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「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

フェスタde忘年会

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フェスタde忘年会

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★舞台発表(4)

 リュウェル・フリードマン瀬那覇 智里は、忘年会で一緒にライブをすることになった。
 二人が大好きな恋バナにちなんで「恋愛推奨ライブ」だ。
 そしてこのライブのもう一つのテーマは、リュウェルの初舞台一周年記念ライブ。
 アイドルとして熱心に勉強してきたリュウェルの一年間の成長を、改めて披露する側面もある。

「リュウェルちゃんの記念ライブのパートナーに選ばれるなんて光栄だからね。おねーさんも大好きな恋愛推奨ライブだし! 全力出すぞー!」
 と智里は言いながらも、ポリシーを曲げるつもりはさらさらないので、きっぱりと宣言した。
「おねーさんはモブになる!」
 それを聞いたリュウェルが慌てて反対する。
「そんなのダメです! ちーさんがモブだと私が寂しいじゃないですか!」
「えー駄目? 仕方がないなあ。でも主役はリュウェルちゃん、というのはおねーさんも譲らないよ?」
「ふえ!? 私が主役ですか!?」
「リュウェルちゃんを一人にはせず、一緒に盛り上げるのさ!」
「が、頑張るです!」

 今でこそ、主役を言い渡されても引き受ける度胸が据わっているリュウェルであるが、一年前の初舞台のことを思うと見違えるようだ。

 初舞台は高級老人倶楽部のクリスマスパーティーでの「プチディナーショー」だった。
 お客さんはフェスタ生に好意的な方々ばかりという、初舞台にはお誂え向きの機会だった。
 それでもリュウェルはガチガチに緊張して、行坂 貫に手伝ってもらったけれど、ライブを楽しむ余裕なんて全くなかった。

 しかしそれから一年、リュウェルは様々な経験を積んできた。
「私はもっと恋バナとか聞きたいですし、幸せそうな恋人さん達を見たいです」
 というリュウェルの情熱のこもった歌『我ら恋愛推奨委員会!!』を、友人の智里と一緒に披露するのはこの上なく楽しいことだと思える。
 リュウェルはもう、正真正銘のアイドルに成長しているのだった。

 ……………

 忘年会の舞台はプログラムが順調に進み、リュウェルと智里の出番になった。

 智里が今回のライブのテーマにぴったりな【乙女のインク】をセットした【ラウド・アンビション】を構えると、リュウェルが【ミュージカルボード】を巧みに操り、二人で『我ら恋愛推奨委員会!!』を歌い始める。

 聞かせて教えて 貴方の恋の話
 好きな人を語る表情は 幸せそうだから

 智里は【欲張りなユートピア・ユーフォリア】を使用し、自分たちが好きな恋バナや恋愛に皆が好感を持ってくれるようアピールをしている。

 聞きたい知りたい 誰かの恋の話
 好きって気持ちはたくさんの幸せが溢れてる

 智里の【ラウド・アンビション】を通して、薄いピンク色のシャボン玉のような点描エフェクトが飛び出てキラキラと会場中に充満していく。

 言い出せない片想い 応援させて手伝わせて
 好きって気持ちは絶対間違いじゃないから

 リュウェルが恋バナ大好きな気持ちを込めて歌うと、大小さまざまなピンクのハートが【フワリ・ハート】によって出現した。

 駄目でも諦めなくていいんだよ ずっと好きでもいいんだよ
 新しい恋を見つけるその日まで 相手が振り向くその日まで

 智里は【ラウド・アンビション】の【売れっ子補正】を使った。
 コール&レスポンスに応じやすくした上で「皆、もっと恋愛しよーぜ!」という熱い気持ちを乗せて歌うのだ。

 上手くいったらみんなでお祝い
 おめでとう 有難う 幸せの言葉
 リア充爆発させるより その幸せ私達にもおすそ分けしてくださいな

 最後の一番盛り上がるところに差し掛かり、リュウェルが【メロディリウム】で幻影を映し出し、恋愛推奨の世界観を演出する。
 このライブを観た人が、貫と詩歌みたいな素敵な恋ができるよう、祈りを込めてラストを歌い上げる。

 笑顔は皆が使える誰かを笑顔にする魔法
 幸せな恋も切ない恋も甘い恋も苦しい恋も
 どんな恋でも応援するよ
 私達は恋愛推奨委員会


 すっかり恋愛モードになった会場の人々に向かって、リュウェルと智里がメッセージを伝えた。
「告白するなら全力でお手伝いするですよ!」
「リア充も非リア充も、みんな恋愛大好きになーれ!」

