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「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

バレンタインデー大作戦!

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 ♡商品企画とプレゼン

 洋菓子メーカー「モデラート」の会議室で、新商品のプレゼンが行われている。

 ズラッと並んだ商品企画担当者を前にしても、普段から武道で心身を鍛えている緑青 木賊は臆せず堂々としている。
「ちょこれいとの新製品発企に携わらせて頂く緑青木賊っす。ふふ、恋人らの幸せの一助となれるっす?」
「よろしくお願いします。では、考案された商品の説明をしていただけますか?」
 中央の担当者が促す。

「まず見本を」
 木賊が試作品を取り出すと、手元に注目が集まった。
「このはーと型の箱には錠がかけられていて、付属の鍵で開けられるっす」
 こんな風に、と開錠してみせる。
「箱に巻き付いているこの鎖は二本あり、実はぺんだんとちぇーんになってるっす。
 先程の鍵と錠を付けると……二本のぺんだんとに出来て良きかと」
 
 まるでマジックのように木賊の手からペンダント二本が現れると、「おぉっ」と歓声があがった。
 反応の良さに木賊は気を良くする。
「そして箱を開けると……」
 中から淡い色の小さなハート型マシュマロがたくさん溢れ出てきた。
 担当者達は驚きに目を見開いて、動くマシュマロを見守っている。
「このように溢れ出るからくりは、中にみちみちに詰め込んでおいた故っすね」
 出てきたフワフワのマシュマロを箱の蓋に除けておき、木賊は箱の中に残っているものを担当者に示した。
「箱の底には、とびきり甘く赤いはーと型のちょこれいとを入れておくっす」
 ここで木賊は満を持してこの商品のテーマを発表する。
「めっせーじこんせぷとは『一度暴かれては隠しきれない、溢れ出す想いをあなたへ』。ちょこれいとの構成はこれを意識したものっす!」
 力いっぱい言い切ってしまってから、
(じ、自分で言っていて照れる……)
 と視線を泳がす木賊である。
 
「よくわかりました。とても良いアイデアだと思います。しかし、緑青さんのアイドル要素が全く加味されてないようですが」
 痛いところを突かれて口籠る。
「……本気で恋人らの幸せに繋がるようにとばかり考えてしまって」
 赤くなってもごもご言う木賊に、担当者達は心底なごんだ。
「そうですか。ではCMに出演されますか?」
「それはぷろにお任せしたく。ただ、おのこからもおなごからも贈れる印象を与えて頂けると」
「わかりました。CM担当に伝えておきましょう」

 木賊の退室後、担当者たちはこんな会話をしていた。
「彼、いいね!」
「え? あの子、女の子だろ?」
「嘘!? 男じゃないの?」
「???」


 ***


 木賊がプレゼンを終え退室した後、騒々しく飛び込んできたのはジュン・ガルハーツだ。
 後からドライな表情のレキ・ガルハーツが付いて入る。

「んじゃ、オレが考えたチョコのプレゼンするよー!」
 いきなりジュンがノリノリでしゃべり始める。
「オレが作るのはリア充殲滅彈V2……じゃなくて『元気になるボール』!!」
「わあ何それ、命名適当すぎない? もっとバレンタインっぽい何かとかあるだろ」
 解説役に徹しているレキは、ジュンの横で白けた表情でダメ出しをする。
 そんなレキのツッコミを気にも留めず、ジュンはまあるいルミマル型のパッケージを取り出して商品企画担当者たちの方へ突き出した。
 
「この世のリア充全てを怨むような形相のルミマルだぜ! かっけーだろ!」
 唖然とする担当者たち。
「中にどろっどろのチョコが入った水風船みたいなやつでー、憎い……じゃねーや、好きな人にぶつけて、べしゃーってしてやんの!
 ツンデレちゃんにぴったりなこの武器! じゃねーチョコ! へっへっへー! 天才的発明じゃね? 特許が取れる! 不労所得!」
 あまりの勢いに、担当者たちは呑まれっぱなしだ。
 
 横ではレキが皮肉っぽい薄笑いを浮かべて聞いている。
(なんだこのコケまくりな商品説明。ほんと売れなさそうなもの企画してごめんねって、先に謝っておくね。心の中で)

 調子に乗ったジュンが、ばしゃーとかぶちゅーとか擬音炸裂で説明を続けるのを、レキは黙って聞いて頷いておく。
(ま、コンセプトには特に異論は無いよ、面白そうだし)
 担当者も突っ込めばいいのに、言葉を失って何も言えなくなっている。
 それをいいことに、ジュンはますます調子に乗ってしゃべりまくっている。
 
 だんだん飽きてきたレキは、試作品のルミマル型「元気になるボール」を取り上げ、ジュンに言った。
「じゃあ、オレ試しに使ってみていい?」
「おっ、レキ珍しくやる気だなー! いいぜいいぜ……うわっ!」
 返事が終わらないうちにレキは「えいえい」とジュンに投げつけたのだ。
 胸に当たったボールが破裂してジュンの洋服がチョコレートまみれになってしまった。
「怒った?」
「……怒ってねーよ♡ そーゆー商品だろ♡」
 言いながらジュンの頬はひくついている。
(人前なので今回は一応我慢するけど、内心げきおこ!)

 間を開けずレキは「えいえい」と、ジュンの顔面めがけてボールを投げ、またもや命中。
「うわぷっ!」
 顔じゅうにチョコレートがべったりだ。
「怒った?」
 白々しく小首をかしげて尋ねるレキに、さすがにぶちギレてジュンはボールを投げ返しまくった。
「喧嘩売ってんなら買ってやる! このやろー!」

 レキはジュンの攻撃を器用に避けながら逃げ回り、全く無傷で冷静に言い放つ。
「えー、ダメじゃん、最後までちゃんと商品説明しなきゃ」
 レキの余裕綽々の態度に頭が沸騰したジュンは闇雲にボールを投げつけ、
 逃げ回る担当者はパニック、会議室はチョコレートまみれの凄惨な状態になった。
(何だかんだで面白いから、オレはこれでいいけど)
 と、一切チョコのシミを付けずにレキはさっさと帰ってしまった。

 レキに置いてけぼりを食ったジュンは、後でさんざん怒られて掃除させられた挙句、
「あなた方の企画は当社のコンセプトから外れますので、採用できかねます」と、きっちり断られたのだった。
 
 
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