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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

【シアターオルト】食神都市オーサカ

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【シアターオルト】食神都市オーサカ

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【序幕】プロローグ

「おじいさん、おかゆができましたよ」
 優しい孫娘のよもぎが、病気で寝込んでいるおじいさんに、薄いおかゆを運んできた。

「……すまないねぇ、よもぎ。お前にばかり苦労させて……ごほっ、ごほっ」
 よもぎは、咳き込むおじいさんの背中をさすってやりながら励ます。
「私はちっとも苦労してるなんて思ってませんよ。だから、ちゃんと食べて、早く良くなってくださいね」
「いいや、わしはもう治らない。これは、お前がお食べ……」
「何言ってるんですか。しっかり養生すれば治るって、お医者様もおっしゃってたじゃないですか」

 そこへ、乱暴にふすまを開けて登場したのはよもぎの姉、ナズナ。
「よもぎ、気休めを言うんじゃない。そんなうっすいおかゆなんか食べてたって、じいさんの病は治りはしないさ」
「姉さん! なんてひどいことを……。おじいさんは私たちのたった一人の身内なのに……」
「お前だって、こんなもん食べてちゃあ、治るもんも治らないって思ってるくせに」
「それは……」

 言葉に詰まるよもぎを見て、ナズナはフンと鼻を鳴らした。
「本気でじいさんを治したいって思うんなら、食の使いを食べさせないと」

「「食の使い!?」」
 よもぎとおじいさんは、驚いて同時に叫んだ。

「じいさんの病にはドラゴンサーモンが良いらしいから、私は狩りに行く。お前はそれを料理して、じいさんに食べさせてやりな」

 とは言ったものの、巨大なドラゴンサーモンをナズナ一人で狩るのは到底不可能だ。
 そこでナズナは村人たちに協力を頼み、一緒にドラゴンサーモンを狩りにいくことになった。

 ***

 序幕の間、堀田 小十郎は舞台袖から芝居の様子をじっと見ていた。

 演技にはあまり慣れていない小十郎であったが、全国にオルトアースの各都市を紹介するシアターオルトの企画を意気に感じて、この演劇に参加したのだ。

「オーサカの良きところが伝わるよう、全霊を尽くそう……此度はよろしく頼む」
 律儀な小十郎は隣に立っているアーヴェント・ゾネンウンターガングに話しかけた。

 小十郎と同じく演技に慣れない――というか苦手なアーヴェントも、気持ちは小十郎と同じだ。
「こちらこそよろしく。普段通りに全力で戦えば、それだけで映えるだろう」
 二人は頷き合う。

 序幕が終わって、よもぎとナズナ、おじいさんが舞台袖に引っ込んでくる。

 いよいよドラゴンサーモンを狩りにいく場面の幕開けだ――。
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