バレンタイン・ブライド!
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リアクション
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【青の結婚式~マリッジブルーはサムシングブルーに上書きされて……~水花×輝】
支度を終えた新郎の藤堂 輝は、少しだけ所在なげに廊下を歩いている。
今日が挙式なのに、正直なところ不安が募っていた。
(これは花嫁が感じるマリッジブルーというやつか?)
歩みは少しゆっくりに不安げになる。しかし決して立ち止まることはなく。
「(ならば俺は――)俺達に青を添えよう」
輝は決心したような足取りで、目的の扉に向かった。
控室には、こちらもすでに支度を終えた空染 水花と、厳めしい顔で腕を組む穢ノ神 ナオヤ。
「この俺様をこんな浮かれた場所に呼びつけるとは、いったい何の用だ」
「私、実はナオヤの大ファンなんだ。だから、頼めるかな」
水花はナオヤに、式の進行役をお願いしている。
「大ファン……か」
ナオヤがにやりと笑うと――。
コンコン。
扉が開き、輝が現れた。
正装した輝を見て、水花の目が輝く。
迎えに来てくれた輝はあまりにも格好良く、まるで王子様のようで。
「……ぁ」
何か言おうにも、水花はうまく言葉にできない。
結婚式の今日、水花は花嫁のおまじない「サムシングフォー」を意識したコーディネイトだった。
サムシングオールド(何か古いもの)は、母の形見のヴェール
サムシングボロー(何か借りたもの)は、兄、陽方の十字架のペンダント
サムシングニュー(何か新しいもの)は、今日から新しくなる苗字(彼の藤堂姓)
そしてサムシングブルー(何か青いもの)は……
水花は、うっとりと輝の青い瞳を見つめた。
(サムシングブルーは、輝のこの、青い瞳――)
見つめられた輝もまた、言葉少なだった。
花嫁姿の水花はとても美しく、ドキドキしているのだ。
輝は、水花に青い薔薇を一輪差し出した。
(君に出会えたのは、まさに奇跡だ)
想いを託しながら、水花の髪に薔薇を飾る。
思い出深い青い薔薇を飾ってもらった水花は、嬉しさと不安と緊張の混ざった顔をしている。
輝は身をかがめ、
「大丈夫だよ」
おでこにそっと、キスを落とす。
リラックスできた水花が、輝の手を取った。
「幸せのおまじないしよ、輝」
二人は小指を絡め指切りをした。
「『これからの日々が、幸せで溢れますように』」
そんな二人を見ていたナオヤが、からかうように笑う。
「デレデレで見てられん、先に行ってるぞ。まったく。俺様の大ファンって話はどこへやら。」
♪♪~
厳かな音楽が流れ、式が始まった。
青い海と青い空を臨むチャペルを、水花は歩く。
以前おこなった模擬結婚式の時より、水花は遥かに幸せを感じている。
(すき、すき。……だいすき。
輝への憧憬はいつからか恋心に変わったのを覚えてる。
寂しさも愛しさも全部飲み込んで、大好きなの)
泣いてしまいそうな自分を、青い瞳が、青い海と空が、青い薔薇が見守ってくれている。
……ますます泣いてしまいそうだった。
「輝、そして水花よ」
仲良く並んだ二人を、ナオヤがじろりと睨む。
「今日のよき日、二人はめでたく夫婦となった。
これからは、相敬い(あいうやまい)、相和し(あいわし)、助け合い、励まし合い、
よき夫婦として幾久しく暮らしていくと、誓えるか」
「「はい。誓います」」
「では、互いの言葉で誓ってみろ」
「ね、輝。これからもずっと、愛してるよ」
「俺が愛しているのは水花だけだ」
輝が、サムシングオールドのヴェールをたくし上げる。
(美しいと思うのも、可愛いと思うのも、守りたいと思うのも、)
「水花だけだ」
誰にも見えぬように水花を抱き包み短く口づけると、輝は彼女を抱き上げた。
「幸せにな」
ナオヤの声に見送られ、輝は水花を抱いたまま歩き出す。
(多分私は、まだまだ輝にとっては子供なんだろうな……
だから、目を離さずに見てて。
すぐに追いついて、余裕なんてなくしてあげるから)
お姫様抱っこされたままの水花は、まぶしげに輝を見上げた。
【青の結婚式~マリッジブルーはサムシングブルーに上書きされて……~水花×輝】
支度を終えた新郎の藤堂 輝は、少しだけ所在なげに廊下を歩いている。
今日が挙式なのに、正直なところ不安が募っていた。
(これは花嫁が感じるマリッジブルーというやつか?)
