へと降り立った。
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