イラスト

シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

プロムナードの夜に

リアクション公開中!
  • プロムナードの夜に

リアクション

◆development 音を操る王と女王◆

 ダンスを楽しむフェスタ生達がいる中、曲が終わったタイミングでオーケストラやバンドが演奏している舞台に司会役のフェスタ生が上がった。
「皆さん、ダンスや食事をお楽しみのところお邪魔しまっす!」
 マイクを通しての言葉に、料理を楽しんでいたフェスタ生も、ダンスを楽しんでいたフェスタ生も舞台の方へと注目する。
「さてさて、今日はダンスを楽しむプロムの日ですが、ここはフェスタです! というわけで、ただのダンスパーティーではありません。
 皆さんご存知の通り、ライブもやって盛り上げちゃいまっすよー!」
 司会役の生徒が片手を上に突き出して元気よく言う。
 これに合わせ、会場内のフェスタ生達から拍手や歓声が送られた。
「もちろんライブに合わせてダンスしてもらってOKです。
 ただし、後でキング、またはクイーンを選出する投票を行いますので、きちんと曲は聞いててくださいねー。
 くれぐれも、2人の世界に入りすぎないように!」
 おどけて言う司会役に、会場内からは笑いが起こる。
 中には、ペアの相手と見つめ合って苦笑しているフェスタ生もいるようだ。
 そして、この間にオーケストラやバンドは楽器や椅子を急いで片付け、ライブのために一旦舞台を譲るようだ。
 司会役が注意を引いている間に、慌ただしく1人ずついなくなっていった。
 持ち運びが大変な楽器に関しては、端の方に寄せているようだ。
 さりげなく司会役が後ろを見て、ライブ可能な状態になっていることを確認する。

「さあ、それでは。フェスタのプロムライブ、始まりまっすよー!」
 司会役がそう言って舞台袖に引っ込むと同時に、トップバッターでライブを行う予定のライム リドレーが舞台に上がって来た。
 キングを目指して演じるのは、「Vlam」の曲に合わせたロックダンスだ。
 タイトルになっているVlamとは炎を意味している。
 ライムは、そのタイトルにぴったりの熱く燃える炎のように派手なパフォーマンスを繰り広げていく。
 ヴーロートフラッグを曲に合わせて振り、スタッフジャグリングを行いながらブレイクダンスも組み合わせ、観客達を魅了する。
 ビートフュージョンで曲のリズムを捉え、ジャグリングの様々なテクニックを駆使し、タンブルファイアによる激しいダンスは舞台上が燃え上がっているかのように見せていた。
 途中、ムーン・グラヴィティで浮いて高さも上手く使い、緩急をよりはっきりさせている。
 派手な曲とパフォーマンスに、観客達は完全に見入ってしまう。
 ライムが大技を決める度に会場からは「おおっ」というどよめきの後に拍手が起こる。
 ブレイクダンスとスタッフジャグリングを組み合わせ、その両方をここまでのクオリティで披露できるくらいに練習を積んだライムだからこそ可能なパフォーマンスだと言えるだろう。
 それだけに、観客達もライブに釘付けになっている。
 朝霞 枢もその1人だ。
 パフォーマンスが終わると、大きな拍手と歓声に包まれ、ライムが舞台を下りていく。

 ライムと入れ替わりに舞台に上がるのは、芹沢 葉月だ。
 熱気に包まれるようなライムのライブの直後だが、葉月はまず練習用キーボードをリズミカルに弾き始めた。
 演奏する曲は、「揺れる視線とお月さま」である。
 夜のデートを歌ったこの曲は、前奏部分から既にロマンチックな雰囲気を漂わせている。
 普段の葉月のライブとは違い、プロムでダンスを楽しみたい人達を盛り上げ、会場内のムードを恋人向けにしようという選曲らしい。
 エモーショナルプレイで情感豊かに演奏される曲に合わせ、葉月が歌い始めるとダンスをやめていたフェスタ生達も自然とまたライブに合わせて踊り始めた。
 ブルームミュージックで曲に合った甘い香りや花びらが会場を漂いだすと、ダンスをしているペア達は少しずつ2人の世界に入っていく。
 それ以外の参加者達も、ロマンチックな空気に浸り始めた。
 慈しみの吐息によってそよ風が吹き、甘い香りが全体に行き渡る頃には、オシャレなバーで行われているダンスパーティーを思わせるような、ムーディーなダンスパーティー会場となっていた。
 葉月が歌い終わり、曲も止まると会場にいた全員が急に現実に引き戻され、不思議そうな表情になる。
 そして、数十秒経った頃、葉月が不安を感じ始める直前に大きな拍手が起こったのだった。

 葉月の次に舞台に上がったのは世良 延寿で、登場すると同時にクラリティクライマックスで会場全体を花畑になったかのような演出を行い、自分のライブの世界観をまず表現する。
 これまでのライブで観客達のテンションが上がっているお陰で、最初からクラリティクライマックスが使えたようだ。
 曲が流れてくると、爛漫のクロスコードで華やかさを増し、視線誘導で注目を集めつつダンスを踊り始める。
「せっかくのダンスパーティーなんだから、みんなも一緒に踊ろうよ!」
 ただダンスを披露するだけでなく、プロムの参加者でもある観客達も誘う。
 花をモチーフにした明るい印象の衣装、ポップフラワーを身にまとい、背中にはクラリティアイドルの証とも言える光の翼を生やして、花の妖精のように花畑の中を舞い踊る。
 延寿は幻想的な雰囲気の中、観客達と一緒になって踊り、ダンスを楽しんでいる。
 元々、延寿は踊ることが大好きなので、今日のプロムも心から楽しみにしていたのだ。
 そんな気持ちがダンスにもよく表れていた。
「みんなと一緒に踊るのって、すごく楽しいね!」
 その言葉通り、延寿はとても楽しそうに踊っている。
 曲が終わると、もっと踊っていたかった、と言いたげな表情を一瞬だけ見せ、観客達からの拍手を受けながら名残惜しそうに舞台を下りていった。

