【伯爵令嬢アリスの憂鬱】突然の手紙(第1話/全4話)
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◆エピローグ
まだクロティア・ライハが庭の一角で理想図に近づけようと作業に没頭しているし、別のエリアでは青井星一郎がバラの妖精にやり方を教えてもらいながらバラ園の手入れをしているが、おおむねこの庭はかつての美しさを取り戻していた。
すっきりした庭園の前で、アリスは庭再生に尽力してくれたアイドルたちにお礼を言った。
「皆さん、どうもありがとう。こんなきれいな庭になったのは皆さんのおかげです。これならうるさい大叔父様も文句は言わないと思います」
「アリス様の大叔父様は素晴らしいお考えをお持ちですわ!」
興奮気味の口調でずいっと一歩前に足を踏み出したのは、リーザベル・シュトレーネ。
「確かに最近の吸血鬼の方は貴族としての心持がなっていないとわたくしも思ってました。ノブレスオブリージュ、わたくしの一番好きな言葉です。高貴に過ごすからには責任も持たないとなりません。だからこそ、重用されるのです。きっと大叔父様はそこを考慮にいれた上で厳しくおっしゃっているのでしょう」
一気に捲し立てるリーザベルを、アリスはあっけに取られて見つめている。
まあまあとノーラ・レツェルはリーザベルを軽く宥め、アリスに向いて言った。
「ベルちゃんがこれほど言うのは、それだけ吸血鬼に誇りがあるんだからしょうがないんだよぉ。それより僕は大叔父様とか関係なくアリスちゃんが心配だなぁ……これを機に普段の生活に気を付けてくれるといいなぁ」
「それにしても妖精がムックになってしまう程、此処には手が施されて居なかったのだな」
アーヴェント・ゾネンウンターガングが、元気になって飛び回っているバラの妖精を眺めて、話題を変えるように言った。
「アリスに一つ頼みごとがあるんだが……。他の場所はいい、だがバラの妖精の為にも此処だけは手入れを続けて欲しい。ほんの少し、君ができる範囲だけでも良いんだ。……できるだろうか」
合歓季風華もアーヴェントに続く。
「草木とは注いだ愛だけ美しく応えてくれるもの。お手入れは大変かもしれませんが、私でよければまたお手伝いいたします」
風華の申し出にアーヴェントも力強く頷き
「何かあれば自分も手伝うさ」
とアリスの気が楽になるように励ました。
二人がこれほどアリスに親身になるのは、先頃一緒に異世界カフェを作ってきた茜から繋がる縁を大切に想ってのことだった。
その時、兎多園詩籠が遠慮がちに手を挙げた。
「あの、僕、アリスに提案があるんだけど」
全員の視線が一斉に詩籠に向けられ、少々たじろぎながら詩籠は話し始めた。
「大叔父さんが帰った後で庭がまた荒れないよう、村人さんたちの結婚式やお祭りとかに貸してあげてはどうだろう。代わりに庭の手入れを村人さんたちにお願いするんだ。普段からバラ園を解放したら妖精さんも喜ぶかも……」
「それ、いいね!」
今までアイドルたちの意見を神妙に聞いていたアリスは叫んだ。
「うん、それいいわ~。ここのバラこんなにきれいなんだし、それを利用してイベントに使ってもらうのは全然ありじゃない? そのためだったら手入れを頼めるだろうし、妖精も活気がある方が良いに違いない。うわあ、みんな幸せじゃん! ありがとう、詩籠さん! あなたもしかして天才?」
アリスに手放しで褒められ、赤面する詩籠だ。
…………
……
***
アイドルたちの助けによって、アリスの屋敷と庭は見違えるようにきれいになった。
厳格な大叔父様が来ても、屋敷の様子を見てお仕置きをされることにはならないだろう。
しかし……。
アリスは頭の隅に追いやって忘れていたが、難題はそれだけではなかったのだ……。
――つづく――
まだクロティア・ライハが庭の一角で理想図に近づけようと作業に没頭しているし、別のエリアでは青井星一郎がバラの妖精にやり方を教えてもらいながらバラ園の手入れをしているが、おおむねこの庭はかつての美しさを取り戻していた。
すっきりした庭園の前で、アリスは庭再生に尽力してくれたアイドルたちにお礼を言った。
「皆さん、どうもありがとう。こんなきれいな庭になったのは皆さんのおかげです。これならうるさい大叔父様も文句は言わないと思います」
「アリス様の大叔父様は素晴らしいお考えをお持ちですわ!」
興奮気味の口調でずいっと一歩前に足を踏み出したのは、リーザベル・シュトレーネ。
「確かに最近の吸血鬼の方は貴族としての心持がなっていないとわたくしも思ってました。ノブレスオブリージュ、わたくしの一番好きな言葉です。高貴に過ごすからには責任も持たないとなりません。だからこそ、重用されるのです。きっと大叔父様はそこを考慮にいれた上で厳しくおっしゃっているのでしょう」
一気に捲し立てるリーザベルを、アリスはあっけに取られて見つめている。
まあまあとノーラ・レツェルはリーザベルを軽く宥め、アリスに向いて言った。
「ベルちゃんがこれほど言うのは、それだけ吸血鬼に誇りがあるんだからしょうがないんだよぉ。それより僕は大叔父様とか関係なくアリスちゃんが心配だなぁ……これを機に普段の生活に気を付けてくれるといいなぁ」
「それにしても妖精がムックになってしまう程、此処には手が施されて居なかったのだな」
アーヴェント・ゾネンウンターガングが、元気になって飛び回っているバラの妖精を眺めて、話題を変えるように言った。
「アリスに一つ頼みごとがあるんだが……。他の場所はいい、だがバラの妖精の為にも此処だけは手入れを続けて欲しい。ほんの少し、君ができる範囲だけでも良いんだ。……できるだろうか」
合歓季風華もアーヴェントに続く。
