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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

珍福満腹にゃーんにゃん

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珍福満腹にゃーんにゃん

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2 超危険!? 猫猫食堂!

 町に漂う香ばしい匂い。
 その正体は三木 里緒菜が作った照り焼きだった。
「居酒屋さんが貸してくれたこの大型七輪、火力が強いですね! すっごく煙が出てます! でもこれなら匂いが遠くまで届くかもしれません!」
 葦原の川で捕れた大きな魚にはみりんと醤油をたっぷり。
 炭火の上で油がじゅうじゅうはねると、その香につられて爆裂猫たちがぞろぞろと集まってきた。
「わわっ! いっぱい来ちゃいました! まだ熱いけど、冷めてから食べてくださいね! それから……これも焼かないと!」
 里緒菜は魚を火から下ろし、猫達が魚に群がっている間に急いで握り飯を網に乗せた。
 すると、のすん、のすん、という重い足音が近づいてきた。
「い~い匂いじゃないか。アタイにも一つ焼いとくれよお姉ちゃん」
 大斑猫は煙の匂いを嗅ぎながらベロリ、と舌なめずりをした。
 その口は握り飯だけでなく、里緒菜を一飲みにしてしまいそうなほど大きかった。
「ど、どうぞ! ここに置きますね!」
 里緒菜は炙った握り飯を皿の上に置くと、食べられないようにすぐにその場を離れた。
 大斑猫は舌先で握り飯をぺろりと舐め、首を傾げた。
「う~ん……味はいいけどちょっと足りないねぇ。コレじゃ腹がいっぱいにならないよ」
「だったらほらほら! 美味しい生餌がここに居るわよ!!」
 大斑猫にそう呼びかけたのは弥久 風花だった。
 近づいてきた風花を見て、大斑猫は「あれまぁ」と目を見開いた。
「アンタ面白い事する子だねぇ。自分からアタイに食べられるつもりなのかい?」
 風花は大斑猫の気を引くために、様々な食品を頭から被っていた。
 その材料は
 缶ジュース(マタタビ入り)
 フェスミルク
 フェスアイス【ルミマル味】

 さらには
 フェス乾パン
 クッキー etc……

 あらゆる食品で着飾った風花はボーンソードを振って大斑猫にアピールした。
「この辺りじゃ食べられない珍しいお菓子よ? 美味しそうでしょ?」
「ニャハハハ! 分かった分かった。じゃあちょいと味見させてもらおうかね」
 大斑猫は甘いお菓子がベッタリと付いた風花の頭をべろん、べろんと舐め始めた。
 すると……。
『はーい、そこの猫止まりなさい。食べるもの他にもあるからその人食べなーい』
『止まれ止まれーっ! お前は包囲されているっ!』
「にゃ?」
 大斑猫の頭上に現れたのは神獣覚醒で巨大化した幼生神獣の「手羽先」。
 そして、その背にはレキ・ガルハーツと兄のジュン・ガルハーツが乗り、フェアリースピーカーで怒鳴っていた。
「猫って小さくてか弱そうな方が可愛いと思うんだけどお前ときたら……まぁいいや。とりあえず、この神獣どう? 手羽先っていうんだけど美味そうじゃない?」
 レキは大斑猫の前に降りると、唐突に手羽先を指差した。
 大斑猫は風花をべろべろ舐めながら「は?」という顔をした。
 舐められている風花は「魚臭い……、すごい生臭い……、早く鎮まってよ……」と呟きながら頑張って耐えている。
 お菓子は大斑猫に舐め取られ、だんだんきれいになってきているようだ。
「その明らかに普通じゃない感じの奴かい?」
 大斑猫はちょっと困った様子で言った。
「美味そうっていうか……あのさ。それってアタイが思うに神様とかソッチ系の……」
「乗ってる兄貴も食っていいから」
「オイ、ちょっと待て!!」
 ジュンは慌てて弟にツッコミを入れた。
 どうやらレキは兄と打ち合わせをしていなかったらしい。
「手伝えってコレかよ?! コラ弟様よ! 手羽先食わせるってお前! それはねぇだろ!」
「うん……そうだねぇ。アタイもこれは流石によしといたほうがいいと……」
 大斑猫は獣の直感で幼生神獣に「ただならぬ何か」を感じたらしい。
 ところがジュンは……。
「手羽先はオレの非常食だろ!」
「にゃぁああ!」
 弟も弟なら兄も兄である。
 大斑猫は思い切りずっこけていた。
「ほら見ろ! デカイ猫がひっくり返っちまったじゃねえか! おいレキ! 呑気に『おさんぽ日和の舞』踊ってんじゃねえよ!」
「だってほら兄貴、これやらないと小さい猫がさぁ」
「にゃ~♪ にゃ~♪」
 爆裂猫達の中にはレキの舞に合わせて踊っているものもいた。
 レキは舞いながら大斑猫の前にやってくると、ルミブレラを差し出した。
「じゃあこっちは? ルミブレラっていうキノコなんだけど」
「うーん……ギリギリこれなら……」
「どんな味?」
「うん。干し椎茸のほうが美味いね、多分(※個人の感想です)
「なるほど。干し椎茸以下か」
「おいそんなのやらなくてもいいだろレキ? ほら、異世界で一番美味かったコレをやるから後でお前もオレ達に何か『おこぼれ』くれよ!」
 ジュンが大斑猫の口の中に カトル・カールをぽいっと投げ込む。 
 風花やジュンのお陰で小腹が若干満たされ、ガルハーツ兄弟のペースに流されためだろうか……。
 大斑猫は何だか落ち着いて来たように見えた。
 どうやら、風花も手羽先も食べられてしまうことは免れそうである。
 そして、そうこうしているうちにライブの準備も整ってきた。
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