ビーストラリア終了後、舞台袖。

「おつかれ」

　空が淳にペットボトルの水を差し出す。

「ありがとう。空もおつかれ」

　淳はさりげなく空の手元に視線を移す。
　彼の手にも同じペットボトルがあった。
　それに安心した淳は、水を飲み、ぷはぁっと小さく溢す。

「上手く行ってよかったな」

「そうだね。彼女も観客たちも楽しめたみたいで何よりだよ」

「まだ終わっていないからな、気を抜かずに最後までやりきるぞ」

「うん」

　2人はズボンについているホルダーにペットボトルを引っかけると、自分たちの仕事に戻る。
　ショーは中盤を迎えていた。