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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

ウタウタイの妖精たち~レガーレト・コクーン~

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ウタウタイの妖精たち~レガーレト・コクーン~

リアクション

■歌よ、道を開きたまえ

「奥先輩! さっきの『ある意味ラブストーリーかも』のアカペラ、とても良い歌でした!」
「ありがとう~。急なことでうまく歌えてるか心配だったけど、風花ちゃんにそう言ってもらえて嬉しいよ」
 幼生の神獣、ルアーガと共にやって来た弥久 風花の言葉に、奥 莉緒がホッとした表情を見せた。
「ライブが必要な状況があるかなって思ってこの子と来ましたけど、今がちょうどその時みたいですね! 奥先輩、私とこの子と、一緒に歌いましょう!」
 風花の声に反応するように、ルアーガが一声鳴くとその姿が子犬ほどの大きさから馬ほどの大きさに変化し、風花と莉緒がその上に乗る。ルアーガがふわり、と飛び上がり、『レガーレト・コクーン』を見下ろす形になった。
「風花ちゃん、蔦が!」
 莉緒が指差した先、歌の効力が切れつつあるのか、蔦が風花たちを侵入者と判断して追い出そうと伸びながら迫ってくる。

 さあ扉を開いて その先へ進んでいこう

 風花が歌い出し、間一髪、絡め取られる直前で柱に再び光が宿り、蔦が引いていく。
「ふぅ、ギリギリだったよ~」
「でも、これぞ異世界! って感じで、ちょっと楽しくないですか?」
「う~ん、襲われたりとかはやっぱり怖いけど……。
 そうだね、みんなと一緒なら、大丈夫かな」
 微笑みを見せた莉緒に、風花も一緒になって笑った。
「さあ、まだライブは始まったばかりです。中の調査が一通り済むまで、入り口の維持に務めましょう」
「うん!」
 そして風花と莉緒、ルアーガの三名によるライブが、柱に光を満たしていく――。


 風花と莉緒からバトンを引き継ぐ形で、雨宮 いつきが柱の前に立った。
(柱は中央に1本、周りに6本ですか……。もしかして、中央の1本と周りの6本、それぞれに向けて同時にライブを行ったりしたら、何か起こったりするんでしょうか?)
 そんな好奇心が湧きかけ、いやいや、といつきは首を振る。その『何か』は必ずしもよい結果をもたらすわけではない。人数に余裕があれば備えをすることも出来たかもしれないが、あいにくと人数には余裕がなかった。
(ここでライブをすることで、柱に光を満たすことが出来る。僕たちを追い払おうとしていた蔦も、大人しくなってくれる。
 門番さんに認めてもらえるような、立派なパフォーマンスをしないとですね!)
 いつきが呪文を唱え、空中に半透明の鍵盤を出現させる。その鍵盤を操って音楽を奏でながら、過去を想う歌を紡いでいく。

 今は瓦礫に埋もれた 彼らの栄光は記憶の彼方へ――

 遺跡を守る門番に優しく語りかけるように、包み込むような音色を生み出し、序盤の大人しく物悲しい曲調から徐々に盛り上げていく。
(もしかしたら、この奥に神獣さんが居るのかもしれないのですよね……。どんな方なんでしょう、すごく、ワクワクします……!)
 高揚する気分を歌に乗せ、いつきが魔力を込めた氷の粒を周囲に散らす。次いで小さな火花を起こす魔法でもって、ただ浮かんでいた氷の粒が弾けるようにキラキラと煌く演出を作り出す。
(神獣さんにもこの景色を見てもらえたら、そして僕の歌を聞いてくれたら……)
 自分は変わることが、出来るかもしれない。……そんなちょっとした期待を胸に、いつきが歌を歌い、音楽を奏でていく――。


