【伯爵令嬢アリスの憂鬱】突然の手紙(第1話/全4話)
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◆庭掃除
「バラ園再建のためのバラの妖精復活ライブの前に、まずは庭を掃除しなければ始まらない」
と庭に集まったアイドルたちは、そのあまりの有様に唖然とした。
「うーん、この荒れよう、まさに牧場ゲームの初期状態ね……鍬が欲しいわね、あ、作物作る訳じゃないから鍬はいらないわね」
ゲーム好きのクロティア・ライハは荒れた庭を見てもゲームに例えずにはいられない。
「自分が館にいるから目につくのかもしれないけれど、この庭は流石に問題だねぇ……」
ノーラ・レツェルも普段伏し目がちの目を見開いて呆れている。
「部屋の汚れは心の汚れともいうけれど、確かにその通り。掃除をするほどの余裕がないってとられてもおかしくはないんだよぉ」
兎多園 詩籠はこの状態を十分に予想して、庭掃除をするための完全装備をしてやって来ていた。
つまりジャージの上下を着て長靴を履き、麦わら帽子を被って軍手とゴーグルを装着、首にはタオルまで巻くという、ザ・庭掃除スタイルだ。
詩籠は、自分が厳しい叔父さんの家に居候していた経験からアリスの気持ちがわかる気がして、アリスが大叔父様に怒られないように、手伝いたいと思っている。
早速、鎌で草刈りを始める詩籠だ。
クロティアは音ゲーで鍛えられた手早さで枯葉を集め、【智者のサーベル】で雑草を切り払ったり抜いたりしながら庭の全体像を把握していく。
どんどん出てくるゴミは【働き者の箒さん】に頑張って集めてもらう。
次にゲーム機を使ってガーデニングゲームをプレイし、把握したこの庭の全体像に限りなく近いバラ園を作り上げた。
これを理想図として庭を整備していくつもりだ。
「あ、やっぱ鍬いるかも、肥料とか持ってきて、撒いて鍬で耕して……」
凝り性が出てきてしまうクロティアは、もういっその事、大叔父様が来るまでの五日間ずっと、気が済むまで手入れをしてもいいとまで思うようになっていた。
「こうなったら徹底してゲーム内で作ったバラ園に近づけたいわ」
現実の庭作りにもゲームの要素を見出して燃えるクロティアだった。
一方、詩籠は黙々と作業を進めている。
根の深い雑草はスコップや鍬で掘り起こして抜く。
伸び放題の木の枝は、細いものは剪定バサミ、太いものはノコギリを使ってバサバサ切り落とす。
高いところだって脚立に乗って切るので楽々だ。
どんどん溜まる葉や枝のゴミは、後で村の人に相談して集積場があればそこに捨てようと、一か所にまとめて山にしておいた。
少なくとも、大叔父様に見つからない場所に隠さなければならない。
ノーラも地道に雑草抜きをやっている。
抜いた草は詩籠の作った山に、【オルトシルフィード】で運んで合わせておく。
「出来るだけ早く、終わらせられるといいな」
それには協力して地道に作業するのが一番だとノーラは知っている。
シャーロット・フルールはハイテンションで雑草や木の枝を切っている。
「まずはライブできるくらい庭をくり~んにしないとね☆」
シャーロットが楽しそうにザックザク切り進んでいく後ろから【働き者の箒さん】がゴミを集めていく。
ある程度集まったらその都度、【暴食の紅蜘蛛】の粘着糸できゅっと縛って運びやすくしていった。
ジュヌヴィエーヴ・イリア・スフォルツァは名家のお嬢様なのに、みんなと一緒に庭の掃除をしている。
「お父様は、怪我をしたら危ないからとさせて下さらなかったのですけれど……わたくし、お庭のお掃除、大好きなのですわ。
