バレンタイン・ブライド!
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■マリンパラダイス■
新生マリパラの目玉エリア、海の底の国をテーマにしたマリンパラダイス。
サンゴや貝殻の質感を模したお城のホールでは、ヴァレンタインの計らいによって、挙式の支度が整っていた。
ホール内部に窓はなく、明るい海の底をイメージした淡いブルーや淡いピンクの照明が幻想的だ。
テーブルや椅子、チェストやシャンデリアも凝っており、海藻やあぶく、貝殻やサンゴがモチーフになっている。
【しあわせな人魚姫~ブルースターとクロユリ~詩歌×貫】
去年のバレンタインに「一年後に結婚しよう」と約束した行坂 貫と近衛 詩歌は、その約束通り、本日結婚式を挙げる。
「人魚姫は大好きなんだよね! 本来の物語の結末を除いて!」
詩歌はマリンパラダイスにちなんで、人魚姫風のウェディングドレス。
人魚というとマーメイドドレスを連想しがちだが、これは様々に工夫がこらされており、小柄な詩歌にもぴったりのデザインとなっている。
「王子と結ばれる幸せな結末の人魚姫だって良いだろ?」
貫は人魚姫な詩歌に合わせ、王子風の花婿衣装を着こなしている。
「真蛇氏との打ち合わせは完璧だから、安心してね」
二人の傍らには、挙式の手伝いを買って出たトパーズ・ティアーハート。
トパーズは好みのドレスを着ており、ご機嫌だった。
彼は男子だが、タキシードよりもドレスが素敵だと感じているのだ。
「もう1年経つなんて……懐かしいな……。
詩歌達とはちょうどディスカディアの事件が起こってる最中の出会いだったな」
何だかんだで詩歌に感謝しているトパーズは、今日の式を成功させたいという気持ちでいっぱいだ。
♪♪~
チャペル内に厳かな音楽が流れ、挙式の始まりを告げた。
真珠や珊瑚で飾られた祭壇には、進行役の真蛇が立っている。
「君もどうかしている……敵だった者に祝わせるなど」
こんな特別な日だが、真蛇はいつも通りの真蛇のままだ。
だが、詩歌と貫はそうはいかず、熱い視線を真蛇に送る。
二人の「今」は、真蛇の影響を受けたからこその結果だった。
お互いを意識するきっかけも、仲を深めていったきっかけも、交際のタイミングさえも、真蛇自身や、彼が関与した事件の影響を受けた。
その真蛇がいま、自分達の結婚式に、このマリパラに、進行役として来ているのだ。
「もっとふさわしい役がいるだろうに」
さらに皮肉を言う真蛇に、貫がまっすぐ視線を向ける。
「そんなことはない。たぶん真蛇がいなかったら、俺は詩歌と付き合ってなかったと思う」
隣の詩歌も、こくこくと頷いている。
「つまり私は、二人の縁結びをしたと言うわけか。
これは異なことを」
ほんの少し表情をゆるめた真蛇だったが、すぐにかしこまった顔を取り戻した。
「陰陽師に神職の真似事をさせるのだ、相応の心構えというものをしてもらうぞ」
そんな言葉からは、真蛇が心をこめてこの挙式に挑んでいるのが感じ取れた。
「今日の佳き日に、二人はめでたく夫婦となった。
これからのちは、相敬い(あいうやまい)、相和し(あいわし)、
苦楽を共にし、助け合い、励ましあい、
良き夫婦として幾久しく暮らしていくと誓うか?」
神妙なまなざしを向けられ、背筋を伸ばして二人が答える。
「「誓います」」
真蛇の進行により、指輪の交換も誓いのキスも滞りなく行われ、やがて厳かなまま式は終わる。
最後の最後、祭壇から降りる際。
彼はいたって真顔で二人に言った。
「くれぐれも……子供は大事にするんだぞ」
「へっ?」
詩歌が頬を赤らめる。
彼の生い立ちやこれまでをおもんばかった貫は、深く、うなずいてみせた。
こうして真蛇が退場すると――
「さあ、いよいよだよ行坂氏」
トパーズが、ヘアメイクのスタッフを数人引き連れて現れ、貫を控室に拉致した。
「待って、詩歌も行く♪」
うきうきした足取りで、詩歌も後に続く。
そして数分後――
「お集まりの皆さま。お色直しを終えた二人を呼びましょう」
トパーズの声で貫と詩歌が現れると、会場がどっと沸いた。
それもそのはず。
新郎新婦の衣装が、入れ替わっているのだ。
貫は女装し、人魚姫風の衣装をまとっている。
詩歌のほうは、貫に合わせた王子風の衣装――。
スタッフさんの持ってきてくれた既製品に手を加えただけの衣装だったが、なかなかの出来栄えだった。
ヘアメイクに至っては、何から何まで完璧だった。
「やっぱり。貫、真面目にやれば絶対に似合うんだよ」
詩歌は笑顔が止まらない。
「女の子は好きな人の女装が見たいものだし、芸能人の貫がやれば、世界に女装が広まるね!」
そんな詩歌を見つめる貫は、とても幸せそうだ。
(女装が好きなわけではなく、喜ぶ詩歌を見ることができたからだろう)
ウエディングケーキが準備され、ケーキナイフが二人に手渡された。
「詩歌に逢えた事が俺の何よりの幸福だ。愛してる」
「私は誰よりも何よりも貴方を愛しています」