「草木とは注いだ愛だけ美しく応えてくれるもの。お手入れは大変かもしれませんが、私でよければまたお手伝いいたします」
風華の申し出にアーヴェントも力強く頷き
「何かあれば自分も手伝うさ」
とアリスの気が楽になるように励ました。
二人がこれほどアリスに親身になるのは、先頃一緒に異世界カフェを作ってきた茜から繋がる縁を大切に想ってのことだった。
その時、兎多園詩籠が遠慮がちに手を挙げた。
「あの、僕、アリスに提案があるんだけど」
全員の視線が一斉に詩籠に向けられ、少々たじろぎながら詩籠は話し始めた。
「大叔父さんが帰った後で庭がまた荒れないよう、村人さんたちの結婚式やお祭りとかに貸してあげてはどうだろう。代わりに庭の手入れを村人さんたちにお願いするんだ。普段からバラ園を解放したら妖精さんも喜ぶかも……」
「それ、いいね!」
今までアイドルたちの意見を神妙に聞いていたアリスは叫んだ。
「うん、それいいわ~。ここのバラこんなにきれいなんだし、それを利用してイベントに使ってもらうのは全然ありじゃない? そのためだったら手入れを頼めるだろうし、妖精も活気がある方が良いに違いない。うわあ、みんな幸せじゃん! ありがとう、詩籠さん! あなたもしかして天才?」
アリスに手放しで褒められ、赤面する詩籠だ。
…………
……
***
アイドルたちの助けによって、アリスの屋敷と庭は見違えるようにきれいになった。
厳格な大叔父様が来ても、屋敷の様子を見てお仕置きをされることにはならないだろう。
しかし……。
アリスは頭の隅に追いやって忘れていたが、難題はそれだけではなかったのだ……。
――つづく――
担当マスター:浅田 亜芽
担当マスターより
シナリオに参加していただいた皆様に、心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。
楽しんでいただけましたでしょうか。
ページを跨いで登場していただいているキャラクター様もいらっしゃいますので、どうぞページをめくってお読みいただければと思います。
(アクションパートを跨いではおりません)
読み易いようにページ毎に、お名前が初めて出た時に赤字にしています。
いつも称号を大盤振る舞いしている浅田ですが、今回は続き物の第1話ということで、基本的に称号はお出ししない予定でした。
しかし私のプライベートシナリオに初めて参加してくださった方も多く、その方々にのみ贈らせていただきました。
さて、シナリオガイドを書く時にはいろいろなことを予想して書いているのですが、大抵毎回予想を裏切られています。
今回に関して言えば、【2】のパートで「次話以降にも登場する品物を見つける」ことに人気が集中してしまうかも? と予想していたら、なんと【2】が一番少なかったというね。
予想はとかく外れるものです。
ここでちょっと裏話を。
私はネーミングがものすごく苦手で、今回もめちゃめちゃ悩みました。
NPCのアリスとラルフ、初めは「カレンとクリス」にしていたんです。
けれどもカレンは「大和田カレン先生」がNPCとしてすでにいらっしゃるということで、悩みに悩んでアリスに変更しました。
そうすると、少年クリスも変えざるを得ません。
だって、アリスとクリスって一文字違いで紛らわしいじゃないですか?
どうかするとお笑いコンビみたいだし。(それはそれで面白いかもしれませんが)
で、また悩みに悩んでラルフに落ち着いたという訳です。
そんな難産の末に生まれた二人ですが、これからも困難が待ち受けております。
なので皆様に、今後とも可愛がっていただけますと大変嬉しいと思う次第です。
よろしければ次回も是非ご参加くださいませ。お待ちしております。
一度バラのジャムを食べてみたい浅田亜芽でした。
楽しんでいただけましたでしょうか。
ページを跨いで登場していただいているキャラクター様もいらっしゃいますので、どうぞページをめくってお読みいただければと思います。
(アクションパートを跨いではおりません)
読み易いようにページ毎に、お名前が初めて出た時に赤字にしています。
いつも称号を大盤振る舞いしている浅田ですが、今回は続き物の第1話ということで、基本的に称号はお出ししない予定でした。
しかし私のプライベートシナリオに初めて参加してくださった方も多く、その方々にのみ贈らせていただきました。
さて、シナリオガイドを書く時にはいろいろなことを予想して書いているのですが、大抵毎回予想を裏切られています。
今回に関して言えば、【2】のパートで「次話以降にも登場する品物を見つける」ことに人気が集中してしまうかも? と予想していたら、なんと【2】が一番少なかったというね。
予想はとかく外れるものです。
ここでちょっと裏話を。
私はネーミングがものすごく苦手で、今回もめちゃめちゃ悩みました。
NPCのアリスとラルフ、初めは「カレンとクリス」にしていたんです。
けれどもカレンは「大和田カレン先生」がNPCとしてすでにいらっしゃるということで、悩みに悩んでアリスに変更しました。
そうすると、少年クリスも変えざるを得ません。
だって、アリスとクリスって一文字違いで紛らわしいじゃないですか?
どうかするとお笑いコンビみたいだし。(それはそれで面白いかもしれませんが)
で、また悩みに悩んでラルフに落ち着いたという訳です。
そんな難産の末に生まれた二人ですが、これからも困難が待ち受けております。
なので皆様に、今後とも可愛がっていただけますと大変嬉しいと思う次第です。
よろしければ次回も是非ご参加くださいませ。お待ちしております。
一度バラのジャムを食べてみたい浅田亜芽でした。