停音の日
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リアクション
■幽玄なるライブ
夕方、ネヴァーランド、『ピノキエ』。
「……(音が無い中でライブ……うん、とっても楽しそう)」
ノーラ・レツェルは、無音を満喫する住民やアイドル達の姿を見つつ楽しそうに歩いていた。
その隣を歩く蓮水 亜鶴の口元も
「……(世界の音が無くなり飴の雨が降る日……か)」
ふふふ、と楽しそうに音無き笑みが洩れていた。
過ぎる楽しげな光景に
「……(色々な環境でしてきた経験を糧に、今回のライブをやってみよう)」
「……(こんな日こそ音が無くとも楽しめる舞を披露する時ではないか!)」
ノーラと亜鶴が至る考えは同じ。
という事で
「……(亜鶴くん)」
「……(ノーラ)」
ノーラと亜鶴は、自身の考えを相手に伝えようと振り返り、互いに顔を見合わせる形となる。
そして、ノーラと亜鶴は手振り身振りでライブの打ち合わせを行い、準備に取り掛かった。
ライブが開催されたのは夜。飴の雨が降るまであと少しという時間であった。
星が瞬く夜、飴の雨が降る少し前。
「……(視覚効果を最大限に魅せるため、他の情報を限りなく少なく……元々、伝えたい言葉以外は喋ることはなかったから、大丈夫だと思うけど……歌う事が出来ないのはちょっと辛いかな、でも精一杯頑張らなくちゃ……今回は亜鶴くんと一緒だから心強いねぇ)」
ノーラは、ちょっぴりの不安とやる気が混ぜ混ぜ状態だが、ちらりと隣を見て気持ちが強くなり
「……(唇から伝える言葉がなくても、舞う為の音色が無くとも、視覚で楽しむことができる。俺は歌の才など全くないが、得意の舞でならそれを伝えられるはずだ。今日はノーラと共にらゐぶを楽しむとしよう)」
亜鶴は、しんしんとする闇の向こうを見つめる。
そして
「……(ぼく達がやることは舞)」
「……(俺達が出来るのは舞だ)」
ノーラと亜鶴の思いは一つ。やるは舞のみ。
「……(さあ、灯籠でぼくたちの舞台を照らそう)」
ノーラは、夕方の内に設置した灯籠に視線を投げかけた後、さり気なく『トゥモロウ・ライト』で自分達を目立たせつつ
「……(……口で語ることはできないから目でタイミングを合わせないと)」
亜鶴に視線を送る。
「……(ノーラとは瞳だけで意思疎通を図らねばならないが、舞をする者同士それくらい簡潔にやって魅せる)」
視線を受けた亜鶴が『蛍火舞い』を舞う様は
「……(灯篭に光の演出を加えるとするか)」
仄かに煌めき舞い上がる蛍火の如く。
興味から足を止めた通行人達は
「!!」
浮かび上がる幽玄さに驚き、魅了される。
「……(ゆっくりと蛍に導かれる旅人のように)」
ノーラは、青薔薇の籠片手にしっとりと舞う。薔薇が放つ淡い光が儚さに華を添える。
舞の切り替えどころが迫ると
「……(亜鶴くん)」
「……(ノーラ)」
ノーラと亜鶴は、目で合図を交わす。
「……(舞で心を通わせ一つとなるのだ、俺達はできる)」
亜鶴は『旅巫の舞い』で、素朴ながら厳かに動く。
「……(……激しい所とゆっくりと見せる所、緩急がある舞を音もなしにやるのは難しいけれど、二人で息を合わせれば……ぼく達なら出来る)」
ノーラは水虎の衣の裾を揺らし、巧みな足捌きを魅せる。
観客達は
“息ぴったりだな”
“音が無いのにすごいな”
“綺麗”
表情や手振り身振りで、感嘆して見せる。
舞いに舞って最大の山場が訪れ
「……(華やかさを演出だ)」
ノーラに合図を送りつつ亜鶴は、なめらかで柔らかな美しさを香わせる『しなやかな舞い』を舞いつつ
「……(音が無くとも見ている全ての者を虜にしてしまおう)」
桜樹の鳴子を打ち鳴らす。
「……(さすれば……人々の心にだけ響く音色が勝手に聞こえる筈だ)」
音は出ないが、美しい桜色と揺れる鈴に亜鶴のステップ。
“綺麗な鈴の音……聞こえないのに聞こえる”
“音が見えるって感じだな”
“凄い”
観客達は一様に驚いた顔で、あれこれ身振り手振りで感想を交換し合う。
さらに
「……(もっと華やかに、遠くの観客まで届くように……見ていない人にもこの楽しさが伝われば……)」
ノーラが、妖の扇子を巧みに使った舞と一緒に『桜花招来』で、桜の花びらを舞わせ
「……(そしてこの経験も新しい糧となるはず……きっと)」
『オルトシルフィード』で呼び出した風の流れで、桜の花びらを遠く遠くへと送り出す。
「……!!」
観客達の目は、一様に旅立つ桜の花びらを追った。
見えなくなると、観客達は揃って拍手喝采。
瞬間
「……雨……飴の雨」
「こりゃ、大降りだ」
ノーラと亜鶴の頭上に飴の雨が降り注ぎ、贈られた拍手に音が戻る。
同時に
「素敵な舞をありがとー」
「音が無いのに音が聞こえたよ」