貫と詩歌は、互いのいのちを撫であうような視線を交わし、ケーキに入刀。
幸せいっぱいのキスをした。
新生マリパラの目玉エリア、海の底の国をテーマにしたマリンパラダイス。
サンゴや貝殻の質感を模したお城のホールでは、ヴァレンタインの計らいによって、挙式の支度が整っていた。
ホール内部に窓はなく、明るい海の底をイメージした淡いブルーや淡いピンクの照明が幻想的だ。
テーブルや椅子、チェストやシャンデリアも凝っており、海藻やあぶく、貝殻やサンゴがモチーフになっている。
【しあわせな人魚姫~ブルースターとクロユリ~詩歌×貫】
去年のバレンタインに「一年後に結婚しよう」と約束した行坂 貫と近衛 詩歌は、その約束通り、本日結婚式を挙げる。
「人魚姫は大好きなんだよね! 本来の物語の結末を除いて!」
詩歌はマリンパラダイスにちなんで、人魚姫風のウェディングドレス。
人魚というとマーメイドドレスを連想しがちだが、これは様々に工夫がこらされており、小柄な詩歌にもぴったりのデザインとなっている。
「王子と結ばれる幸せな結末の人魚姫だって良いだろ?」
貫は人魚姫な詩歌に合わせ、王子風の花婿衣装を着こなしている。
「真蛇氏との打ち合わせは完璧だから、安心してね」
二人の傍らには、挙式の手伝いを買って出たトパーズ・ティアーハート。
トパーズは好みのドレスを着ており、ご機嫌だった。
彼は男子だが、タキシードよりもドレスが素敵だと感じているのだ。
「もう1年経つなんて……懐かしいな……。
詩歌達とはちょうどディスカディアの事件が起こってる最中の出会いだったな」
何だかんだで詩歌に感謝しているトパーズは、今日の式を成功させたいという気持ちでいっぱいだ。
♪♪~
チャペル内に厳かな音楽が流れ、挙式の始まりを告げた。
真珠や珊瑚で飾られた祭壇には、進行役の真蛇が立っている。
「君もどうかしている……敵だった者に祝わせるなど」
こんな特別な日だが、真蛇はいつも通りの真蛇のままだ。
だが、詩歌と貫はそうはいかず、熱い視線を真蛇に送る。
二人の「今」は、真蛇の影響を受けたからこその結果だった。
お互いを意識するきっかけも、仲を深めていったきっかけも、交際のタイミングさえも、真蛇自身や、彼が関与した事件の影響を受けた。
その真蛇がいま、自分達の結婚式に、このマリパラに、進行役として来ているのだ。
「もっとふさわしい役がいるだろうに」
さらに皮肉を言う真蛇に、貫がまっすぐ視線を向ける。
「そんなことはない。たぶん真蛇がいなかったら、俺は詩歌と付き合ってなかったと思う」
隣の詩歌も、こくこくと頷いている。
「つまり私は、二人の縁結びをしたと言うわけか。
これは異なことを」
ほんの少し表情をゆるめた真蛇だったが、すぐにかしこまった顔を取り戻した。
「陰陽師に神職の真似事をさせるのだ、相応の心構えというものをしてもらうぞ」
そんな言葉からは、真蛇が心をこめてこの挙式に挑んでいるのが感じ取れた。
「今日の佳き日に、二人はめでたく夫婦となった。
これからのちは、相敬い(あいうやまい)、相和し(あいわし)、
苦楽を共にし、助け合い、励ましあい、
良き夫婦として幾久しく暮らしていくと誓うか?」
神妙なまなざしを向けられ、背筋を伸ばして二人が答える。
「「誓います」」
真蛇の進行により、指輪の交換も誓いのキスも滞りなく行われ、やがて厳かなまま式は終わる。
最後の最後、祭壇から降りる際。
彼はいたって真顔で二人に言った。
「くれぐれも……子供は大事にするんだぞ」
「へっ?」
詩歌が頬を赤らめる。
彼の生い立ちやこれまでをおもんばかった貫は、深く、うなずいてみせた。
こうして真蛇が退場すると――
「さあ、いよいよだよ行坂氏」
トパーズが、ヘアメイクのスタッフを数人引き連れて現れ、貫を控室に拉致した。
「待って、詩歌も行く♪」
うきうきした足取りで、詩歌も後に続く。
そして数分後――
「お集まりの皆さま。お色直しを終えた二人を呼びましょう」
トパーズの声で貫と詩歌が現れると、会場がどっと沸いた。
それもそのはず。
新郎新婦の衣装が、入れ替わっているのだ。
貫は女装し、人魚姫風の衣装をまとっている。
詩歌のほうは、貫に合わせた王子風の衣装――。
スタッフさんの持ってきてくれた既製品に手を加えただけの衣装だったが、なかなかの出来栄えだった。
ヘアメイクに至っては、何から何まで完璧だった。
「やっぱり。貫、真面目にやれば絶対に似合うんだよ」
詩歌は笑顔が止まらない。
「女の子は好きな人の女装が見たいものだし、芸能人の貫がやれば、世界に女装が広まるね!」
そんな詩歌を見つめる貫は、とても幸せそうだ。
(女装が好きなわけではなく、喜ぶ詩歌を見ることができたからだろう)
ウエディングケーキが準備され、ケーキナイフが二人に手渡された。
「詩歌に逢えた事が俺の何よりの幸福だ。愛してる」
「私は誰よりも何よりも貴方を愛しています」
貫と詩歌は、互いのいのちを撫であうような視線を交わし、ケーキに入刀。
幸せいっぱいのキスをした。