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「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

バレンタイン・ブライド!

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リアクション

◆天然女神のカレイドスコープ(2)

 どきっ☆ ここでまさかのショタ系お兄さん登場!?

「ふふっ、なんだか面白いことになってるね。僕はノーラさんをブライダルプロデュースさせてもらおうかな」
 余裕のある微笑みを浮かべてノーラを正面から見上げているのは、幼く見えるが24歳のプロデューサーレド・アルバートだ。
 いざという時のための気合の入った執事風スーツを着ている。

 ここで誤解の無いよう説明しておくと、レドがプロデュースするのは「自分とノーラの」結婚式だ。
 ただしノーラはそんなこと露ほどにも思っていない。

「よろしくね、ノーラさん」
 レドは優雅にノーラの手を取って、スマートにエスコートする。
 そのまま【ダイレクトマーケティング】でノーラの良いところ、素敵なところをノーラ本人に語りかけアピールすれば、まるで愛の告白のように聞こえるではないか!

 そしてノーラとダンスをしながら移動し、決めポーズで静止。
 同時に【桜花招来】で桜の花びらを舞い散らせ、ロマンチックな雰囲気の中でとっておきの言葉を囁いた。
「僕は君が欲しいんだ。これが僕からの愛の形だよ」

 渾身の告白だったのに、ノーラはレドの真意に全く気付かないままのんびりと感想を述べた。
「そんなプロデュースの仕方があるんだねぇ。上手く務まるかは分からないけど、モデル役頑張るよぉ」

 レドの余裕の笑みが引き攣り笑いに変わる。
 桜の花びらも、すっかり全部地面に落ちてしまったようだ。

 ***

 アウロラ・メタモルフォーゼスはアーヴェント・ゾネンウンターガングを探してマリパラ内をうろうろしていた。
「ゆーしゃ(アーヴェント)が何処かへ行ってしまったが全く見つからぬ……む? あの人だかりは?」
 アウロラが目を留めたのは、ノーラが何人にも囲まれている場面だった。

「ほう、あの娘、あれだけの者にその身を求められるか。まさかあやつ、戦いの女神と呼ばれるアテナなのでは!」
 アウロラはノーラたちの方に足を進めながら考えた。
「げいのーかいとやらから神が来ているとゆーしゃも言っていた。ならば奴を我が魔王軍の手に加えるのも悪くはあるまい!」

 アウロラは【ファントムチャージ】で派手に攻撃音を出し、自分に注意を引き付ける。
 そして男たちの注意がノーラから逸れた隙を突いて【≪Dチップ≫ウォープライド】を使い、乱暴にノーラを攫っていった。
「ふっはっは! この娘は我が頂いたあ!!」

 魔王っぽく言ってみたものの、小柄なアウロラがノーラを遠くまで攫って(連れて)いくことは難しいだろう。
「ならこの場で決着をつけるまで」

 アウロラは【熱情のクロスコード】を纏い情熱をノーラに示す。
 そしてアーヴェントにこういう時に歌えと言われていた【D.D.ちゃんの歌】の一節を歌った。

 キュンと うずく 胸の鼓動は Lovin’youの あかし♪  


 アウロラは恥ずかしいという言葉を知らない。
 堂々と歌い終わると【スフィアフロウ】を発動。

「我がメタモルフォーゼスを散りばめるのだ!」
 決めゼリフと同時に、辺りに宝石の幻がキラキラと浮かび幻想的な雰囲気になる。

「どーだ、我が一番であろう? 女神よ さあ、我のものとなれ!」

 元気で可愛い魔王サマに迫られて、ノーラは丁重にお断りした。
「ぼくはものではないから貴方のものになるのは厳しいなぁ」

 アウロラはガックリうなだれた。
 いくら魔王でも、女神にはどうしたって敵わないのかもしれない。

 ***

 いろんな人に言い寄られているノーラを見て、ジャン・マルク・ドゥジャルダンはいてもたってもいられなくなって叫ぶ。
「ちょっとまったー! 皆ズルイズルイー! アタシ達もノーラさんにこの気持ち届けるんだからー!」

 ジャンの双子の兄弟ルイ・アルベール・ドゥジャルダンの方はもっと自信たっぷりで、声量を抑えて余裕を示す。
「ふふ、ボクらの方がノーラさんにふさわしいって事、分からせてあげる。双子の力を舐めないでね」

 ジャンが【タンブルファイア】で炎を錯覚させるような熱いダンスでノーラに猛烈アピールすれば、ルイは【アイシクルターン】で氷の上を滑らかに滑るようなダンスでクールにアピールする。

 二人はそこどけそこどけ双子が通るとばかりに、ズイズイと人込みを押しのけていく。
 そして【ゲストインヴォルブ】でノーラの前に二人で飛び出して、人込みからノーラを連れ出した。

 ルイはノーブルな微笑みを周囲に向ける。
「強引になってしまったかもしれないけれど、こうでもしないと近づけないからね。少しばかりノーラさんをお借りするね?」

 【ナナイロフレイム】でジャンは赤い炎を、ルイは青い炎を操って、二人で左右からノーラの手を取ってダンスに誘いだす。
「お、おお……一緒にダンス楽しいねぇ」
 ノーラは二人の情熱にたじろぎつつ答えた。

 ジャンとルイは左右からノーラの耳元で囁いた。
「Tu me fais craquer……(もうあなたに夢中なの)」
「Je suis amourruse de toi……(貴女と居るととても幸せです)」

「キャー言っちゃったー、お嫁に貰ってー!」と騒いでいるジャンを尻目にルイは、
「フフ、ボクたちのAmoure(愛)を感じてもらえたかな……?」と妖しい眼差しをノーラに向ける。

 ノーラはフランス語で何を囁かれたのかわからなかったので、曖昧な微笑みを浮かべて差しさわりの無いことを言っておいた。
「ぼくも楽しくて幸せだよぉ」

 ジャンとルイ、ノーラの間には微妙な空気が漂っていた。

 ***

 囁かれた言葉の意味が分からなくてもノーラは両手に花な状態だったが、そこに【しなやかな舞い】で邪魔するように割って入ったのは蓮水 亜鶴だった。

「おいおい、ノーラを二人で囲って何抜け駆けしようとしとるんだ……。全くけしからん坊主共だ」

 ノーラを双子から引き剥がして、亜鶴は【蛍火舞い】を舞ってみせる。
 【蛍火舞い】はあの日、ノーラと共に舞った思い出の舞だ。

 そして【奉歌高唱】で思いを伝えれば、歌声が光の粒に形を成し空間をしばしさまよう。
 その清浄な光は咲き乱れる蓮の花弁を思わせ、女神ノーラへ捧げる歌に相応しい。

 思い出の舞と清らかな歌で、亜鶴はノーラに共に舞うようにと誘った。
 そして、そっと尋ねた。
「誰そ選ぶ……?」

 亜鶴は(ふっ、決まったな。これは絶対に俺確定だ)と内心ほくそ笑んでいたが、ノーラの返事は全く予想に反するものだった。

「えっと? 誰か選ばないとなの? 全員分のチョコ持っているんだけど……」

(チョコ?)
 何のことだかさっぱり理解できない亜鶴の脳内では、「?」が飛び交っていた。
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