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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

バレンタイン・ブライド!

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◆新生マリパラ マウントオリエンタルで遊ぶ(2)

 桔梗・トルマリンスターは、マウントオリエンタルでぶらぶら歩いているハルを見つけた。

「ハールー!! 遊びましょー!」
「あ、桔梗だ。いいよ、何して遊ぶ?」
「洞窟のウォークラリーに行こうよ! 『かみさま』がいるらしいよ」
「へえ、面白そうだね! 行こう、行こう」
 二人は連れ立って洞窟へ向かった。


 洞窟の入り口には簡単な説明を書いた立て看板があるだけで、詳しい情報はわからない。
 桔梗は少し不安になった。
「ウォークラリーっていうのは初めてだけど、……凄く本格的で、装備が必要な訳ではないわよね?」
「アトラクションなんだし、大丈夫じゃないかな」
 ハルの言うことももっともだと思った桔梗は、念のため【ミニルミマル】だけは明かりとして持っていくことにした。


 洞窟内に入ると、やはり奥へ進んでいくにしたがってだんだん暗くなっていく。
「持ってきてよかった」
 桔梗はさっそく【ミニルミマル】を伸ばして、小さな明かりを取る。
 足元をわずかに照らすだけの光でも、心細さは大幅に減少するものだ。

「『かみさま』って言えば、ネヴァーランドの神様達を思い出すけれど違うでしょうし、ハルはどんなだと思う?」
 桔梗とハルは、この先に待っている「かみさま」について互いに予想しながら進んでいった。

 ついに二人は「かみさま」の元に辿り着いた。
 大きなお地蔵様のような立像が鎮座ましましており、そこだけぼんやり光っていた。

「わ~、これがかみさま?」
 珍しいものを見るように桔梗が前からも横からも見ていると、「かみさま」の中から「よくここまで来た……」という声がした。
 桔梗がびっくりして飛び退くと、ことりと音がして「かみさま」の脇にあった箱の上におみくじが転がり出てきた。

 二人して興味津々でおみくじを開いてみると、大きく「大吉」と書いてあるだけだった。
 拍子抜けした桔梗とハルは顔を見合わせて笑い、洞窟ウォークラリーは楽しく終わったのだった。


 ***


 千夏 水希は思い出の地マリパラに独りでやってきた。
 ここには穢ノ神が眠っている。
 水希は祈りにも似た気持ちで過ぎた日を回想する。


「人を害する悪を敵と見做し、敵は倒す」というアイドルあり方に疑問があった時期に、水希は穢ノ神に出会った。
 彼の「舞芸が好きだから、守りたかった」という人間臭い言葉に救われた思いがした。
「善も悪も関係なく守りたいものがあるなんて。人間と変わらないじゃん」と。

 穢ノ神に頼まれたから嬉しかった。
 託されたから炎の冠や輝夜に触れることができた。
 輝夜も真蛇も守るためにフェスタとも戦えた。
 みんなでイザナミの怒りを鎮めることもできた。

 歓喜と苦悩、高揚と虚無。
 感情が千々に乱れ湧き上がる思いを胸に、かつて戦場になったこの場所で水希は【忘れ去られた歌】を響かせる。
 歌声に乗せて穢ノ神に葦原に平穏が訪れた報告をするために。

 そして水希は【アルトゥスの絵巻物】を用いて花壇を青い彼岸花に塗り替えていった。
 勝手に作った花言葉は『きっとまた会える』。

 穢ノ神はもういないけれど、思いを込めて歌う水希には彼の声が聞こえたような気がしたのだった。

 ***

 その頃、合歓季 風華真蛇をマウントオリエンタルに誘って、話をしながら歩いていた。

「本当に万一の事がと心配したのですから!」
「わかった、わかっている。
 まったく輝夜といい君たちといい、お人好しも度が過ぎるというものだ……」
 風華は真蛇の先日の怪我を心配するあまり責めるような口ぶりになってしまったが、それも真蛇への溢れる気持ちのなせる業である。
「ご無理なさっていませんよね?」と真蛇の体調を気遣いつつ歩いているのがその証拠だ。

 マリパラはかつて、葦原から穢ノ神の像と共に八尋殿が転移してきた場所で、真蛇があの騒動で地球に来たことに風華は驚いたのだった。
 だから新たに出来たこのエリアの雰囲気に、不思議な縁を感じる。
 今風華の横に真蛇が歩いていることが、奇跡のように思えるのだ。


 せっかくの新生マリパラなので、風華は真蛇と洞窟のウォークラリーに行ってみることにした。
 真っ暗な中を二人で手を繋いで進み、ようやく最奥にいるお地蔵様のような立像の「かみさま」の所まで辿り着いた。
 ぼんやり光る「かみさま」に二人並んで手を合わせ、静かに祈りをささげたのだった。


 洞窟から出て、風華は真蛇と心ゆくまで語り合った。
 これまでの事やこれからの事。
 そして巡り合った人々の悩みと行く末について。
 風華は自分が身に着けた舞芸はこれからも、そんな人々のために届けたいと、変わらぬ決意を真蛇に伝えた。

 ふと気づくと、青一面の花壇の傍で水希が歌っている。
 ちょうどそこに居合わせた輝夜も合流し、風華と水希、真蛇の四人で様々な想いを話し合ったのだった。
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