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【異世界カフェ・番外編】夏祭り 出張かふぇ

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【異世界カフェ・番外編】夏祭り 出張かふぇ

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◆夏祭りライブ(1)

 睡蓮寺 小夜は、藍と茜が初めて地球に迷い込んで来た時から二人を助けてきた。
 近頃は異世界カフェで何度も双子と交流して親交を深めてきたので、故郷のライブに出たくても出られない二人を、とても気の毒に思っていた。
「でも、二人が危険な目にあう方がもっと嫌だから……」
 賢明にもライブ出演を中止した藍と茜の代わりに、小夜がライブに出演することで、今年の夏祭りを例年以上に盛り上げようと決意した。
 それがきっと、二人の想いを叶えることになると信じている。

 行ったことのない葦原の町の夏祭り。
 例年の盛り上がりがどの程度のものか分からない小夜は、自分ができる最大限のパフォーマンスをして、最高の盛り上がりを提供したいと思った。

「わたし一人で出るより、兄さんにも一緒に出てもらった方が盛り上がるよね……」
 小夜はためらいがちに、兄の睡蓮寺 陽介に協力を頼んだ。

「小夜から手伝って欲しいと言ってくるなんて珍しいと思ったが……話に聞いてた猫の嬢ちゃん達の力になりたいってことか!」
 陽介は驚きと嬉しさが入り混じった表情で小夜の話に耳を傾けていた。
「ったく、いっちょ前に遠慮なんかしやがって……助けがいるなら、どんどん言えよ、小夜!」
 陽介は愛する妹が自分を頼ってくれたことが嬉しくて仕方がない。
「そうだ、小十郎も誘って一緒に出よう!」

 すぐに陽介は幼馴染の堀田 小十郎に連絡を取った。
 小十郎もまた小夜のことを大切にし、守りたいと思っているので、睡蓮寺兄妹との共演を快諾した。
 
「私も陽介と同じで、小夜に助けが必要なら助力は惜しまんよ。その藍と茜という者達には小夜がいつもお世話になっているようだしな」
 小十郎は小夜の頭に優しく手を置いて、言い聞かせるように囁く。
「何より、小夜の歌にはいつも助けられている……私もたまには力にならせてくれ」

 しみじみした空気を、陽介が明るく変えた。
「俺らは小夜の味方だ。そして小夜が二人の力になりたいっていうなら、俺らも全力で力になってやるぜ!」

 ――――――
 ――――

 夏祭り当日。
 
 広場の仮設ステージの裏側で、小夜と陽介、それに小十郎が出番を待っていた。
 三人は円陣を組んで気合を入れる。
 
「この夏祭り……最高に盛り上げてやろう! 幻想演武の演技、観客に魅せてやろうぜ!」
 と陽介が言えば、
「演武こそ我が人生。演武くらいしか能のない私だが、祭りの成功に全霊を尽くそう」
 小十郎が応える。
「藍さん達も夜店で頑張っているから……わたしも頑張らなくちゃ…!」
 緊張を鎮めようと小夜が気持ちを鼓舞した時、出番がやって来た。

 さあ、演武(ライブ)開始だ――

 ステージに登場した小十郎が始まりの口上を述べる。
「この祭りが君達にとって忘れられない良き記憶となるように……幻想演武をここに示す」

 陽介が【≪式神≫万折蝶】で舞台を幻想的に彩ると、客席から歓声が沸き起こった。

 小十郎が、燐光煌く【火焔白鳥】を自在に扱い【大殺陣回し】によるドラマチックな殺陣を開始する。
 殺陣の相手は【酒鬼乱舞】で炎や扇子を操っている陽介と、【朧芸者の符】によって出現した幻の舞芸者だ。
 
 隙の無いしなやかな身のこなしの小十郎は【幸魂霊舞】で光の軌跡を纏い、刀の振りに合わせた【U.ヒートウェーブ】の光の波紋で、観客達に幸福と高揚を届けていく。
 その見事な演武に、陽介は阿吽の呼吸で合わせていった。

 演武が一段落したところで、小夜の歌が始まる。
「陰陽紡ぎて調和と成す……精一杯、歌います。聞いてください、わたしの想いを……」
 小夜は【神供の琴弓】で美しい音色を奏でながら、持ち歌【陰なわたし、陽なわたし】を【奉歌高唱】で心を込めて伸びやかに歌い始めた。
 歌声が光の粒になって、キラキラと舞う。

 心が陰り、落ち込もうと
 きっと、陽光(ひかり)は心(ここ)にある


 小夜の横や後ろでは、小十郎と陽介が歌の妨げにならない程度に演武を再開している。
 小夜も、【天意の舞】や【やんごとなき足運び】で彼らの動きに馴染むように舞う。

 陰と陽、どちらも大事な、わたし自身


 小夜が高らかに歌い終わった。
「祭りの時は楽しまないと、だよ……?」

 小夜のこの言葉をきっかけに、陽介はステージ上に【神通天幕】を展開した。

「さあ、サプライズの時間だぜ!」

 陽介はそう言ってニヤリと笑うと、【グルービィグラフィティ】を発動させた。
 そこに映し出されたのは、なんと、アイドルの衣装を身に着けた藍と茜だった!
 陽介は、「間接的でもやっぱライブに出れた方が嬉しいだろうからな!」と、事前に投影について藍と茜の了承を得ていたのだ。
 陽介の思いやりで夏祭りライブの出演が叶った双子が、のちに感激したことは言うまでもない。

 双子の映像を見た小夜は心底驚いていた。
 陽介はイタズラ心から、小夜にはこのことを黙っていたからだ。
 間接的とはいえ、期せずして双子と共演を果たして感極まった小夜は、手にしていた【神供の琴弓】を、思わず強く爪弾いた。
 【神供の琴弓】から光の矢が何本も放たれ、観客の上に降り注いでいく――。


 透き通った歌声や素晴らしい演武、演出が有機的に作用して、小夜たちのライブは観客の熱狂を呼び起こしたのだった。
 
 
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