スパルタ学校とプラクティス・マッチ!
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リアクション
■歌に巻き込め、筋肉魅力に巻き込め!■
「なんだとっ!?」
吹奏楽部の演奏が終り、盛大な拍手を貰って舞台を降りた宗呂学院生は、対戦相手を見て目を見開いた。
なんといっても、1人である。
「まぁまぁ、なんか話聞いてたら、いつも大変そうだよね。ちょっとゆっくり聞いててよ」
練習用ハンドマイクを手に、兎多園 詩籠はステージに上がる。
歌おうと思っているのはラップである。
(宗呂学院の人も好きなんじゃないかな)
ベーシックリズムで少し早いリズム感を取りながら、アピールも行い、宗呂学院生の、またカメラの眼を惹き付ける。
作詞の基礎をも使い、作詞を行った。
『Yo! Yo! Yo! Yo! 授業開始だ 心して聴けメッセージ
俺がフェスタのラップスタ 講師MC K#G(ケージ)
リズムこそ感じる教材 お前ら生徒縛るボンテージ
喰らわす言葉全て エッセンス詰めソーセージ』
ハンドマイクを持ちながら、観客席の前を歩き、リズムに合わせて左手を振り、全身で弾むようにリズムを取っていく。
(毎日大変そうな彼らにエールも含め)
青春シャウトでの思春期の心を叫びに乗せた熱いアピールをもって、彼の声が遠くまで届く。
『そして重要な問題 覚えとけテメェの名を
どんな厳しいリズム 飲まれ揉まれても尚
いつも見失わず生きろ 正しいさ欲望に素直
講師はMC K#G まだ夢追い人NOW!』
ふっと気付けば、たどたどしいながらも、兎多園の歌にあわせた伴奏が流れてくる。
宗呂学院の生徒だ。
会場が盛り上がる。
兎多園の声が、激しく会場に響き渡る。
2番も歌い、サビを2回繰り返した兎多園から、汗が飛び散り会場は熱狂に包まれた。
宗呂学院生の心を動かし、彼らを巻き添えにした兎多園がもちろん、ミュージックステージを制覇した。
息を整えた兎多園は、観客達と一緒に伴奏してくれた宗呂学院生に感謝の意を込めて頭を下げた。
ポップは軟弱だという学院長に、後でみっちりしごかれたらしいが、彼らは兎多園に「また一緒に」と声をかけていた。
* * *
「あれ? なんか、俺の場合あっちの学校でも頑張れそうな気がする。
いや違う。
フェスタで頑張ると決めたんだから、正攻法で行くぜ」
笑みを見せて鈴木 太郎は自分の筋肉を宗呂学院生に見せる。
「スパルタで鍛えた筋肉を俺に魅せつけてくれ」
「なるほど、見事に鍛えぬいた身体だな。私だって負けんぞ」
鈴木の前に、宗呂学院生の田元が自分の筋肉をさらけ出し、にかっと笑う。
「練習試合だけど、せっかくの機会なんだ。全力でぶつかっていこう」
鈴木は田元を巻き添えにステージへ上がっていく。
ステージに流れるBGM。
ビートフュージョンによる身体に馴染んだBGMによるパフォーマンスを鈴木は行い、田元も音に合わせ身体を動かしていく。
田元を誘導するかのような巧みな技術で、手先で繰り出される鮮やかな一芸を披露し、ステージを、もとい筋肉を、観客達の眼に止まらせていく。
互いの筋肉を重ね合わせ、2人による筋肉アピール。
「お互いを尊重しあうからこそ、良いライブになると俺は信じる。だから、お互いに頑張っていこうぜ」
「同意見だ」
そして、激しくなる2人の筋肉による筋肉の会話。
飛び散る汗、明るいステージの中では一際輝いている。
「なかなか、いい逸材ですな。我が校に欲しい」
「あげませんよ?」
「考えて頂けると嬉しいですな」
わははは! と宗呂院の学長は機嫌よく笑う。
先ほどのミュージックステージは生徒の興味は引くものの、軟弱だとふてくされていたのだ。
なかなか楽しそうだと、木 馬太郎校長は満足げだ。
『筋肉、それは至高の存在。筋肉の世界にようこそ!』
二人の声が響き渡る。
ライブが終った後は、すっかり意気投合した2人。
明るい笑顔で健闘を称えあった所で、真面目な顔でがっしりと。
「もしよかったら普段の鍛え方なんかも教えてくれないか? 俺のやり方も教えるから情報交換しようぜ」
『鈴木 太郎』
『田元 雷鳴』
2人は連絡を交換し合い、わきあいあいと話し込んでいく。
「折角できた縁、これからもいろいろ交流しようぜ」