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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

異世界ファッションショー!

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華乱葦原


 スクリーンに華乱葦原の文字が映し出されると、雪は止み、古城が消える。
 笛の音が流れ始めると、華乱葦原の中枢である桜の丸のにぎやかな通りが現れた。
 建物の屋根や道の端には、雪がわずかに積もっている。
 その通りの奥から狛込 めじろが、風景を楽しむようにゆっくりと歩いてくる。
 鮮明なめじろ色の着物の上から白と黒の羽織物をまとった彼女は
 持っていた2つの大判紙を広げ、【夢妖の宴技】を披露する。
 青・白・朱・玄の4色が美しく舞う中、観客たちは「わあ」と声を漏らしながら色を楽しむ。
 舞の最中、羽織裏にある鮮やかな紅梅と2匹の狐が戯れる模様が垣間見える。
 華やかな裏地は、華乱葦原流のオシャレを表現していた。

 ランウェイ先端に来ためじろは2つの大判紙を真四角の紙吹雪に変えたあと
 さらに【<式神>舞芸:構太刀】で細かく裁断する。
 その最中、【<式神>舞芸:日華鳳凰】を飛ばす。
 鳳と凰は火の粉を散らしながら、小さくなった紙吹雪を燃やす。
 燃えゆく紙吹雪は桜の花びらが散るように舞う。
 舞い散る火が観客たちの肩や手に落ちた瞬間、彼らは胸の中で一灯の火が生まれたような感覚に包まれた。
 めじろはパフォーマンスを終えると、2つの式神を連れ、観客たちに手を振りながら折り返したのだった。


◆ ◆ ◆



 出演前。
 宇津塚 夢佳は控え室で少々不安げな表情を浮かべていた。
 彼の様子に橘 樹はメイクしている手を止める。
 
「夢佳さん、大丈夫?」

 彼の声に夢佳は我に返ったかのように目を開き、笑顔で「大丈夫です」と答えるも、表情は再び不安をまとう。
 大丈夫じゃなさそうと感じた樹は手早くメイクを済ませる。

「ありがとうございます。少し早いですが、移動しましょう」

 夢佳が席を立とうと腰を浮かせた瞬間、樹は彼の両肩を優しく掴み、再度座らせた。

「樹さま……?」

「……もし、不安とか緊張してるならここで吐き出したほうがいいと思う。
 じゃないと、夢佳さんの感情がお客さんに伝わっちゃうと思うんだ。
 面と向かって言いにくいなら鏡の中の自分に向けて言ってもいいし、僕が邪魔ならここを離れるから」

 樹の真剣な思いに、夢佳は静かに微笑む。

「……ありがとうございます。……ではこれは私の独り言だと思って聞いてくださいね」

 夢佳はイスに座り直し、一呼吸置いて口を開く。

「リハーサルのときはわたくしが決めた衣装や演出に自信を持っていました。
 ですが、今になって皆様の演出を楽しそうに観賞しているお客様を見て、わたくしにもそれができるのかと思いまして」

「夢佳さん……」

 樹は彼の気持ちを聞いて、そう思うのも無理はないと思った。
 世界観が華乱葦原になってから、にぎやかで華やかな衣装に音楽、演出と全体的に明るい。
 しかし、夢佳が着ている服やこれからやろうとしている演出はこれまでと反対のもの。
 楽しませられるかと言われると、強く胸を張れない。

(それでも……)

 樹は自然と伏せていた顔を上げ、鏡越しに夢佳を見る。

「夢佳さんの気持ち、わかるよ。僕がもしモデルの立場だったら同じ感情を持ってしまう。
 ……今まで華乱葦原の明るいところはたくさん出てきたけど、暗い部分をテーマにしているのは僕たちだけだ。
 だから、華乱葦原の違う一面を見せることが観客を楽しませることにつながると思う。
 ……あー、自分の気持ちを言葉にするの、難しいね」

 困り顔の樹に、夢佳は目を優しく細めた。

「樹さまの気持ち、しっかりと受け取りました。わたくし、胸を張って歩きます。
 ですから、演出の補助、お願いいたします」

「! 任せて!」
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