【伯爵令嬢アリスの憂鬱】逃避行(第3話/全4話)
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◆大コウモリの襲撃(2)
「好き同士の二人を殺してまで引き裂こうとするなんて酷いです!」
リュウェル・フリードマンは憤慨した。
「そんなの黙って見てるなんて出来ないです。駆け落ちなんて恋愛推奨委員会として応援するしかないじゃないですか!」
鼻息も荒くこぶしを握りしめているリュウェルだが、怒りよりも好奇心が勝っているようだ。
その横では近衛 詩歌もやる気満々で、指をポキポキ鳴らしている。
「相思相愛の二人を邪魔するものは何であろうと詩歌は許さないからね! さぁ、叔父さん本人じゃなくても殴るぞ~」
いつも冷静沈着な行坂 貫は、そんな女子たちの横で今回も落ち着いている。
「詩歌、別に暴れたいなら暴れていいぞ。武器で殴るだけでも憂さ晴らしにはなるだろうし」
包容力のある恋人の言葉に、詩歌はふと我に返った。
「あれ? よくよく考えれば詩歌は攻撃する事に関しては弱いから、サポートしか出来そうにないのでは?」
「いいんじゃないか? 珍しくリュウェルがやる気だし、俺たちは援護に徹しよう」
「そ、そうだね! ここはみんなで協力して二人を守らないとだね!」
「そうですよ! 全力で二人をお助けするですよ!」
三人の気持ちが一つになった。
リュウェルは恋愛推奨委員会(主役)として、アリスとラルフを守るために戦う覚悟だ。
そのためにまず【ジャンヌの誓い】を発動し、攻撃力と防衛力を高めて大コウモリの攻撃に備えた。
貫は、駆け落ちしてきた二人が体力的にも気力的にも疲れていることを慮り、【スーパーブレッシング】で出現させた光り輝くトリュフチョコを差し出した。
「疲れた時は甘い物だよな」
「あ、ありがとう」
「ありがとうございます」
アリスとラルフはチョコを受け取ったが、その光を怪しんで食べようとはしない。
二人の懸念を察した貫は、自分が率先して食べてみせることにした。
詩歌とリュウェルにも渡して、一緒にチョコを食べる。
三人共、チョコの力で体が淡く発光してきた。
驚くアリスたちを安心させるように、貫は落ち着いた声で説明した。
「このチョコを食べると、見ての通り発光する。暗い夜には明かりになるし、目には見えないけど攻撃力と防衛力が大幅にアップするんだ」
恐る恐るチョコを口にするアリスとラルフ。
たちまち貫たち同様、淡く発光し始めた。
しかし発光したことは目立つことにもなり、貫たちは大コウモリの標的になってしまった。
一匹が上から急襲してきた。
「伏せろ!」
貫の声に皆が頭を手で庇って身をかがめた時、リュウェルは一人勇ましく【ルシフェルの手】を使って大コウモリを地面に叩き落した。
地面に落とされた大コウモリはじたばたともがいて、再度飛び立つことはできないようだ。
「大コウモリさんを飛べないようにするのは、正解だったです」
「よくやったな、リュウェル」
貫に褒められてリュウェルが照れている隙を突いて、別の大コウモリが数匹まとまって襲ってきた。
それに気が付いた詩歌が【白煉のジャッジメント】で光の十字架を出現させ、上から突き刺すように降らせる。
ほとんどの大コウモリは倒せたが、一匹の大コウモリが光の十字架をかいくぐり、本命のラルフに襲い掛かった。
「危ない!」
貫が身を挺してラルフを庇う。
「うわっ!」
大コウモリの鋭い爪が貫の肩を突き刺し、飛び去った。
「とーちゃん!」
「貫!」
リュウェルと詩歌が同時に叫んだ。
貫の服は破れ、むき出しになった肌からうっすらと血がにじみ出てきていた。
「やったな……」
肩に当てた手についた血を見て貫は呟いた。
【スーパーブレッシング】のトリュフチョコを食べていたので、この程度の怪我で済んだと言える。
詩歌は貫の怪我を見て、慌てて【ドロップ・ドロップス】で飴の雨を降らせて叫んだ。
「貫、早くこの飴を食べて! リュウェルさんも、アリスさんたちも!」
詩歌の飴と【高速なる再生】で傷は急速に癒え、貫は復活。他の皆も飴による守りの加護を得た。
しかし貫は静かに怒っていた。
元々、リュウェルと詩歌のサポートに徹しアリスとラルフを守るつもりだったが、やられっぱなしは癪に障る。
密かに闘志をみなぎらせる貫に、詩歌は【群雄割拠行進曲】を使って攻撃力を強化してやった。
そうして貫は【クルースニクの貪欲】をつけた【氷炎の爪】で、次々と襲い掛かる大コウモリに反撃していった。
少し遠くにいる大コウモリにも【惨憺たる紅棺】で攻撃し、こちらを襲ってくる前に攻撃を封じておく。
リュウェルは【トラジック・マーメイド】を発動し、氷のダガーで大コウモリを切り裂く。
大好きな貫と詩歌の恋人同士を思い浮かべて使用する【トラジック・マーメイド】は威力を増している。
アリスも拙いながらも、ラルフを庇いつつ懸命にピッチフォークを振り回して大コウモリを追い払っている。
しかし一匹ずつ反撃しているので埒が明かない。