 堂々とした「恋愛推奨&一周年記念ライブ」が大盛り上がりのうちに終わった。

 ***

 行坂 貫近衛 詩歌は、リュウェルと智里のライブをミニルミマルと手拍子で応援しながら、鑑賞していた。

「ねえ、貫。詩歌が知ってるリュウェルさんって、恋愛話を求めて暴走したり、智里とキョウヤをくっつけようと並々ならぬ努力が垣間見える人だけど、一年前の彼女は今と全然違うって言ってたよね?」
「ああ、そうだな。今みたいに、意気投合した友人とライブしたいなんて言うようなるとは、とうてい思えなかったな」
「リュウェルさんの最初のライブの様子、どんなだったか聞きたいな。その時、詩歌いなかったし……」

 貫は、リュウェルが初舞台を踏んだ時のことを思い返し、詩歌にその様子を話して聞かせることにした。
「去年のクリスマスパーティーが、リュウェルの初めてのライブだったんだが……」

 …………

 当時リュウェルは本当に人見知りで、初ライブの舞台上では怯えて震えていた。
 貫がリュウェルの前説をやり、リュウェルを舞台に残して下がろうとしたら、必死に腕を掴んできて「一人じゃ無理だ」と小声で訴えてきた。
 仕方がないので、貫は歌に自信はないけど一緒に歌い、どうせやるなら派手なパフォーマンスを見せようと、リュウェルをお姫様抱っこして客席を滑らかに移動し、雰囲気のある演出をしたのだった。

 それが今では、あんなに楽しげに堂々と歌っている。
 貫はしみじみ「成長したな……」と思う。
 
 …………

 貫が詩歌に思い出話を聞かせながら感慨に耽っていると、詩歌が貫の意識を現実に引き戻した。
「というか、クリスマスって事はそもそも詩歌、貫に告白すらしてないよね?」
「そういえば詩歌に姫抱き羨ましいと言われて、よく分からないまま、羨ましいならしようかとか言ったっけ」
「え、そんなこと、詩歌、言ったかな……?」
 とぼけてみせる詩歌を、貫は温かい眼差しで見つめる。
「あの時は、告白される前で詩歌の気持ちに全然気付いてなかったから、何の気なしにあんなことを言ったが、詩歌の気持ちを知っていたら安易にできなかったと思うよ」
「貫……」

 舞台の上ではリュウェルと智里が『我ら恋愛推奨委員会!!』をエネルギッシュに歌っている。
 それを聞きながら、貫はカバンをごそごそし始めた。
 中から取り出したのは、片手で持てるくらいの大きさの立方体の箱。

「クリスマスも近いし、少しデートらしく出来ればと思って、詩歌にプレゼントを持ってきた」
「……え? デート?」
「そう。な、開けてみて」

 詩歌が渡された箱をそっと開けると、中から仄かに甘い香りが漂ってきた。
「これは……なんて可愛い! 貫が作ったの?」
 貫は微笑んで頷いた。

 箱の中に入っていたのは貫が【花海泳ぐ歌魚】と名付けた小さなケーキだった。

 ケーキの上に花々が乗っていて、さらにその花の上にメレンゲで作られたセイレーンの人形が乗っていて、とても繊細で可愛らしいデザインだ。
 しかもメレンゲ人形のセイレーンはどことなく詩歌に似ていて、そんなところにまで貫のこだわりが表れているのだ。
 花にもこだわっていて、二人の思い出の花・クロユリとブルースターとミムラスの花。
 それぞれが、ダークチョコレートとブルーベリー、レモンピールを加工して作られているのだった。

「今年一年お世話になりました、来年もよろしくって、日々の感謝と未来への願いを込めてあるんだ」
 貫がガラにもなく、少々照れ交じりに言う。

 こんな素敵な手作りのサプライズを贈られて、感動しない女の子がいるだろうか。
 詩歌は目頭がじわっと熱くなった。
「……貫はさ、いつだって詩歌のことと考えてくれるよね……今回の主役はあくまでもリュウェルさんだというのに……」

 詩歌が俯いているのは、貫に感動の涙を見られるのが恥ずかしかったから。
 それでも貫に自分の気持ちを伝えたくて、顔を上げて一生懸命笑顔を作った。
「……うん、これからもよろしくお願いします、だよ?」

 初めは貫と詩歌が応援していたはずのリュウェルと智里が、いつのまにか反対の立場になって、舞台の上から二人を応援していた。
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