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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

バレンタイン・ブライド!

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◆あの人と模擬結婚式

 弥久 風花は、もうずっと以前から先輩の桐島泰河が好きで好きでたまらないのに、未だに告白すらできていない。
 今回こそ桐島先輩と模擬結婚式を挙げて、積年の想いをきっちり告白する!
 そう決意した風花は、ホワイトウォーターフロントのチャペルに向かった。
 貸衣装のウェディングドレスを着て、泰河にしっかりと想いが伝わるように告白の言葉を脳内シミュレーションしていると……。


 いつの間に時間が経ったのだろう。
 気が付くと風花がいたのはチャペルの祭壇の前、横に泰河が立っていて、どうやら結婚式の真最中のようだ。
「さあ、誓いのキスを」
 神父が促す。
 
(はっ?! も、もうこの場面に!? ど、どどどどどうしよう、誰か、誰か時間を巻き戻して!)
 心の叫びが誰に届く訳でもなく、焦った風花がそうっと泰河を窺い見ると、泰河も落ち着かない様子だ。
(先輩、先輩は……、困ってる?)
 泰河の焦りを見て、逆に風花は落ち着きを取り戻した。
(そっか、模擬なのにキスまでするとは思ってなかったのね……。じゃあ、私から動かないと!)
 大胆にも風花は自分から泰河に口づけた。
 そして、目を見開いて固まっている泰河に笑顔で囁いた。
「先輩、私は先輩の事、大好きですよ」


 そのまま模擬結婚式は終わり、風花は改めて泰河に言った。
「先輩、私と男女交際して下さい!」

「え……ええええええ!? 今までの、その、あれとかこれとか、全部そういう意味だったのか!?」
 風花の告白に耳まで真っ赤にして、泰河は驚きのあまり後ずさった。
 これまでのアプローチが、今ようやく風花からの好意ゆえのものだと気づいたらしい。とんだ朴念仁である。
 
「なんつーか、オレ、そういうの初めてで、わかんないからっ! とりあえずちゃんとした返事は、その、待って、もらえ、ませんか……」
 なんとも格好のつかない尻すぼみな返事だったが、風花は笑って頷いた。
「――はいっ!」

 順番が逆になったけど、ついに思っていた告白ができて満足する風花だった。


 ***


 黒瀬 心美ダイヤモンド・ブレイドを少々強引に模擬結婚式に誘った。
「ねーねーやろうよやろうよ! 面白いかもしんないよ?」
 心美にぐいぐい引っ張られてダイヤモンドは迷惑そうな顔をしているが、されるままになっているところを見ると、まんざらでもないのかもしれない。
「場所は……そうだね、『ホワイトウォーターフロント』にしようか。模擬婚とは言え、やっぱロマンチックに行きたいよねー。海の見えるチャペルなんてステキじゃん!」


 チャペルの控室にやってきた心美は、ダイヤモンドのためにウェディングドレスを選び始めた。
「ダイヤモンドには、どんなウェディングドレスが似合うだろう……? 色は純白として、種類は……Aライン? プリンセスライン?」
 ダイヤモンドも女性として、ウェディングドレスを見るのが楽しくないわけがない。
 迷惑そうな表情を解き、ドレス選びに興味を示した。
「私はAラインが好みだが、プリンセスラインのも捨てがたい」
「そうだねぇ。……ええィ、ここは全部試しちゃえ!」

 ダイヤモンドがドレスを試着し、やっと決まった後、今度は心美のドレス選びが始まる。
「アタシのはやっぱ真紅のドレスがいいかなぁ……。ダイヤモンドはどう思う?」
 心美もダイヤモンドに相談しつつ、とっかえひっかえして色々試し、納得の一着に決めた。


 二人で真紅と純白のウェディングドレスを着て祭壇の前に立つと、日頃、豪放磊落な心美も緊張で顔がこわばるのを感じる。
(……やっぱ模擬とは言え、ドキドキするなぁ。ダイヤモンドはどうだろ……)
 式の途中でチラチラとダイヤモンドの方を窺うと、彼女はいつもにも増して仏頂面になっていた。
 あれはたぶん、面白くないのではなく緊張のせいだと思いたい心美だった。


 模擬結婚式が終わると緊張から解放され、二人共リラックスしていた。
「ね、ね、どうだった? 楽しかったでしょ? これ、付き合ってくれたお礼。よかったら食べて」
 差し出したのは【心美のバレンタインチョコ】。心美がダイヤモンドのために自作した宝石型のパフチョコレートだ。
「ありがたくいただくとしよう」

「それからさー、これからダイヤモンドの事、“ダイヤ”って呼んでいい?」
 愛称で呼べるぐらいの関係なら、心美にだけは笑顔を見せてくれるかもしれない。
「まあ、模擬とはいえ結婚式をした仲だからな。好きに呼ぶといい」
 ダイヤモンドは相変わらずの仏頂面だったが、頬をわずかに染めていた。
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