 延寿の次にライブを行うのは、ルティア・オルコット合歓季 風華の2人だ。
「久しぶりの舞台ですね、ルティアさん。素敵な舞台にしましょう……!」
「ふふっ…私も、久し振りの舞台…とても楽しみにしていました…。楽しんでいきましょう…!」
 舞台に上がる前、一緒にライブを行うルティアを気遣うように、風華が声をかけていた。
 ルティアは緊張しすぎているような様子もなく、神獣幼生を連れて風華と2人、舞台へ上がっていく。
 ルティアは憧れていたドレス衣装のナイトスカイドレスで夜空のような深い青のイメージだ。
 一方、風華はアンティークピンクとオフホワイトにゴールドの差し色が上品なネムキューティの衣装により、ルティアとは対象的なアンティークピンク、またはオフホワイトのイメージを抱かせる。
 風華も幼生神獣であるオキエルと一緒で、優しく撫でてから舞台に上がった。
「こんばんは…ルティア・オルコット、です…。えっと、精一杯演奏させて頂きますので…よろしくお願いします…」
「こんばんは、ネムキエルこと合歓季風華です。素敵な舞台に立てて光栄です。皆様の楽しい時間づくりの一助になれれば幸いです」
 2人はまず挨拶から入り、丁寧にお辞儀をする。
 つられて観客の何人かもお辞儀を返していた。
 2人と2頭が披露するのは「ノーブルステップ」だ。
 風雅のクロスコードをまとって、エレガンスアティチュードで指先まで動きに気を配る風華に合わせ、魔法の小型オルガンであるエアロボルタティフでの伴奏と、フラッププロローグによる歌い始めをルティアが担当する。
 途中から風華も歌いながら、ネムキエルの心鳴響琴による演奏も行い、曲に深みを与えていく。
 観客達の中には、この竪琴の音色に癒されて眠気を感じたような気がする者もいたようだ。
 最初のサビ部分からは、2頭の神獣幼生も神獣共鳴で加わり、舞台から会場全体へと楽しげな歌声を響かせる。
 2人と2頭の歌声に合わせ、ダンスを踊るフェスタ生達もいた。
 立ったまま、軽く目を閉じてその歌声に聞き入るフェスタ生もいた。
 観客達は、思い思いにルティアと風華のライブを楽しみ、このひとときを楽しんでいるようだ。
 歌が終わり、演奏も終わると2人は舞台に上がった時と同じようにお辞儀をし、観客達からの拍手や歓声を受けたのだった。
「やりましたね、ルティアさん……!」
「はい…とても楽しかったです…! ありがとうございます…!」
 風華とルティアがお互いに労い合うと、神獣幼生も嬉しそうに短く鳴いた。

 ルティア達が舞台を下りると、最後にライブを行う予定の兎多園 詩籠が舞台へ上がる。
 詩籠は黒のタキシードに身を包み、パソコンを使ったPCDJでプロムを盛り上げるつもりのようだ。
「今夜最後のライブは、DJまわすけーきが最高にクールでホットなナンバーをお送りするぜ!」
 フェスタ生達がノリよく歓声を上げて応える。
 詩籠は、まずムーディーなR&Bを流してダンスを促し、曲の繋ぎをベーシックリズムで調整すると、次にハイテンポなヒップホップを流して手拍子で盛り上げる。
 踊っていないフェスタ生達にも、手拍子を促して一体感も出す。
 最後に、この日のために作った詩籠自身の曲、「レッツ・プロム!」をキラーチューンで流し、盛り上げながら生でラップを披露する。
「よう! くだらねぇカースト フェスタにあるか知らねぇけど
 そんなもんはブレイクアウト! 今夜は無礼講!
 恥も捨てていこう 普段の真面目な顔も
 思いきり崩していこう それがプロムナード! だろ? 
 そこの野郎 あそこのイカしたお嬢
 面も腹も突き合わせろ 天までアガってこう
 終わったら真っ直ぐお家に帰ろう なんて言わねーぞ!
 お前ら踊れ! ずっと遊べー!」
 曲が終わると観客達からの大きな拍手を受け、達成感に満たされながら舞台を下りていった。

「さぁ、これでライブは終了です! 投票は今から1時間ほど受け付けまっす!
 その後、30分くらいで集計して発表となりまっす。それまで、再びダンスをお楽しみくださいー」
 司会役が今後の進行を知らせている間、去って行った時と同じようにオーケストラやバンドが再び楽器や椅子を持ってスタンバイしていく。
 1人、自分の場所を忘れたのかあたふたしているメンバーがおり、不思議そうに見ているフェスタ生達に気付くと、照れ笑いして頭をかいてみせていた。
 フェスタ生達もこれを見て小さな笑いが起きたが、すぐに所定の位置について楽器を構えると、少し抜けた雰囲気のおじさんといった感じの人が、一瞬でプロの演奏家の顔に戻る。
 その切り替えの早さに感心したフェスタ生もいたようだ。
 全員の準備が整ったのを確認すると、司会役のフェスタ生が舞台上でマイクを切り、何か短く彼らに声をかけてから舞台を下りていく。
 恐らく、演奏の再開を改めてお願いしていたのだろう。
 こうしてまた演奏が始まり、プロムのダンスパーティーも再開されたのだった。
ページの先頭に戻る