【伯爵令嬢アリスの憂鬱】突然の手紙(第1話/全4話)
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◆ゲストルームをきれいにする(2)
ダニなどの虫がいる場合、暗いまま掃除機をかけた方が効果的だと、緑青 木賊は母から聞いたことがあった。
虫は光を当てると床や布団の奥に隠れてしまい、取り除くのが難しくなる。
ネヴァーランドに虫がいるかどうか知らなかったが、木賊は母の教えに従い、くしゃみを覚悟でカーテンを閉めたまま掃除を始めた。
【オルトノーム】を木賊は「石の精」と呼び、石の精に頼んでベッドをぽんぽこと叩いてもらう。
ベッドの奥の埃やダニを浮き上がらせるためだ。
【真夜中のトロイメライ】を用いると、周囲の埃がぶわっと浮き上がる。
見ているだけで鼻がむずむずしてくしゃみが出そう。
なるたけ息をしないよう、埃を吸い込まないよう注意して窓を開けると、新鮮な空気が部屋に入り、木賊は大きく息を吸った。
今度は【オルトシルフィード】=「風の精」を呼んで、窓から外へ向かう風を吹いてもらう。
埃っぽい空気が一気に外へ出て行き、すっきりと気持ちが良い。
「ふふ、楽しく便利な技術っすね」
すっかり気を良くした木賊は、地球での掃除用品のCM曲を口ずさみ、ふと思いついて一人でクスクス笑う。
「いくら人手不足といえ、ふぇすたに依頼なされたということは、あいどる的解決を求めておられるが故のはず。……違うかもだけど。
大叔父殿が早くいらしても、こうして石の精、風の精と歌を歌いながら明るく楽しくお掃除をしていれば、ぱほーまんすの練習中との言い訳もたつというものっす」
木賊は楽しい気持ちになって、次の作業に取り掛かった。
書棚の本に虫が湧いている可能性も考えて、窓際で本を一冊ずつパラパラと捲って、いるかもしれない虫と埃を落とす。
何冊目かの本のタイトルに目が留まった。
「えっと、『書いた嘘が一時的に事実になる本』……? ぶれすの力かな? 手が離せぬし【白羽根の見台】に乗せ、周囲の者にもお見せしよう」
【白羽根の見台】に乗ったこの本に目を留めたアイドルたちが面白がっていろいろと書き込んでみたが、これは、この本のストーリーの中だけでデタラメに書いたことでも実現して書き換えられていく、というものだったようだ。
***
未来のカリスマ麻雀アイドル天地 和は、常に麻雀のカッコよさを広めることを念頭に置いている。
屋敷のゲストルームを掃除しながらも、脳内で想像するのは、偉い人が世界を動かす会談をしながら麻雀をしている姿だ。
和は、机や書棚に乗っているものを全部退けておいてから埃をはたきで掃った。
舞い上がった埃が落ち着くまで、部屋の外に出しておいた小物を一つずつ丁寧に拭いて埃を取る。
思いのほかたくさんある小物を掃除しているうちに、部屋の中の埃が落ち着いてきた。
高級な家具は水拭きすると水を吸って傷むと聞いていたので、和は乾いた布で、机と書棚に付いた指紋や埃をきれいに拭き取って磨いていく。
部屋中の家具がピカピカになったら、出しておいた小物を元の場所へ戻す。
和は、ちょっと工夫をして小物をセンス良く並べた。
そして家具と同じようにピカピカに磨いた高級麻雀セットを、さりげなく追加して並べることにした。
箱から牌をいくつか取り出して箱の上にきれいに陳列すると、牌の絵の美しさでお洒落なオブジェのように見える。
麻雀はカッコよく遊んでもらわないと意味がないので、箱の中に遊び方を説明したメモも入れておく。
すっきりきれいになったゲストルームに、燦然と輝く高級麻雀牌。
この部屋に入った人が麻雀を好きになってくれたらいいと願う和だった。
***
ゲストルームに入った死 雲人は、連れてきた【ミニルミマル】に掃除を任せ、自分はあくびをしながら呑気に本を読んでいる。
掃除など面倒くさいし専門外だからと、初めから全くやる気がない。
何気なく書棚を見ていた雲人は、その中からある一冊の本を手に取った。
「おっ、この書籍は……アリスの日記か?」
俄然興味を持って雲人はその本を読みふけった。
本を読みつつ、雲人はぶつぶつと独り言を言っている。
「アリスの餓鬼の頃の写真に、成長した姿、ぐふふ……餓鬼は対象外とは言え、これはこれで見物だな。
ん? これはアリスの秘密に悲劇的な過去……? 何かすごい出来事知ったな。
この悲劇的な過去がありながら、没落。人に吸血せず友好か。これではジジイも不満だろう」
読み終わった雲人がアリスの所に行きこの本を見せた。
すると、これは古い小説で、この屋敷に住むアリスとは全く関係のないフィクションだということがわかったのだった。
雲人はがっかりしたが、アリスをハーレムに加える為に用意しておいた【女神の血】を、アリスにプレゼントした。