「わぁ、かわいい~!」
 筒見内 小明が用意してきた動物のぬいぐるみを見て、莉緒が声をあげた。
「ふふ、奥先輩にかわいいって言ってもらえて、よかったです。今日はこの子たちにも協力してもらって、演奏をしたいと思います。
ちなみに……奥先輩は何の動物が好きですか?」
「そうだなぁ……うさぎ、もかわいいけど、やっぱりネコかなぁ……。こたつで丸くなる、が私っぽい気がするんだよねぇ」
「ネコさんかわいいですよね。……じゃあネコさん、いつもは気まぐれだけど今日はちゃんと、演奏頑張りましょうね」
 人形に話しかけながら小明が指揮棒を振ると、座っていたネコがピョコ、と立ち上がり、アコーディオンを持って演奏を始める。他の楽隊員であるロバ、イヌ、ニワトリもそれぞれ楽器を持ち、演奏を始めた。
「奥先輩、準備はいいですか?」
「あ、うん。大丈夫だよ」
「分かりました。……トリックアンドマジック。さぁ皆さん、始めますよ」
 小明が指揮棒を振り、楽隊員の音楽を先導する。その賑やかでありながら、どこか安らげるような旋律に乗っかるように、莉緒が歌を紡いでいく。
(今日は遺跡の入り口を維持するのが目的。長時間のライブになるかもしれませんから、必要以上に速くならないように……)
 小明が首元で輝く首飾りに触れ、テンポが速くなってしまわないように注意しながら指揮をする。そうでありながら盛り上がるべき箇所ではちゃんと動作を大きく取り、楽隊員たちが思い切り演奏出来るように仕向ける。
 観客として佇んでいる柱も、どこか楽しんでいるかのように時折光をパッ、と強くするのであった――。


「皆さん、ライブお疲れさまです。よろしければ、どうぞ」
 ライブを始めてからそれなりの時間が経過した頃、小鈴木 あえかが差し入れを持ってやって来た。
「ありがとう~。ん~美味しい!」
 あえかが持ってきたキイチゴに似た果物は、アイドルにも神獣にも好評だった。
「あえかちゃんもライブしに来たの?」
「いえ、わたしは気になることがあったので、ライブの方はお手伝いをするに留めて、蔦とコミュニケーションを取ろうとしていました」
「蔦と、コミュニケーション?」
 あえかの話を聞いた莉緒の頭に疑問符が浮かぶ。

「ここの蔦ですけど、侵入者の排除が目的ならわざわざ人の姿を取る必要はないと思うんです」
 今は動きを止めている蔦に触れ、あえかが思ったことを口にする。
「確かに……放り投げるだけなら蔦のままでも出来るもんね」
「なので、蔦はきっと特殊なゴーレムさんで、お話だって出来るかも、って思ったんです。
 色々調べてみたんですけど、お話はまだ出来なくて」
「だ、大丈夫なの? そんなに触ったりして、そぉれ! って放り投げられたりしないかな?」
 莉緒の心配する顔に、あえかが安心させるように言う。
「大丈夫だと思います。もしそんな事があってもわたし、飛べますから」
「スタイルの違いだね……私は飛べないし、もし飛べたとしても絶対、落っこちる自信があるよ。
 ……でも、もしお話が出来るなら、してみたいよね。歌ったらこう、活性化するとかで話せるようになったりしないかな?」
 そう口にした莉緒が、アカペラで歌を紡ぐ。歌の流れる中、あえかが蔦へより深く語りかける。
「折角ですから、もっと傍で聞きませんか。お勤めのお邪魔にはならないはずですから」
 すると蔦の一つが人の姿を取り、莉緒とあえかの間に立つと、身体から蔦を伸ばして二人の傍でクイクイ、と動いてみせた。
「……触ってもいいよ、と言っているみたいです」
「そう……みたいだね。じゃあ……」
 おずおずとあえかと莉緒が蔦に触れると、頭に直接言葉のようなものが流れ込んできた。

『いい歌だ。中の者にも聞かせてあげたい。だが中の者は……』

「「……中の者は?」」
 あえかと莉緒が同時に尋ねるが、それ以上声は聞こえてこなかった。その時ちょうど中からの者がやって来て、調査結果の共有のため一度地下二階部分まで集合してもらいたい旨が告げられる。莉緒は頷きつつ、あえかと先程聞いた言葉について振り返る。
「今の、中の人に伝えておいた方がいいよね?」
「そうですね。莉緒さん、お願いできますか?」
「分かった、ちゃんと伝えるね」
 あえかの言葉に莉緒が頷いて、そして二人は合流するため中への道を急ぐ――。
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