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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

バレンタイン・ブライド!

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◆模擬結婚式します!

 スピネル・サウザントサマーは【木漏れ日ギター】と結婚する。
 ギャグではない、本気だ。まあ、模擬結婚式になるけれど。

 結婚とは、生涯のパートナーを選ぶことだ。
 ディスカディアの抗争の最中に生まれたディーヴァに、与えられた使命は誰かを守ること。
 ギターを手に願いを信じて行動すれば、自分のいる場所が笑顔に満ちる。
 世界はきっと音楽で、争いのない世界に変えられる。
 だからスピネルは生涯のパートナーにギターを選んだ。


 模擬結婚式の会場はリリカルカントリー。
 おとぎ話のような空間で、スピネルの奇妙な結婚式が始まった。

 真っ白なウェディングドレスを着たスピネルは、無理やり白いタキシードを着せた新郎ギターを抱きかかえて入場する。
 牧師代わりのイザークが目を剥いて驚いている。
 そんなイザークの視線を意に介さず、スピネルは堂々と胸を張って祭壇の前に立つのだった。

 コホンと咳ばらいをして気を取り直したイザークが、スピネルに誓いの言葉を促した。
「お前は、その……ギターに永遠の愛を誓うか?」
「誓います!!」
 元気よく答えるスピネル。
 次にイザークは困ったように新郎ギターにも尋ねた。
「お前……は、スピネルに永遠の愛を誓う……のか?」

 イザークが困惑気味に尋ねると、スピネルは新郎ギターを構え、ニヤリと笑って素晴らしいテクニックで演奏し始めた。
 ギターが服を着たこの状態で良い音が出れば、それはすなわちギターの「誓います」の意味になるというわけだ。

 スピネルは【サンライトスマイル】の光輝く笑顔と【U.スポットフォース】で注目を浴びながら、短い結婚式のテーマを完璧に演奏した。
 あっけに取られているイザークに、スピネルは得意満面で「誓うって言ってます」と説明してやった。

 指輪はギターのストラップに付ける。
 なんだかおかしな結婚式だったが、参列したフェスタ生の中でもミュージシャンたちは「少しだけ気持ちがわかる」と祝福した。
 ギターに付けられた指輪がキラリと光る。

 お似合いのカップルなのではないでしょうか?


 ***


 深郷 由希菜はマウントオリエンタル内をぶらぶらと歩いていた。
(模擬結婚式かぁ……。結婚式っていう感じを一回は味わってみたいよね!)
 そんなことを思っていると、探すともなく探していた咲夜を発見した。

「咲夜ちゃんみーっけ!」
「わわっ! びっくりしたぁ~」
「ねぇねぇ咲夜ちゃん、俺と模擬挙式してみない? もちろん嫌ならしないよ?」
「模擬結婚式!? 面白そう! やろうやろう!」
 きゃっきゃと喜ぶ咲夜に、由希菜も嬉しくなる。

 だが咲夜がはたと気づいたように「でもそういうのってまずデートとかからじゃない?」と提案する。
 たしかに模擬結婚式を挙げるのだから、その前に模擬おつきあいがあってもいいかもしれない。
 由希菜は咲夜に手を引かれ、手近なカフェ、もとい茶屋に入って式の相談をすることになった。


「じゃあまず、衣装選びからね」
 由希菜は白無垢にするか【スヴァリンテイル】にするか、真剣に悩んでいる。
「むぅ、ねぇ咲夜ちゃん、俺どれ着たらいいかな?」
「そうだねぇ。どっちもいいよね」
「むむ、でも男装女子も捨てがたい……どうしよう?」

 悩める乙女の由希菜、悩みは衣装だけにとどまらず、結婚式の演出も気になる。
「あと、できるなら【レインボウカーペット】のヴァージンロードや【バステトの癒し】【スイッチ:陽だまりのサンギータ】で演出もしたいなぁ」
「いろいろと賑やかになりそうだね」

 由希菜と咲夜は模擬結婚式のシミュレーションを飽きることなく繰り返して、楽しくおしゃべりするのだった。
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