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【伯爵令嬢アリスの憂鬱】突然の手紙(第1話/全4話)

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【伯爵令嬢アリスの憂鬱】突然の手紙(第1話/全4話)

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◆バラの妖精を元気に(1)

 死んだものを弔い、新しいものへ切り替えて行くのが葬儀屋の役割。
 楢宮 六花は葬儀屋として、死にかけた古い庭を一度弔ってから新しくきれいな庭に生まれ変わらせたいと思っている。

 庭の中心近くに立った六花は、【一筋の光明】で自分を照らし雰囲気を盛り上げた。
 周りには【≪慰霊≫鳥葬】による鳥の幻影が飛び交う。
 六花は澄んだ清らかな声で【天へ捧げるゴスペル】を歌いだした。

 祈りを歌い踊る善き日に 今日の恵みと明日の幸いを願う
 民らの歌声 天へ昇りて 善き声はまこと 神さえ癒す
 傷つける者は来るがいい 病める者は来るがいい
 心疲れて割れようと 私の元へと来るがよい

 手に提げた【想イノ坩堝】のバックコーラスがエコーのように入る。

 祈りを(祈りを) 歌を(歌を)  癒しを(癒しを) 救いを(救いを)
 私はもたらす 私は与える 癒しの歌を天へ捧げて

 迫力あるゴスペルが、感動的に歌い上げられた。

 そうして六花は、辺りの枯れてしまった花を【ナゲキノ大鎌】で刈り取って【≪戦礼≫火葬】で送る。
 全ての枯れ花を弔ったら、仕上げに【≪慰霊≫花葬】を庭に捧げ、庭を慰めた。
 庭再生のための六花のライブが、静かに終わった……。
 
「これできれいな庭に戻るといいなぁ」

 ***

 弔いのライブで新しい庭へ再生の準備が整い、ジュヌヴィエーヴが薔薇の衣装を着て登場した。
「バラの妖精様をお迎えする準備ですわ」

 ジュヌヴィエーヴは【セフィロティック・ハープ】を優雅に爪弾いた。
 使徒ナンバーを持つジュヌヴィエーヴが奏でることにより、ハープの瑞々しい音色に合わせるように、どこからか鳥の歌声も聞こえてくる。
 【英雄の品格】を纏いながら【天子のはばたき】の六枚の羽根を大きく羽ばたかせて光を振りまく様子は、神々しいまでに美しい。

 ジュヌヴィエーヴは、どこかにいるはずのバラの妖精に呼びかけた。
「バラの妖精様、わたくし達と一緒に歌ってくださいませ……♪」
 すると、手のひらに乗る位のサイズのバラの妖精が今にも落ちそうなくらい低空をふらふらと飛んで、どこからともなく姿を現した。

 ***

 生気なくヨレヨレのバラの妖精を見て、ロレッタ・ファーレンハイナーは直感した。
「このままでは、折角のライブも受け入れられにくいですわ」

 そこでロレッタは【セフィロティック・ハープ】の七色の弦をかき鳴らした。

 使徒ナンバーによる小鳥の歌声をハープの曲に乗せながら【狂信者のフラメンコ】で情熱的なダンスを踊り、周囲に炎を出現させた。
 瞬間的に爆発するような炎は、軽い驚きを感じさせ神経を目覚めさせる。

 最後にロレッタは【無限の慈愛】の六枚の羽根で飛び回りながら、美しい自分の幻影を大量に作りだして幻想的な雰囲気を作りだした。

 これでバラの妖精はライブを受け入れやすくなっただろうか。

 ロレッタはバラの妖精を両手で優しく包み込んで、その小さな耳元で囁いた。

「バラの妖精様。昔のようにではなく、今のネヴァーランドっぽい雰囲気のバラ園にアレンジしていただけませんか?
新しい庭園は新しい吸血鬼の在り方を表すことにも通じますから、大叔父様にアリスのことを理解していただける一助となりますわ」

 しかしバラの妖精は、押し黙ったままだった。

 ***

「妖精さん妖精さん、俺の歌、聞いてくれない?」
 ロレッタの手の中のバラの妖精に向かって、陽気に呼びかけたのは深郷 由希菜だった。

 バラの妖精は、気だるげに顔を上げて由希菜を見る。

「あ、でもちょっと離れててね? パフォーマンスが激しいからさ!」
 そう言うと、由希菜はおもむろに【道化のゴスペル】を歌い始めた。

 いつもおどけている 一見変な人でも それには意味があるんだ 
 何でか知りたい? それは君が笑って くれるように踊るのさ
 ちぐはぐなリズム 回る世界も不可思議
 くるくる君が笑えば これも意味があること
 さぁお手を取って 回る道化のゴスペル

 【想イノ坩堝】のバックコーラスも加わって、心に訴えかける歌になる。
 
 歌いながら由希菜は、【ナゲキノ大鎌】や【疾風の武威】を使って草刈りを兼ねたダンスを踊っている。

 歌い終わって、刈った草を【≪慰霊≫風葬】で回収し、ついでに詩籠やノーラや、クロティアやシャーロット、ジュヌヴィエーヴが刈って集めておいた葉や枝も一緒に回収して、周りに燃え移らないように細心の注意を払いながら【火炎の武威】で一気にゴミを燃やし尽くした。

 ゴミがすっきりきれいに片付いたあと、由希菜はにこにことバラの妖精に近づいて言った。

「妖精さんはキャンディ好き? 良ければどうぞ?」

 優しく差し出された由希菜の手には美しい【宝石キャンディ】が乗っていた。
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