ダニなどの虫がいる場合、暗いまま掃除機をかけた方が効果的だと、緑青 木賊は母から聞いたことがあった。
虫は光を当てると床や布団の奥に隠れてしまい、取り除くのが難しくなる。
ネヴァーランドに虫がいるかどうか知らなかったが、木賊は母の教えに従い、くしゃみを覚悟でカーテンを閉めたまま掃除を始めた。
【オルトノーム】を木賊は「石の精」と呼び、石の精に頼んでベッドをぽんぽこと叩いてもらう。
ベッドの奥の埃やダニを浮き上がらせるためだ。
【真夜中のトロイメライ】を用いると、周囲の埃がぶわっと浮き上がる。
見ているだけで鼻がむずむずしてくしゃみが出そう。
なるたけ息をしないよう、埃を吸い込まないよう注意して窓を開けると、新鮮な空気が部屋に入り、木賊は大きく息を吸った。
今度は【オルトシルフィード】=「風の精」を呼んで、窓から外へ向かう風を吹いてもらう。
埃っぽい空気が一気に外へ出て行き、すっきりと気持ちが良い。
「ふふ、楽しく便利な技術っすね」
すっかり気を良くした木賊は、地球での掃除用品のCM曲を口ずさみ、ふと思いついて一人でクスクス笑う。
「いくら人手不足といえ、ふぇすたに依頼なされたということは、あいどる的解決を求めておられるが故のはず。……違うかもだけど。
大叔父殿が早くいらしても、こうして石の精、風の精と歌を歌いながら明るく楽しくお掃除をしていれば、ぱほーまんすの練習中との言い訳もたつというものっす」
木賊は楽しい気持ちになって、次の作業に取り掛かった。
書棚の本に虫が湧いている可能性も考えて、窓際で本を一冊ずつパラパラと捲って、いるかもしれない虫と埃を落とす。
何冊目かの本のタイトルに目が留まった。
「えっと、『書いた嘘が一時的に事実になる本』……? ぶれすの力かな? 手が離せぬし【白羽根の見台】に乗せ、周囲の者にもお見せしよう」
【白羽根の見台】に乗ったこの本に目を留めたアイドルたちが面白がっていろいろと書き込んでみたが、これは、この本のストーリーの中だけでデタラメに書いたことでも実現して書き換えられていく、というものだったようだ。
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未来のカリスマ麻雀アイドル天地 和は、常に麻雀のカッコよさを広めることを念頭に置いている。
屋敷のゲストルームを掃除しながらも、脳内で想像するのは、偉い人が世界を動かす会談をしながら麻雀をしている姿だ。
和は、机や書棚に乗っているものを全部退けておいてから埃をはたきで掃った。
舞い上がった埃が落ち着くまで、部屋の外に出しておいた小物を一つずつ丁寧に拭いて埃を取る。
思いのほかたくさんある小物を掃除しているうちに、部屋の中の埃が落ち着いてきた。
高級な家具は水拭きすると水を吸って傷むと聞いていたので、和は乾いた布で、机と書棚に付いた指紋や埃をきれいに拭き取って磨いていく。
部屋中の家具がピカピカになったら、出しておいた小物を元の場所へ戻す。
和は、ちょっと工夫をして小物をセンス良く並べた。
そして家具と同じようにピカピカに磨いた高級麻雀セットを、さりげなく追加して並べることにした。
箱から牌をいくつか取り出して箱の上にきれいに陳列すると、牌の絵の美しさでお洒落なオブジェのように見える。
麻雀はカッコよく遊んでもらわないと意味がないので、箱の中に遊び方を説明したメモも入れておく。
すっきりきれいになったゲストルームに、燦然と輝く高級麻雀牌。
この部屋に入った人が麻雀を好きになってくれたらいいと願う和だった。
***
ゲストルームに入った死 雲人は、連れてきた【ミニルミマル】に掃除を任せ、自分はあくびをしながら呑気に本を読んでいる。
掃除など面倒くさいし専門外だからと、初めから全くやる気がない。
何気なく書棚を見ていた雲人は、その中からある一冊の本を手に取った。
「おっ、この書籍は……アリスの日記か?」
俄然興味を持って雲人はその本を読みふけった。
本を読みつつ、雲人はぶつぶつと独り言を言っている。
「アリスの餓鬼の頃の写真に、成長した姿、ぐふふ……餓鬼は対象外とは言え、これはこれで見物だな。
ん? これはアリスの秘密に悲劇的な過去……? 何かすごい出来事知ったな。
この悲劇的な過去がありながら、没落。人に吸血せず友好か。これではジジイも不満だろう」
読み終わった雲人がアリスの所に行きこの本を見せた。
すると、これは古い小説で、この屋敷に住むアリスとは全く関係のないフィクションだということがわかったのだった。
雲人はがっかりしたが、アリスをハーレムに加える為に用意しておいた【女神の血】を、アリスにプレゼントした。