小鳥の歌を聞きながら、草木やお花とお話ができる、素敵な時間ですもの」
ジュヌヴィエーヴは、けなげに咲く可憐な雑草の花を惜しみつつも抜いていく。
それがある程度済むと、枝切ばさみで植え込みの長さを整えて庭全体に日光がよく当たるようにした。
そして日当たりの良い場所に色とりどりの花を植えていった。
「ふふっ、気に入って下さるでしょうか」
まだ見ぬアリスの大叔父様がこの庭に満足する姿を思い浮かべて、ジュヌヴィエーヴは柔らかく微笑んだ。
頭の良い空莉・ヴィルトールは庭を掃除しつつ、バラの妖精復活ライブに備えてライブ機材を置けるようなスペースを何ヶ所かに作っていた。
「これだけ広い庭って、それ自体がライブステージみたいなものだよね! この環境を活用しないなんて絶対勿体ないよね~♪」
ぬかりのない空莉のこと、このスペースの周りは木々の茂みでしっかりと囲んだ構造にして、庭の景観を損ねないようにする配慮を忘れない。
そのために空莉は秘策を繰り出した。
【ガリバーの瞠目】で巨大化し、高いところから庭全体を俯瞰して、正確に地形を把握しようというのだ。
「うわ~、高―い! アリスちゃんも見てるかな? やっほやっほー♪♪」
遠くに見つけたアリスに手を振った後、空莉は広い庭全体を見渡した。
十メートルの高さからなら、ライブスペースと植え込みのバランスもよく分かる。
状況を目に焼き付けてから元の大きさに戻り、問題だと思った箇所に慎重に丁寧に手を加えていった。
「繊細な作業のための大胆な行動だよ~♪」
途中で出たゴミは【働き者の箒さん】に手伝ってもらって集める。
「お庭コーディネイトは基礎がだいじー♪ 未来への種まき水やり~♪」
楽しそうに即興の歌を歌って空莉は作業を進めていった。
「はふぅ……。頑張ったら疲れっちゃったよお」
こんな時のために、空莉は【ガマ王子】を連れてきている。
彼の不思議な声と可愛さに癒される空莉だった。
「バラ園再建のためのバラの妖精復活ライブの前に、まずは庭を掃除しなければ始まらない」
と庭に集まったアイドルたちは、そのあまりの有様に唖然とした。
「うーん、この荒れよう、まさに牧場ゲームの初期状態ね……鍬が欲しいわね、あ、作物作る訳じゃないから鍬はいらないわね」
ゲーム好きのクロティア・ライハは荒れた庭を見てもゲームに例えずにはいられない。
「自分が館にいるから目につくのかもしれないけれど、この庭は流石に問題だねぇ……」
ノーラ・レツェルも普段伏し目がちの目を見開いて呆れている。
「部屋の汚れは心の汚れともいうけれど、確かにその通り。掃除をするほどの余裕がないってとられてもおかしくはないんだよぉ」
兎多園 詩籠はこの状態を十分に予想して、庭掃除をするための完全装備をしてやって来ていた。
つまりジャージの上下を着て長靴を履き、麦わら帽子を被って軍手とゴーグルを装着、首にはタオルまで巻くという、ザ・庭掃除スタイルだ。
詩籠は、自分が厳しい叔父さんの家に居候していた経験からアリスの気持ちがわかる気がして、アリスが大叔父様に怒られないように、手伝いたいと思っている。
早速、鎌で草刈りを始める詩籠だ。
クロティアは音ゲーで鍛えられた手早さで枯葉を集め、【智者のサーベル】で雑草を切り払ったり抜いたりしながら庭の全体像を把握していく。
どんどん出てくるゴミは【働き者の箒さん】に頑張って集めてもらう。
次にゲーム機を使ってガーデニングゲームをプレイし、把握したこの庭の全体像に限りなく近いバラ園を作り上げた。
これを理想図として庭を整備していくつもりだ。
「あ、やっぱ鍬いるかも、肥料とか持ってきて、撒いて鍬で耕して……」