まだまだ、ラルフに襲い掛かろうとしている大コウモリは残っているのだった。
「好き同士の二人を殺してまで引き裂こうとするなんて酷いです!」
リュウェル・フリードマンは憤慨した。
「そんなの黙って見てるなんて出来ないです。駆け落ちなんて恋愛推奨委員会として応援するしかないじゃないですか!」
鼻息も荒くこぶしを握りしめているリュウェルだが、怒りよりも好奇心が勝っているようだ。
その横では近衛 詩歌もやる気満々で、指をポキポキ鳴らしている。
「相思相愛の二人を邪魔するものは何であろうと詩歌は許さないからね! さぁ、叔父さん本人じゃなくても殴るぞ~」
いつも冷静沈着な行坂 貫は、そんな女子たちの横で今回も落ち着いている。
「詩歌、別に暴れたいなら暴れていいぞ。武器で殴るだけでも憂さ晴らしにはなるだろうし」
包容力のある恋人の言葉に、詩歌はふと我に返った。
「あれ? よくよく考えれば詩歌は攻撃する事に関しては弱いから、サポートしか出来そうにないのでは?」
「いいんじゃないか? 珍しくリュウェルがやる気だし、俺たちは援護に徹しよう」
「そ、そうだね! ここはみんなで協力して二人を守らないとだね!」
「そうですよ! 全力で二人をお助けするですよ!」
三人の気持ちが一つになった。
リュウェルは恋愛推奨委員会(主役)として、アリスとラルフを守るために戦う覚悟だ。
そのためにまず【ジャンヌの誓い】を発動し、攻撃力と防衛力を高めて大コウモリの攻撃に備えた。
貫は、駆け落ちしてきた二人が体力的にも気力的にも疲れていることを慮り、【スーパーブレッシング】で出現させた光り輝くトリュフチョコを差し出した。
「疲れた時は甘い物だよな」
「あ、ありがとう」
「ありがとうございます」
アリスとラルフはチョコを受け取ったが、その光を怪しんで食べようとはしない。
二人の懸念を察した貫は、自分が率先して食べてみせることにした。
詩歌とリュウェルにも渡して、一緒にチョコを食べる。
三人共、チョコの力で体が淡く発光してきた。
驚くアリスたちを安心させるように、貫は落ち着いた声で説明した。
「このチョコを食べると、見ての通り発光する。暗い夜には明かりになるし、目には見えないけど攻撃力と防衛力が大幅にアップするんだ」
恐る恐るチョコを口にするアリスとラルフ。
たちまち貫たち同様、淡く発光し始めた。
しかし発光したことは目立つことにもなり、貫たちは大コウモリの標的になってしまった。
一匹が上から急襲してきた。
「伏せろ!」
貫の声に皆が頭を手で庇って身をかがめた時、リュウェルは一人勇ましく【ルシフェルの手】を使って大コウモリを地面に叩き落した。
地面に落とされた大コウモリはじたばたともがいて、再度飛び立つことはできないようだ。
「大コウモリさんを飛べないようにするのは、正解だったです」
「よくやったな、リュウェル」
貫に褒められてリュウェルが照れている隙を突いて、別の大コウモリが数匹まとまって襲ってきた。
それに気が付いた詩歌が【白煉のジャッジメント】で光の十字架を出現させ、上から突き刺すように降らせる。
ほとんどの大コウモリは倒せたが、一匹の大コウモリが光の十字架をかいくぐり、本命のラルフに襲い掛かった。
「危ない!」
貫が身を挺してラルフを庇う。
「うわっ!」
大コウモリの鋭い爪が貫の肩を突き刺し、飛び去った。
「とーちゃん!」
「貫!」
リュウェルと詩歌が同時に叫んだ。
貫の服は破れ、むき出しになった肌からうっすらと血がにじみ出てきていた。
「やったな……」
肩に当てた手についた血を見て貫は呟いた。
【スーパーブレッシング】のトリュフチョコを食べていたので、この程度の怪我で済んだと言える。
詩歌は貫の怪我を見て、慌てて【ドロップ・ドロップス】で飴の雨を降らせて叫んだ。
「貫、早くこの飴を食べて! リュウェルさんも、アリスさんたちも!」
詩歌の飴と【高速なる再生】で傷は急速に癒え、貫は復活。他の皆も飴による守りの加護を得た。
しかし貫は静かに怒っていた。
元々、リュウェルと詩歌のサポートに徹しアリスとラルフを守るつもりだったが、やられっぱなしは癪に障る。
密かに闘志をみなぎらせる貫に、詩歌は【群雄割拠行進曲】を使って攻撃力を強化してやった。
そうして貫は【クルースニクの貪欲】をつけた【氷炎の爪】で、次々と襲い掛かる大コウモリに反撃していった。
少し遠くにいる大コウモリにも【惨憺たる紅棺】で攻撃し、こちらを襲ってくる前に攻撃を封じておく。
リュウェルは【トラジック・マーメイド】を発動し、氷のダガーで大コウモリを切り裂く。
大好きな貫と詩歌の恋人同士を思い浮かべて使用する【トラジック・マーメイド】は威力を増している。
アリスも拙いながらも、ラルフを庇いつつ懸命にピッチフォークを振り回して大コウモリを追い払っている。
しかし一匹ずつ反撃しているので埒が明かない。
まだまだ、ラルフに襲い掛かろうとしている大コウモリは残っているのだった。