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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

バレンタイン・ブライド!

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【黄色い月に染まる二人~夕真×翡翠】
 
 式を直前に控えた空染 夕真は、進行役の渡邊継美と共に廊下を歩いている。
 窓からの日差しは甘くやわらかく、既に春の気配が含まれている。

「結婚式日和ですねぇ」

 継美は満面の笑みだが、夕真は緊張した面持ちのまま。
 コンコンコンと新婦控室の扉をノックする。
 
「夕真、渡邊先生」

 花嫁の文月 翡翠が現れた。
 今日のこの日、翡翠のウエディングドレスは白ではなく黄色だ。
 黄色は夕真の色。
 彼が黄色を「自分の色」と言うほど身近に特別に感じている色だ。
 
「……どうしてくれるんだ。心臓がうるさいよ。あぁもう。好きだなぁ」

 夕真が軽く翡翠をにらむ。
 そんな夕真を見た翡翠からは、笑みがこぼれる。
 扉を開けるまでは、あんなに緊張していたのに……。

「私も好きですよ」

 こぼれた笑顔のまま、翡翠が言う。

「ヴァージンロードで待ってるから」
 
 心臓がうるさいまま、夕真は控室を後にした。


 ♪♪~
 
 そして式が始まった。
 厳かな音楽と波音をバックに、黄色いドレスの翡翠がヴァージンロードを歩く。
 ヴァージンロードの先、祭壇では夕真が待っている。

(……綺麗だ。この世の何よりも)

 夕真は、愛しい人が歩いて来るのを黄色い瞳で見つめる。
 
(幸せです。きっとこの世の誰よりも)

 翡翠は想いを噛みしめながら、愛する人のもとへ向かって歩く。
 見守ってくれる夕真の瞳は、何よりも美しく感じる。
 この世界に夕真と自分しかいないような幸福感の中、翡翠は夕真の元にたどり着く。 

「二人とも、立派になりましたね……」
 
 継美がしみじみとつぶやいた。
 
「空染 夕真さん。
 あなたはこの女性、翡翠さんを妻として、
 常に愛し、敬い、慰め、助け、
 健やかなる時も、病める時も、富める時も、貧しき時も、
 その命の続く限り、真心を尽くすと誓いますか?」

(俺は、弱い。けど、陽方や水花は自分の為に自分で強くなった。
 空染家の2人の兄として、そして翡翠の夫になる者として、俺は強くなる)

「はい、誓います」
 
 夕真は、翡翠とならどんな困難でも乗り越えていけると信じている。
 
「文月 翡翠さん。
 あなたはこの男性、夕真さんを夫として、
 常に愛し、敬い、慰め、助け、
 健やかなる時も、病める時も、富める時も、貧しき時も、
 その命の続く限り、真心を尽くすと誓いますか?」
 
(私は弱い 今でさえ、過去を清算しきれないでいる。
 過去は墓に持っていく、
 けど夕真の妻となる者として、私は今、生まれ変わる)

「はい、誓います」

 翡翠は、夕真とならどんな道でも歩んでいける信じている。

「新しい月染という苗字、とても二人に似合ってますよ」

 継美がテストの点でもほめるような口調で笑う。
 二人は目を合わせ、嬉しそうに微笑んだ。
 その名前は、二人で考えた、二人だけの名前だった。

「永遠の愛を誓うよ、翡翠」

「永遠の愛を……夕真」

 夕真は翡翠の深いコバルトブルーの瞳に釘付けになっている。
 もう、音楽も波の音も聞こえない。
 翡翠だけを見つめながら、夕真はヴェールをたくし上げ、そのくちびるにキスをする。

「どんなときも君を1人にはしない」

「どんなときもあなたの傍に」

 チャペルには、春を感じさせる暖かな日の光が、かたく結ばれた二人を祝福するかのように輝いている。
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