「お菓子はどこかな～」

　静かな森の中で、犬井の楽しそうな声が響く。
　ゾンビ☆パニックに参加していた犬井と猫田は、ゴールするために必要なお菓子を探していた。
　いつどこでゾンビに扮した島民たちが現れるのか気が気でない猫田は、びくびくと体を震わせて周囲を警戒していた。

「あ！　あれお菓子じゃない？」

「バカ！　そんなに大きい声を出したら……」

　お菓子の入った木箱を見つけ、犬井は声を上げた。

　――ガサガサッ。

　その時、二人の背後から草むらの揺れる音が聞こえてきた。
　嫌な気配を感じ取った猫田は、顔を真っ青にしながらもゆっくりと振り返る。

「お菓子を……寄こせぇ……」

「ギャアアアアアアアッ！？」

　目の前にいたゾンビを見て、猫田は奇声を上げる。
　そして、まるで魂が抜けたかのように力を失い、気絶してしまった。

　灯島のハロウィンイベントは、まだまだ始まったばかり。
　どうやら、商店街のほうもイベントで盛り上がっているようだった。