凝り性が出てきてしまうクロティアは、もういっその事、大叔父様が来るまでの五日間ずっと、気が済むまで手入れをしてもいいとまで思うようになっていた。
「こうなったら徹底してゲーム内で作ったバラ園に近づけたいわ」
現実の庭作りにもゲームの要素を見出して燃えるクロティアだった。
一方、詩籠は黙々と作業を進めている。
根の深い雑草はスコップや鍬で掘り起こして抜く。
伸び放題の木の枝は、細いものは剪定バサミ、太いものはノコギリを使ってバサバサ切り落とす。
高いところだって脚立に乗って切るので楽々だ。
どんどん溜まる葉や枝のゴミは、後で村の人に相談して集積場があればそこに捨てようと、一か所にまとめて山にしておいた。
少なくとも、大叔父様に見つからない場所に隠さなければならない。
ノーラも地道に雑草抜きをやっている。
抜いた草は詩籠の作った山に、【オルトシルフィード】で運んで合わせておく。
「出来るだけ早く、終わらせられるといいな」
それには協力して地道に作業するのが一番だとノーラは知っている。
シャーロット・フルールはハイテンションで雑草や木の枝を切っている。
「まずはライブできるくらい庭をくり~んにしないとね☆」
シャーロットが楽しそうにザックザク切り進んでいく後ろから【働き者の箒さん】がゴミを集めていく。
ある程度集まったらその都度、【暴食の紅蜘蛛】の粘着糸できゅっと縛って運びやすくしていった。
ジュヌヴィエーヴ・イリア・スフォルツァは名家のお嬢様なのに、みんなと一緒に庭の掃除をしている。
「お父様は、怪我をしたら危ないからとさせて下さらなかったのですけれど……わたくし、お庭のお掃除、大好きなのですわ。
小鳥の歌を聞きながら、草木やお花とお話ができる、素敵な時間ですもの」
ジュヌヴィエーヴは、けなげに咲く可憐な雑草の花を惜しみつつも抜いていく。
それがある程度済むと、枝切ばさみで植え込みの長さを整えて庭全体に日光がよく当たるようにした。
そして日当たりの良い場所に色とりどりの花を植えていった。
「ふふっ、気に入って下さるでしょうか」
まだ見ぬアリスの大叔父様がこの庭に満足する姿を思い浮かべて、ジュヌヴィエーヴは柔らかく微笑んだ。
頭の良い空莉・ヴィルトールは庭を掃除しつつ、バラの妖精復活ライブに備えてライブ機材を置けるようなスペースを何ヶ所かに作っていた。
「これだけ広い庭って、それ自体がライブステージみたいなものだよね! この環境を活用しないなんて絶対勿体ないよね~♪」
ぬかりのない空莉のこと、このスペースの周りは木々の茂みでしっかりと囲んだ構造にして、庭の景観を損ねないようにする配慮を忘れない。
そのために空莉は秘策を繰り出した。
【ガリバーの瞠目】で巨大化し、高いところから庭全体を俯瞰して、正確に地形を把握しようというのだ。
「うわ~、高―い! アリスちゃんも見てるかな? やっほやっほー♪♪」
遠くに見つけたアリスに手を振った後、空莉は広い庭全体を見渡した。
十メートルの高さからなら、ライブスペースと植え込みのバランスもよく分かる。
状況を目に焼き付けてから元の大きさに戻り、問題だと思った箇所に慎重に丁寧に手を加えていった。
「繊細な作業のための大胆な行動だよ~♪」
途中で出たゴミは【働き者の箒さん】に手伝ってもらって集める。
「お庭コーディネイトは基礎がだいじー♪ 未来への種まき水やり~♪」
楽しそうに即興の歌を歌って空莉は作業を進めていった。
「はふぅ……。頑張ったら疲れっちゃったよお」
こんな時のために、空莉は【ガマ王子】を連れてきている。
彼の不思議な声と可愛さに癒される空莉だった。