「楽しかったよー」
観客達の嬉々とした声が、亜鶴とノーラを包んだ。
夕方、ネヴァーランド、『ピノキエ』。
「……(音が無い中でライブ……うん、とっても楽しそう)」
ノーラ・レツェルは、無音を満喫する住民やアイドル達の姿を見つつ楽しそうに歩いていた。
その隣を歩く蓮水 亜鶴の口元も
「……(世界の音が無くなり飴の雨が降る日……か)」
ふふふ、と楽しそうに音無き笑みが洩れていた。
過ぎる楽しげな光景に
「……(色々な環境でしてきた経験を糧に、今回のライブをやってみよう)」
「……(こんな日こそ音が無くとも楽しめる舞を披露する時ではないか!)」
ノーラと亜鶴が至る考えは同じ。
という事で
「……(亜鶴くん)」
「……(ノーラ)」
ノーラと亜鶴は、自身の考えを相手に伝えようと振り返り、互いに顔を見合わせる形となる。
そして、ノーラと亜鶴は手振り身振りでライブの打ち合わせを行い、準備に取り掛かった。
ライブが開催されたのは夜。飴の雨が降るまであと少しという時間であった。
星が瞬く夜、飴の雨が降る少し前。
「……(視覚効果を最大限に魅せるため、他の情報を限りなく少なく……元々、伝えたい言葉以外は喋ることはなかったから、大丈夫だと思うけど……歌う事が出来ないのはちょっと辛いかな、でも精一杯頑張らなくちゃ……今回は亜鶴くんと一緒だから心強いねぇ)」
ノーラは、ちょっぴりの不安とやる気が混ぜ混ぜ状態だが、ちらりと隣を見て気持ちが強くなり
「……(唇から伝える言葉がなくても、舞う為の音色が無くとも、視覚で楽しむことができる。俺は歌の才など全くないが、得意の舞でならそれを伝えられるはずだ。今日はノーラと共にらゐぶを楽しむとしよう)」
亜鶴は、しんしんとする闇の向こうを見つめる。
そして
「……(ぼく達がやることは舞)」
「……(俺達が出来るのは舞だ)」
ノーラと亜鶴の思いは一つ。やるは舞のみ。
「……(さあ、灯籠でぼくたちの舞台を照らそう)」
ノーラは、夕方の内に設置した灯籠に視線を投げかけた後、さり気なく『トゥモロウ・ライト』で自分達を目立たせつつ
「……(……口で語ることはできないから目でタイミングを合わせないと)」
亜鶴に視線を送る。
「……(ノーラとは瞳だけで意思疎通を図らねばならないが、舞をする者同士それくらい簡潔にやって魅せる)」
視線を受けた亜鶴が『蛍火舞い』を舞う様は
「……(灯篭に光の演出を加えるとするか)」
仄かに煌めき舞い上がる蛍火の如く。
興味から足を止めた通行人達は
「!!」
浮かび上がる幽玄さに驚き、魅了される。
「……(ゆっくりと蛍に導かれる旅人のように)」
ノーラは、青薔薇の籠片手にしっとりと舞う。薔薇が放つ淡い光が儚さに華を添える。
舞の切り替えどころが迫ると
「……(亜鶴くん)」
「……(ノーラ)」
ノーラと亜鶴は、目で合図を交わす。
「……(舞で心を通わせ一つとなるのだ、俺達はできる)」
亜鶴は『旅巫の舞い』で、素朴ながら厳かに動く。
「……(……激しい所とゆっくりと見せる所、緩急がある舞を音もなしにやるのは難しいけれど、二人で息を合わせれば……ぼく達なら出来る)」
ノーラは水虎の衣の裾を揺らし、巧みな足捌きを魅せる。
観客達は
“息ぴったりだな”
“音が無いのにすごいな”
“綺麗”
表情や手振り身振りで、感嘆して見せる。
舞いに舞って最大の山場が訪れ
「……(華やかさを演出だ)」
ノーラに合図を送りつつ亜鶴は、なめらかで柔らかな美しさを香わせる『しなやかな舞い』を舞いつつ
「……(音が無くとも見ている全ての者を虜にしてしまおう)」
桜樹の鳴子を打ち鳴らす。
「……(さすれば……人々の心にだけ響く音色が勝手に聞こえる筈だ)」
音は出ないが、美しい桜色と揺れる鈴に亜鶴のステップ。
“綺麗な鈴の音……聞こえないのに聞こえる”
“音が見えるって感じだな”
“凄い”
観客達は一様に驚いた顔で、あれこれ身振り手振りで感想を交換し合う。
さらに
「……(もっと華やかに、遠くの観客まで届くように……見ていない人にもこの楽しさが伝われば……)」
ノーラが、妖の扇子を巧みに使った舞と一緒に『桜花招来』で、桜の花びらを舞わせ
「……(そしてこの経験も新しい糧となるはず……きっと)」
『オルトシルフィード』で呼び出した風の流れで、桜の花びらを遠く遠くへと送り出す。
「……!!」
観客達の目は、一様に旅立つ桜の花びらを追った。
見えなくなると、観客達は揃って拍手喝采。
瞬間
「……雨……飴の雨」
「こりゃ、大降りだ」
ノーラと亜鶴の頭上に飴の雨が降り注ぎ、贈られた拍手に音が戻る。
同時に
「素敵な舞をありがとー」
「音が無いのに音が聞こえたよ」
「楽しかったよー」
観客達の嬉々とした声が、亜鶴とノーラを包んだ。


