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【伯爵令嬢アリスの憂鬱】突然の手紙(第1話/全4話)

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【伯爵令嬢アリスの憂鬱】突然の手紙(第1話/全4話)

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◆バラの妖精を元気に(2)

 バラの妖精が由希菜にもらった、自分の頭ほどの大きさの【宝石キャンディ】を抱えている。

「颯爽登場! 蒼星美少年!」
 そこへ華やかな【祝福のブルーミングドレス】を着て【天子の羽ばたき】で光を振りまく青井 星一郎が、背中の羽根を羽ばたかせながら登場した。
 いつものように自分を美少年と言い切って、己を追い込んでテンションを高めている。

 星一郎は【高揚する一番星】でミラーボールのようなキラキラ光る球を出現させ、バラの妖精の目を引きつけた。
 そして取り出した【セフィロティック・ハープ】を奏でて、前衛系の持ち歌【これは絶対宿命、黙示録】をダイナミックに歌い始めた。

 絶対宿命、もくーしろく ぜったいしゅくめい、黙ー示録
 生誕命名・洗礼祝福・葬列参列ー
 絶対宿命、もくーしろく ぜったいしゅくめい、黙ー示録
 わたし生まれる・絶対生まれる・黙示、録

 激しく力強く歌い切り、最後に星一郎は【ガリバーの瞠目】で巨大化して十メートルの高さになった。
 手のひらサイズの小さなバラの妖精には恐ろしく巨大に見えることだろう。
 星一郎はくるりと回転して、かっこよく締めのポーズを決めた。

 棘のあるバラの妖精のために考えた少し奇抜なライブが終了した。

 星一郎は元のサイズに戻ってから、バラの妖精の気持ちを考えて言った。
「放っておいたのに、必要になったからいきなり元気になってくれとか……勝手だと思うかもしれないけど、許してくれるかな」

 バラの妖精は星一郎のライブのあまりの迫力に【宝石キャンディ】を取り落とすほど驚いて、茫然とした状態から覚めたようだった。

 ***

 芹沢 葉月も、長く放置されて怒っているであろうバラの妖精には先に謝った方がいいのではないか、と考えていた。

「手入れを怠っていて本当にごめんなさい、アリスさんも大きなお屋敷に一人で大変だったと思うので許してあげてください♪」
 葉月は丁寧に誠意を込めて謝ったが、バラの妖精の反応は特にない。

 そこで葉月はミュージカル風に歌う即興謝罪ライブをすることにした。
 謝るだけでなく今後の方針も示す画期的な謝罪の歌だ。

 【粉雪のジュエル】を誠意のオーラに見立てて纏い、【テンダーパストラーレ】で穏やかに語りかけるように歌う。

 これからはちゃんとお世話します♪
 アリスさん……は分からないけど私とか他の人とかが~♪

 ……歌詞を聞くとものすごく適当だが、のんびりとした【テンダーパストラーレ】の曲調と、優しく撫でるような【慈しみの吐息】でバラの妖精の気持ちも和んできたようだ。

 だからどうか、また綺麗な姿を見せてください♪

 最後に葉月は四十五度の最敬礼でビシッと決めて謝罪ライブを締め括った。

 バラの妖精は薄っすらと微笑んで、ロレッタの手から葉月の肩に飛び移った。
 その微笑みを見て「このまま仲良くなれたらいいことあるかも?」と一瞬邪な考えがよぎったのだが、それは誰にも言わない葉月だった。

 ***

 ちっちゃくて可愛いバラの妖精を眺めていたシャーロットは、妖精の心中を思いやっていた。
 
(長年放置されたバラ園の妖精ちゃんか~。寂しかっただろーな……。綺麗な花を咲かせても見て貰えないなんて……)
 寂しさには人一倍共感してしまうシャーロットだ。

「うし、同じ妖精同士、ボクが素敵に復活させてあげるんだよ!」
「いや、妖精ってシャロのそいつは自称で、今のスタイルは吸血鬼だr…ぐほぉっ?!」
 シャーロットの弟子のアレクス・エメロードはうっかり本当のことを口に出し、主人であるシャーロットに蹴りを入れられた。

「アレクちゃんは一言多い!」
 ぷんすか怒るシャーロットに背を向け、蹴られたところをさすりながらアレクスは小声でぼやく。
「アレクちゃんは一言多い、じゃねーよ」
 アレクスのぼやきが聞こえているのかいないのか、シャーロットはいつもの調子で命じた。

「んじゃアレクちゃんはステージ構築よろしく♪」
「へいへい、ステージを作ればいいんだろ。了解しましたよ、お姫様」
 アレクスは渋々を装いながらも、シャーロットのために甲斐甲斐しく作業を進める。

 まずは【誰ガ為ノ墓標】で茶会のテーブルステージを構築した。
 大理石製のテーブルを再現して高級感を醸し出す。
 そして【≪慰霊≫月葬】と【≪慰霊≫星葬】を使って月と星が煌めく夜空の茶会を演出した。

「そうだ、シャロが【おもちゃの舞踏会】で踊らせる菓子と茶も用意しねぇとな」
 お茶会のメニューは、カラフルな【虹色ショートケーキ】に、ふわふわ【白雲のパンケーキ】、そして真っ赤な【ストロベリーティー】。

「こんなもんで十分か?」
 アレクスは全体を見渡して満足げに頷いた。
 そこには女の子ならだれでもワクワクしちゃいそうな素敵なお茶会のテーブルが用意されていた。

「シャロ、準備はOKだ!」
 アレクスの呼びかけにシャーロットはテーブルセットを一瞥してニッコリした。
 そしてくるりと振り返るとバラの妖精に両手を差し伸べ、【天涯総攬のエンパイア】を発動させた。

「ようこそ妖精ちゃん! フェスタサーカスリトルフルールの公演へ☆ 今日の演目は月夜のお茶会。懐かしき吸血鬼の宴をキミに!」

 シャーロットを見つめるバラの妖精の表情を見てアレクスは思う。
(使われねぇと悲しいのは道具も花も同じなのかもな)
 自身の身の上になぞらえて、感慨深げなアレクスだ。

 シャーロットは【饒舌なバッツ・マイク】を手にすると、陽気に歌い始めた。

 月と星が煌めく世界の中
 饒舌なバッツ・マイクでおもちゃの舞踏会を歌い舞踊る
 蝙蝠と白雲のパンケーキ等のお菓子
 ブラッディワインの献杯等が注がれた紅茶カップが騒ぎ出す

 【おもちゃの舞踏会】により、シャーロットの歌声に合わせてケーキや紅茶カップが自律して楽しそうに踊り出す。

 伏魔殿の晩餐を使えばボクも妖精ちゃんも空腹だ
 天涯総攬のエンパイア
 さぁ、おいで
 一緒に飲み食い騒ぎ合おう
 夜はまだまだ長いんだから☆

 シャーロットが歌い終わった時、【天涯総攬のエンパイア】の効果があったのか、バラの妖精の胸に小さな赤いバラが咲きかかっていた。
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