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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

ダンス・イン・ザ・レッド

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ダンス・イン・ザ・レッド

リアクション

 教会に入れば赤い靴の少女、エマを探す必要などなかった。
 彼女は祭壇の前で、バレエのような踊りを踊っている。
 そう認識した瞬間、彼女は赤い絨毯が敷かれた中央の通路を踊りながらこちらに向かってくる。
 一瞬、延寿とエマの目が合う。
 次の瞬間、エマは右脚を高く上げ、延寿に向かって蹴りを入れてくる。

「きゃっ!」

 延寿は驚きで声を上げるも【ハイジャンプ】で宙返りして、エマの蹴りをかわす。
 このままだと彼女が狙われ続けると思ったオリヴィエは
 エマの気を引くために【一筋の光明】と【優美なる威光】で自分を目立たせた。

「ぼんそわー。お嬢さん、僕のことも忘れないで欲しいな」

 虚ろな目がこちらに向けられ、今度はオリヴィエにチョップがとんでくる。
 腕でそれを受け止めながら、【コウモリくん】と一緒に【パフォーミング】でエマの踊りに合わせる。
 延寿もエマの攻撃を避けながら、【プラスアドリブ】で少女やオリヴィエのステップについていく。
 3人の様子を見ていた楢宮 六花たちは祭壇の隅へと移動していた。
 六花は【一筋の光明】で自分を照らし、ハーフウェイカーの翼を広げた。
 3人のステップと息遣いしかない今、六花は大きく息を吸い、【天へ捧げるゴスペル】を
 【フライトシング】のように軽やかに歌いながら身体を揺らす。

「祈りを歌い踊る善き日に
 今日の恵みと明日の幸いを願う
 民らの歌声 天へ昇りて」

 彼女の歌に3人は、踊りながら祭壇へ向かう。
 六花の歌に、クリスも合わせる。

「善き声はまこと 神さえ癒やす
 傷つける者は来るがいい 病める者は来るがいい
 心疲れて割れようと 私の元へと来るがよい
 祈りを(祈りを)歌を(歌を)癒しを(癒しを)救いを(救いを)
 私はもたらす 私は与える 癒しの歌を天へ捧げて」

 最後のフレーズが教会の天井に吸い込まれたとき、エマはその場にぺたりと座り込む。
 クリスは心が浄化されただろうと見たが、念のため、【虹色ショートケーキ】と【ストロベリーティー】を銀のお盆にのせて
 「私とお茶会を」を口ずさむ。

「さあ私と一緒にお茶会をしましょう
 私と貴女とお茶会しましょう
 甘いお菓子の香り漂うところで
 甘い嘘に包まれた苦い真実を食べて?
 たくさん用意したんだからね」

 彼女の歌に合わせてオリヴィエや延寿たちは、教会にあった長椅子をテーブルにし
 【虹色ショートケーキ】や【白雲のパンケーキ】を準備したり
 【ストロベリーティー】を注ぐためのポットを教会内から探し出したりする。

「さあ私と一緒にお茶会をしましょう
 私と貴女とお茶会をしましょう
 香しい紅茶の香り漂う所で
 甘い色情と愛慾と苦い嫉妬を飲んで?
 貴女に合うと思って用意したんだからね!
 さあ私と生と死の狭間でお茶会をしましょうね?」

 歌が終われば、長椅子は木の色を生かしたナチュラルな雰囲気のテーブルへと生まれ変わる。
 白いティーカップにはピンクの薔薇が描かれ、中には真っ赤なストロベリーティー。
 ケーキやパンケーキが乗った皿にもカップと同じ柄が描かれている。

「わあ……」

 エマは完全に心が浄化されたのか、目には光が戻り、テーブルに広げられたお茶やケーキを美味しそうに眺めている。
 オリヴィエは、エマに【ストロベリーティー】を手渡す。

「君の靴みたいな赤い紅茶だから、きっと温まるよ」

「ふふっ、ありがとう」

 笑顔で受け取り、エマは紅茶をひとくち飲む。
 紅茶の温かさと甘酸っぱい味が広がり、彼女はそっと肩の力を抜いた。

「おいしい……」

「それはよかった。ショートケーキとパンケーキもあるから好きなほうを食べて」

「ありがとう」

 紅茶片手に、エマと談笑するアイドルたち。
 話は、エマにとって少し踏み込んだ話題になる。

「ねえ、エマはどうして、ここで踊り続けていたの?」

 延寿の質問に、オリヴィエも紅茶を飲みながら自ら思っていたことを口にする。

「それは僕も気になっていた。もし良ければ聞かせてほしい」

 2人の言葉に、エマはカップを両手で包みながら話し出した。

「私にとってここは初めて自分の踊りを認めてもらえた思い出の場所なの。
 当時はお客さんがたくさんいて緊張したけど
 ステージが終わったときの拍手と歓声が忘れられなくて。
 自信をなくしそうになったときには、ここに来て
 あのときの場景を思い出しながら踊っていたんだ……でも」

 エマが持つカップが震える。

「街イチの座を奪われてから、ライバルを意識しながら練習するけど
 両親は私よりライバルを褒めるようになったの。そのとき思ったんだ。
 自分は何のために踊っているのかって……
 その答えが欲しくてここに来たんだけど……それ以降全く覚えてないの」

 空気が静かになる。
 それを破ったのは、延寿だった。
 彼女は、エマをぎゅっと抱きしめる。

「つらいこと話してくれてありがとう。
 もし私でよければなんだけど……
 何のために踊っているのかっていう答え、一緒に探さない?
 そうすれば、答えが早く見つかるかもしれないよ」

 延寿はエマの心が浄化できたのは、ダンスを踊ることが楽しいと感じたからだと気付いていた。
 でも当の本人はそれに気づいていない。
 楽しいから、好きだから、それに自ら気づいて欲しくて、答えを探すという提案をした。
 彼女の提案に、エマは延寿の右肩に顔を埋めながらうなずく。
 エマは延寿の服を握りしめながら、微かに震えていた。
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