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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

バレンタイン・ブライド!

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■リリカルカントリー■

 おもちゃとお菓子の国がテーマのリリカルカントリーの一画。
 童話の世界のような街並みに、三角屋根が印象的なかわいらしい建物が見える。
 今日のために支度されたチャペルの一つだ。
 すでに挙式の準備は整っており、花やリボンでメルヘンチックに飾られている、

【始まりのワルツ~恋歌×海翔】

「れんちゃん……そろそろかしら」

 チャペル内には、花嫁の姉甘味 愛歌
 そわそわと落ち着きなくしている。
 
 愛歌のそばには【ローズクロスコート】を着た新郎狩屋 海翔
 その服は白地に金の縁取りがなされており、背には所属のエンブレム――晴れの舞台にとても映えている。
 【ローズクロスコート】の下には、彼の誕生石であるペリドットをあしらった金色のクロスチャーム【イブニング・エメラルド】がちらりと見える。
 
(この俺が結婚式なんてわかんねーもんだぜ)

 海翔は【イブニング・エメラルド】に大切そうに触れながら、そんなことを考える。
 
 かちゃっ――
 
 祭壇のそば、扉が静かに開き進行役のリンアレルが現れた。

「このたびは、おめでとうございます」
 
「よろしくな、リンアレル」

「こちらこそよろしくお願いします……あぁ、結婚式なんて興奮します!」

 ギィィ――
 
 今度はチャペルの出入り口、両開きの大扉が開いた。

「お待たせしました」

 新婦の甘味 恋歌が到着した。 
 恋歌の傍らでは幼生神獣【ティラミス】がはしゃいでいる。 

 【風雅のクロスコード】を纏った恋歌は、お姫様のような花嫁衣裳【乙女の夢】を着ている。
 ハート・リボン・フリル……女の子の夢が詰まったハートカットビスチェのプリンセスラインドレスは、愛歌から恋歌への贈り物。 愛歌がいつかこの日のためにと温めていたデザインを、自ら仕立て屋に持ち込み、作ってもらったのだ。
 
「れんちゃん、すっごく綺麗……! 天使……!」

 ハンカチを握り目をうるうるさせる姉に照れ笑いしながら、恋歌は海翔の元へ。
 
「……綺麗だぜ、恋歌」

「あ……ありがとうございます……」

「やっぱ花嫁衣装似合ってるじゃん」 
 
「か、海翔さんも、とっても素敵です」

 頬を赤く染める恋歌の首元には、ピンクチェーンの、【アメジストの首飾り】。
 魔力を帯びたこのアメジストは、恋歌の誕生石だ。
 石の左右に小さな羽があしらわれており、どこか【ティラミス】に似ている。
 窓からの日差しを浴び、アメジストとドレスはキラキラと輝いている。

「あぁ……れんちゃん……本当に綺麗……
 海翔くん、恋歌のこと、よろしくね……!」
 
 海翔が深くうなずいてみせると、とうとう愛歌は泣き出した。
 
 ♪♪~
 
 式の開始を告げるオルガンが厳かに鳴り響き、恋歌と海翔はリンアレルの待つ祭壇へ向かった。


(私だけの王子様――)

 隣りの海翔の凛々しい姿を見上げると自然と笑みがこぼれ、恋歌はブーケに顔をうずめた。
 【ETERNAL】と名付けられたそのブーケには、愛情や思いやり、決意や誓い……彼からの様々な深い気持ちがこめられている。
 
「海翔さん。あなたは、ここにいる恋歌さんを妻とし、
 その健やかなる時も、病める時も、富める時も、貧しき時も、
 愛し、敬い、慈しみ、永遠(とわ)に真心を尽くすと誓いますか?」

「はい、誓います」

「恋歌さん。あなたはここにいる海翔さんを夫とし、
 その健やかなる時も、病める時も、富める時も、貧しき時も、
 愛し、敬い、慈しみ、永遠(とわ)に真心を尽くすと誓いますか?」

「はい、誓います」

 そう答えた恋歌は、海翔を見つめ、さらに自分の言葉で誓いを立てた。

「私、恋歌は、優しく誠実なあなたと出会えたことに感謝し、あなたの妻として一生愛し続けることを誓います。
 ……末永くよろしくお願いします」
 
 海翔もまた、自分の言葉で誓いを返した。
 
「私、狩屋海翔は。貴女を生涯の妻とし、一生涯愛することを誓います。
 ……選んでくれてありがとよ、恋歌」

 リンアレルが感極まって涙する。
 
「お二人とも、素敵な誓いでした。本当におめでとうございます」

 ♪♪~

 結婚を祝う晴れやかなオルガンが響き出す。

「二人ともおめでとー!」

 泣きながらも晴れやかに笑う愛歌が【アルトゥスの絵巻物】を広げ、エレメントを出現させた。
 二人の未来が穏やかで幸せなものであるよう願いを込めて、チャペルに花々を咲かせる。
 厳かだった雰囲気がとけ、チャペルは甘く明るく、軽やかな空気に満ちた。
 
 【ティラミス】は、のびのびと翼を広げ、飛翔する。

「これからは姐さんて呼んだ方がいいか?」
 
 海翔が愛歌に笑いかける。
 泣きながらも海翔に明るい笑みを返した愛歌は【トッカータの我儘】。
 オルガンの奏でを踊り出したくなるようなワルツ調に変えた。

 ♪♪♪~
 
 ワルツのリズムにのって【ティラミス】が踊るようにくるくる旋回を始めた。
 恋歌は、瞳を輝かせて【ティラミス】を見上げている。
 新妻の気持ちを察した海翔が(踊りたいのか?)と表情で問うと、恋歌は恥ずかしそうにうなずいた。

「いいぜ、こんなとこでやるとあの時を思い出すな。
 見せつけてやろうぜ……なんてな。ほら、手、出して」
 
 二人は、手を取り合って踊り出す。
 ダンスは、二人の恋の“始まり”のきっかけだ。
 
「ああ、興奮します」

 リンアレルは二人の幸せを祈り、ワルツに歌を添える。

「れんちゃん……踊り、とってもうまくなったね……」

 愛歌は、再びうるうるしている。
 
 ♪♪♪~
 
 永遠を誓い合い、新しい一歩を共に歩み出した二人の新しい関係は。
 皆との楽しいダンスと共に、始まった。
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