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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

フェスタde忘年会

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フェスタde忘年会

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★忘年会を満喫(5)

 アーヴェント・ゾネンウンターガング氷堂 藤と一緒に忘年会に来た。
 二人でじっくりと話ができる機会は貴重だ。
 特にアーヴェントはこの一年、仕事にプライベートに大活躍したので、たまにはゆっくりのんびり飲み食いして雑談を楽しみたいと思っている。
 
 ところがこの忘年会の目玉が嘘シャンパンというのが、ちょっと困る。
「あ、その……嘘シャンパンは止めておくよ。炭酸はちょっと……さ?」
 アーヴェントは炭酸飲料が苦手なのだ。
 それを知っている藤は、アーヴェントに合わせて自分も嘘シャンパンを飲まないことにした。
 相棒のアーヴェントと一緒に楽しめることの方が、嘘シャンパンを味わうよりもずっと価値のあることだと分かっているからだ。
「……ん、ジュース取ってこようか」
 アーヴェントにみなまで言わせず、藤はさりげなくジュースを取りに行った。

 ジュースで乾杯。
 アーヴェントはローストビーフをつまみ、藤はチーズを齧りつつ、舞台上でパフォーマンスを披露している仲間の様子を横目で眺める。
 同じアイドルとして、目の前のライブやこれまでの出来事について思いついたことをただただ話す。
 それだけのことが、なんと楽しいことか……。
 二人は仲良く料理を食べながら、今年の思い出話に花を咲かせるのだった。
 
「今年も歌ってばかりで、舞台を眺めるのが新鮮だな」
 と藤が呟いた。
「今年は……というか去年もなんだが、藤とは何度もライブで歌ったな」
 これまでの数々の共演を思い出して、アーヴェントが感慨深げに応じた。
「藤、君と歌うと、なんというか、すっきりする。気が置けなからさ。深く考えなくていいというか……?」
「……私もアーヴィと歌う時は思いっきり歌えるよ。……あれこれ考えず、歌うことだけに全力を注げるの」
 二人は互いに同じことを思っている。
 
 アーヴェントはサンドイッチに手を伸ばした。
「このサンドイッチのパンと具材みたいに相性抜群、はちょっと違うか」
 洒落たことを言おうとしてうっかりクサイ台詞になりかけたアーヴェントを、藤は巧みにフォローする。
「サンドイッチおいしーよね、パンと具材が引き立て合ってる感じがさ」

 アーヴェントは藤に心の中で感謝して話題を変えた。
「そうそう、覇権も取ったな」
「ナゴヤのやつ?」
「そうナゴヤの。この力でより多くの人の勇者で在れるようにしていきたいよ」
「もう本物の勇者になっちゃってさ。……アーヴィならできるよ、大丈夫」
 藤は、尊敬の念と誇らしさの中にちょっぴり寂しさを滲ませていた。
 しかしアーヴェントは気付いているのかいないのか、「ん、カニクリームコロッケもいける」といって一人で五個も平らげている。
 他人がモリモリ食べる様子は見ていて気持ちがいい。
 藤が楽しく眺めていると、コロッケを食べ終わったアーヴェントは、いろいろな野菜が彩よく盛り付けられているコブサラダを引き寄せて言った。

「そういえばこの服、コブサラダ程カラフルではないが、色合いが結構好きなんだ」
「今日は私もウィザードの衣装だよ」
「君とこれで一緒に写真を撮ったなあ」
「あの写真、似合ってるしかっこいーよ」
 アーヴェントは、藤を肩に乗せて撮った写真の構図を思い出して、撮影時の会話が脳裏に蘇ってきた。
「……ふふ、安心してくれ。軽かったぞ」
 何のことを言っているのか瞬時に理解した藤は、顔を赤くして唇を尖らせた。
「……重いわけないもん」

 すぐにプーっと吹き出し、二人で笑い合う。
 二人の思い出は楽しいことばかりだ。今も楽しいし、これからもずっと楽しんでいきたい。
「バステトの試練ではないが……もしフェスタが無くなっても。何年経っても、自分達は相棒だ。約束しよう」
 まっすぐに藤の眼を見て語るアーヴェントの言葉には、誠実な響きが宿っている。
 未来は誰にもわからない。それでも、と藤は思う。
「……何年経っても、どこにいても。私はあなたの相棒だよ。約束する」
 オウム返しのように返答してから、藤はもう少し気の利いたことを言えなかったのかと後悔した。
 けれどもチャンスの精には前髪しかない。

 もうすでにアーヴェントの視線は残りの料理に向けられ、間もなくフライドチキンとシーフードグラタンを食べ尽くそうとしている。
 勢いに任せてスイーツに手を伸ばすのを、藤が半ばあきれ顔でじーっと眺めていると、ふとアーヴェントが手を止めて藤の方を見た。

「あ、ええっと……スイーツどうぞ……」
 大好きなスイーツなのに、アーヴェントは藤に譲ろうとしている。
 料理を食べ過ぎたことを恥じているからなのか、スイーツを我慢するためなのか、目を逸らして藤の方へスイーツの皿を押しやる様子が、いじましくも可愛らしい。

 藤は笑って、譲られたスイーツを遠慮なくいただきながら思っていた。
(歌しかできない私だけど、アーヴィが相棒でいてくれて本当に幸せだよ)

 ***

 藍屋 あみかは、ずらりと並べられた料理を見て気分が高揚するのを感じた。
(なんだかとても豪華で、少しドキドキします)
 どれもこれも美味しそうで、ちょっとずつ全種類を制覇してみようと心に決める。

 大好きなシーフードグラタンとカニクリームコロッケを見つけて、あみかは胸に温かいものが広がるのを感じた。
 その二つは、あみかの母がよく作ってくれた得意メニューなのだ。
(いつか私も作れるようになって、妹やこいびとさんに振る舞えたらいいな)

 あみかは、グラタンとコロッケを食べてみた。
 二つともコクや旨味が凝縮されていて、母の手作りの味とはまた違った味で美味しい。

(このお味、次にわたしが作る時の参考にできたらな……)
 分析するように味わって、あみかは目標通り全ての料理を制覇した。

 舞台上では、大切な友人の合歓季風華が天草燧の語りと共に素晴らしいパフォーマンスを披露してくれている。
 今年は彼女たちの夢に向かう姿を何度も見せてもらい、あみかは勇気と元気をたくさん分けてもらった。
 あっという間に過ぎてしまったけれど、いろいろなことができた一年だった。
 
 様々な出来事を思い出しながら風華たちの素敵な舞台を食い入るように観ていたが、ついに残念ながら終わってしまった。
 もっと観ていたかった、と名残惜しく思いながらも、あみかは最大限の拍手を送った。

 舞台の熱気が伝わったのか、喉が渇いてしまったあみかは嘘シャンパンを口にした。
 甘すぎず爽やかな刺激で喉を潤してくれる嘘シャンパン。
 本物のシャンパンを飲めるようになる歳のことを、ちょっとだけ考えてみる。
 そのころ自分はどうなっているだろうか、ちゃんと自立した大人になっているだろうか。
 ペアリングをやさしく撫でながら、ひと足先に大人になっている恋人のことを想うあみかだった。
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