歩みは少しゆっくりに不安げになる。しかし決して立ち止まることはなく。
「(ならば俺は――)俺達に青を添えよう」
輝は決心したような足取りで、目的の扉に向かった。
控室には、こちらもすでに支度を終えた空染 水花と、厳めしい顔で腕を組む穢ノ神 ナオヤ。
「この俺様をこんな浮かれた場所に呼びつけるとは、いったい何の用だ」
「私、実はナオヤの大ファンなんだ。だから、頼めるかな」
水花はナオヤに、式の進行役をお願いしている。
「大ファン……か」
ナオヤがにやりと笑うと――。
コンコン。
扉が開き、輝が現れた。
正装した輝を見て、水花の目が輝く。
迎えに来てくれた輝はあまりにも格好良く、まるで王子様のようで。
「……ぁ」
何か言おうにも、水花はうまく言葉にできない。
結婚式の今日、水花は花嫁のおまじない「サムシングフォー」を意識したコーディネイトだった。
サムシングオールド(何か古いもの)は、母の形見のヴェール
サムシングボロー(何か借りたもの)は、兄、陽方の十字架のペンダント
サムシングニュー(何か新しいもの)は、今日から新しくなる苗字(彼の藤堂姓)
そしてサムシングブルー(何か青いもの)は……
水花は、うっとりと輝の青い瞳を見つめた。
(サムシングブルーは、輝のこの、青い瞳――)
見つめられた輝もまた、言葉少なだった。
花嫁姿の水花はとても美しく、ドキドキしているのだ。
輝は、水花に青い薔薇を一輪差し出した。
(君に出会えたのは、まさに奇跡だ)
想いを託しながら、水花の髪に薔薇を飾る。
思い出深い青い薔薇を飾ってもらった水花は、嬉しさと不安と緊張の混ざった顔をしている。
輝は身をかがめ、
「大丈夫だよ」
おでこにそっと、キスを落とす。
リラックスできた水花が、輝の手を取った。
「幸せのおまじないしよ、輝」
二人は小指を絡め指切りをした。
「『これからの日々が、幸せで溢れますように』」
そんな二人を見ていたナオヤが、からかうように笑う。
「デレデレで見てられん、先に行ってるぞ。まったく。俺様の大ファンって話はどこへやら。」
♪♪~
厳かな音楽が流れ、式が始まった。
青い海と青い空を臨むチャペルを、水花は歩く。
以前おこなった模擬結婚式の時より、水花は遥かに幸せを感じている。
(すき、すき。……だいすき。
輝への憧憬はいつからか恋心に変わったのを覚えてる。
寂しさも愛しさも全部飲み込んで、大好きなの)
泣いてしまいそうな自分を、青い瞳が、青い海と空が、青い薔薇が見守ってくれている。
……ますます泣いてしまいそうだった。
「輝、そして水花よ」
仲良く並んだ二人を、ナオヤがじろりと睨む。
「今日のよき日、二人はめでたく夫婦となった。
これからは、相敬い(あいうやまい)、相和し(あいわし)、助け合い、励まし合い、
よき夫婦として幾久しく暮らしていくと、誓えるか」
「「はい。誓います」」
「では、互いの言葉で誓ってみろ」
「ね、輝。これからもずっと、愛してるよ」
「俺が愛しているのは水花だけだ」
輝が、サムシングオールドのヴェールをたくし上げる。
(美しいと思うのも、可愛いと思うのも、守りたいと思うのも、)
「水花だけだ」
誰にも見えぬように水花を抱き包み短く口づけると、輝は彼女を抱き上げた。
「幸せにな」
ナオヤの声に見送られ、輝は水花を抱いたまま歩き出す。
(多分私は、まだまだ輝にとっては子供なんだろうな……
だから、目を離さずに見てて。
すぐに追いついて、余裕なんてなくしてあげるから)
お姫様抱っこされたままの水花は、まぶしげに輝を見上げた。