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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

フェスタde忘年会

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フェスタde忘年会

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★忘年会を満喫(1)

 睡蓮寺 陽介は妹の睡蓮寺 小夜と、幼馴染の堀田 小十郎と共に、忘年会にやって来た。
「さぁて……みんなのライブ、今から楽しみだぜ……! いったいどんな出し物が来るんかねぇ……!」
 普段はアイドルとして人々を楽しませる側にいるが、今日はフェスタの仲間たちのパフォーマンスを堪能して楽しませてもらおうと、陽介はわくわくしている。

 陽介とは対照的に、小十郎は静かに舞台を見つめていた。
 ちょうど昨日、道場が稽古納めを迎え、今日は心身共にスッキリと清々しい気分で忘年会に来ることができた。
 舞台を観ながら自らの一年を振り返り、回想してみる。
(今年も色々あったが……。さて……まずは何があったかな?)
 思えば、陽介と小夜にいつでも世話になっていた。
 助けられたことばかりを思い出す。
(今日はいい機会だ、後で二人に感謝を伝えよう)
 小十郎は舞台に釘付けになっている大切な人たちの横顔をうかがい見て思った。

 空腹を覚え、小十郎は目の前にあったシーフードグラタンとコブサラダを自分の皿に取り分けた。
 出来立ては熱々だったグラタンも、丁度いい具合に温度が下がっていて、小十郎は口内を焼かずに済む。
(来年も良い年になるよう、頑張らねばな)
 濃厚なホワイトソースを味わいながら、小十郎は決意するのだった。


 陽介と小十郎と共に忘年会を楽しむつもりの小夜は舞台鑑賞をして、その熱気にすっかり当てられてしまっていた。
(あぅ……凄い盛り上がり……やっぱりフェスタのみんなは元気だな……)
 他人のパフォーマンスを見ていると、どうしても自分と比較してしまうときがある。
(わたしも、今年はこれくらい元気にできてた、かな……? わからないけど……そうだったら嬉しい、な……)
 肩に乗せて連れてきた【≪星獣≫フルートバード】の歌鳥・奏(かなで)を撫でながら、心の中で奏に尋ねてみる小夜だった。

 パフォーマンスが一つ終了した。
「熱い舞台じゃねぇか……最高だったぜ!」
 陽介は、『素敵な舞台をありがとう』という気持ちを乗せて【バーニングフラッグ】を振り、熱演した仲間に喝采を送った。

 次の演目の準備のため、舞台は暗転。

 その間に陽介はテーブルの料理に手を伸ばした。
「いやー……やっぱライブだと面白いな!」
 興奮冷めやらぬ口ぶりで小夜と小十郎に言いながら、陽介はフライドチキンとカニクリームコロッケを皿にたっぷりと取り分けている。

 小夜はサンドイッチとプチスイーツをいくつか皿に取って少しずつ食べながら、兄の感想に相槌を打つ。
「あんな風に、みんなを元気にできるアイドルになれるよう、頑張らないと、だね……」
 黙々とコブサラダを咀嚼していた小十郎も控えめに呟いた。
「私も頑張らねばな」

 陽介が今年一年の出来事を指折り数えて列挙していく。
「今年も新しい異世界……ディスカディア、ネヴァーランドの騒動に始まり、地球で起こったオルトアース現象、しまいには東京湾に浮かぶ空島……芸能界!」
 小夜も兄の話を聞きながら、様々な世界での今年の活動が思い出されてくる。
「ハルさんやレイニィさん、他にもいろんな人と出会えた……。そんな素敵な人たちに負けないよう……来年も頑張ろう……!」
「いろんな事があったがよ……。皆とライブだ冒険だ、ってどんちゃん騒ぎは楽しいぜ!」

「たまには校長が今日みたいな粋な催しを企画してくれるしな」
 と陽介は二人に向かってウインクした。
「来年も、みんなで楽しもうな!」
 陽介がグラスを持って小夜と小十郎に促し、改めて三人で乾杯する。
「お疲れさん今年、よろしくだぜ新年! 乾杯!」

 嘘シャンパンの泡がキラキラと光を反射して、三人の楽しい気持ちを代弁しているようだった――。

 ***

 空莉・ヴィルトールは、忘年会会場で皿にいくつかのプチスイーツだけを盛り付けると、それを持って会場を後にした。
 どこか落ち着ける場所で一人で食べながら、静かに今年一年を振り返りたい気分なのだ。
 空莉は講堂から近いところにある教室に入り込んだ。
 そこは、大きな窓から暖かい日の光が差し込む、空莉のお気に入りの場所だ。

 窓際の席に腰を下ろして外を眺める。
 冬の鈍い日差しが、すっかり葉を落とした木々にぼんやりとした陰影をつけている。
(フェスタにやってきて今年でもう二年かぁ。お母さんとお別れしてから随分と経っちゃった……)

 うら寂しい景色を見ていると、ついセンチメンタルな気分になる。
 空莉はブルっと頭を振って、暗い気持ちを追い払った。
(天国のお母さんに報告も兼ねて、これまでを振り返ってみようー♪)

「お母さん、今年もいろいろあったよ♪ 藍ちゃんと茜ちゃんには特に仲良くして貰ったかな?
 二人が可愛すぎて、仕事中なのに視線が外せなーい♪ みたいな感じで楽しかった~♪」
 異世界カフェのあれこれの思い出を、一つ思い出すたびに一つずつスイーツを口に運んでいく。

「あのね……みんなが喜んでくれるのを見ると、なんだか心がぽかぽか暖かくなって、それから締め付けられるように苦しくなるの……」
 空莉は持っていたフォークを置いて、辛そうに顔をゆがめる。
「お母さんが居ない世界で楽しいなんて感じちゃダメなのに……。凄くごめんなさいな気持ちになるんだよ……」
 涙がつうーっと一粒、右眼から零れ落ちた。
 左眼が冷たい。
 慌てて手の甲で涙をぬぐってスイーツを口に押し込むけれど、鼻の奥が痛くって味がしない。
 右眼からは涙がとめどなく溢れてくる。

 空莉は大好きな飼い猫のエリオットのことを考えることにした。
 空莉のことを信頼して頼ってくれるたったひとりの家族。
 エリオットのことを考えていると少し気持ちが楽になった。
 スイーツも少し甘くなった。
(お母さん……ごめんね……)

 それからしばらく空莉はそこでもの思いに耽っていた。
 大きな窓の外は、暮色に包まれていった――。
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