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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

呪いの歌を止めて

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呪いの歌を止めて

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黒い夢を止めて

 
 千夏 水希は目をこらしたが、見えるのは、真っ暗い闇だけだった。目を開いているはずなのに、まるで目を閉じているかのような不思議な感覚に襲われる。
 
 「ここ、どこ? 私、なんで?」 

 闇を切り裂き、悲鳴が聞こえてきた。それはギィギィ! やギャアギャア! ではすまぬような半狂乱の叫びだった。
 
「な! なに?!」

 辺りを見回せども暗くてなにも見えない。頭上に気配を感じ視線を天に移せば、

「あれは……」

 水希の頭上を、無数の小鳥が飛んでいる。小鳥はすべて石でできていた。それは今しがた水希が、南の広間で時計回りに3回まわした石像だった。

「そういえば私、南の隠し部屋に入り、呪いの歌を聞いたんだ。で、失神して……」

 ふわり。目の前に、真っ黒い小鳥が舞い降りた。真っ暗い闇に、真っ黒い小鳥がぼんやりと見えた。
 
「ねえ? ここもしかして、夢の中? 誰の夢? 私? あんた?」

 小鳥は反応せず、ひょいっと水希の肩にのった。

 「ま、どっちでもいっか。ねえあんた、もっと鳴いてみれば? 私は魔女で、プリーストじゃあないけどね。それでもよかったら、聞いてあげるよ?」

 水希の言葉を理解したのか単なる偶然か、小鳥はあの歌を歌い始めた。
 身の内側と、こころの底にある、暗い感情が歌に共鳴しはじめ、水希は苦しみの渦に飲みこまれた。
 
「うぅッ……ん、いいよ? 歌いな? 抜け出せない闇……それが絶望。私は知ってるよ? この感覚、初めてじゃないから、慣れてるから、ふっ、大丈夫」

 水希は苦しみに耐えながら小鳥の頭をなぜる。
 
「あんたはちょっと、私に似てる。思い出は戻ってこない。あのときああしてればっていう後悔をどんなにしても、時は戻らない。なのに考えちゃう。思い出すたびに後悔の闇が涙を生む。悲しいから一番楽しかったことを考え、思い出を振り返り、また、涙を流す……」

 小鳥は歌をやめ、水希の右目をじっと見つめた。じっと、なにかを見透かすように。

「私はもう克服してるよ? だからあんたも、してみない? 克服。次こそはって、進むの。どこかに居場所があると願って、たとえ失敗しても進むの」

 水希は利き手の左手を伸ばし、小鳥を指に乗せた。

「あんたを探してる人がいるんだ。一緒に行ってあげるから、私をこの夢から出してくんない?」
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