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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

ファイト島開発記1 上陸

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ファイト島開発記1 上陸

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★    ★    ★

「これは、食べられそうかな?」
 砂浜に打ち上げられている黒い海藻を手に取って、色造空がクンクンと匂いを嗅いで確かめました。
「ねえねえ、こんなのも落ちてたよ♪」
 浅瀬をジャブジャブ進んでいた十和戌光が、両手にかかえるほどのたくさんの海草をかかえてきて色造空や満斗夜に見せました。無駄に色とりどりです。
「毒あったら……大変」
 迂闊に見知らぬ物に触るんじゃないよと満斗夜が十和戌光を叱ります。
「すぐには種類は特定できんな。どのみち、自生している状態じゃないので、いつでも同じ物が取れるというわけでもないし」
 とはいえ、後で干して保存しておけば、食べられる物は食料になるでしょうし、そうでない物も焚きつけぐらいにはなるでしょう。
「おさかなもとれるといいなあ……」
 海の幸てんこ盛りを夢見て、十和戌光がゴックンと生唾を飲み込みます。
 さらに進むと、なぜか灰色と白のジャージ一式を見つけました。
「なんで……こんな物が……」
「誰かに食べられちゃった?」
 訝しむ満斗夜に、十和戌光が怖いことを言います。真実は謎です。とにかく、落ちている物は拾っておきましょう。
「さて、このあたりは地図に書いたと……。もう少し先に進んでみよう」
 だいたい一直線な南の砂浜を地図に書き込むと、色造空が、少し海に出っ張っている岩の岬を指し示しました。
「洞窟とか……あると……素敵……」
 満斗夜も目を輝かせます。
「いっくよー!」
 十和戌光が走りだしました。
 ちょっとゴツゴツした岩場を乗り越えるようにして、東にあった岬を回り込みます。岬のむこう側は、砂ではなく、砂利の海岸が広がっているようでした。
「何か落ちている……いや、倒れている?」
 ホークアイで何かを見つけた色造空が言いました。
「わーい、ひろっちゃおー♪」
 駆け寄っていった十和戌光ですが、また凄い勢いで戻ってきました。
お兄ちゃんとそらおにーちゃんはきちゃダメ!
 そう言うと、さっき拾ったジャージを持ってまた走っていきます。
「何を見つけたんだろう」
「さあ……」
 わけが分からず二人がゆっくりと近づくと、すでに十和戌光によってジャージを着せられた――というか、大事な所にだけ巻きつかされた八上ひかりとノエル・アドラスティアがいました。ノエル・アドラスティアの方は、手足が丸太のように腫れ上がっていますが、八上ひかりの方は全身腫れ上がっていてもはや人間だか風船だか見分けがつきません。おかげでジャージが着せられないのです。しかし、アイドルとして、この姿は致命的です。
「これは……酷い。歌で……癒やさないと……」
 見かねた満斗夜がピクシーソングを歌いだしました。
『アイドルの歌は、すべてを癒やすのです』
 スキャットのような、何かの鳴き声のような歌が満斗夜の口から流れ出します。すると、八上ひかりたちの腫れがスーッと引いていきました。
「あちらに、洞窟があります!」
 満斗夜が歌っている間に周囲を調べていた色造空が、海に面した洞窟らしき物を見つけました。波が、中に入ってはまた出てくるを繰り返しています。
「わーい、しらべてみよー」
 とりあえず、十和戌光が中を覗きましたが、暗くて何も見えません。懐中電灯などはもらえませんでしたので、飛炎を作りだして中へと進ませます。
 踊る炎に洞窟の中が照らし出されましたが、半分水に浸かった洞窟は大して広くはありませんでした。見える所に行き止まりの壁があり、床は水の下です。どうやら、岩が波に削られてできた物のようでした。ザブンとまた大波がやってきて、飛炎が消えてしまいました。また真っ暗で、何も見えなくなります。
「これは、ちょっと使い道がないかな」
 とりあえず、地形と言うことで色造空が地図に書き込みました。
「この人たち……運ぶ」
 まだ気を失っている八上ひかりとノエル・アドラスティアを担いで、三人は戻っていきました。

★    ★    ★

「ゼウス様亡き今(死んでません)、私たちは真剣に真面目に探索を行わなければいけません!」
 先頭に立って歩きながら、アルテミス・カリストが仲間たちを鼓舞しました。
 ここは一発大剣を天に突きあげて気合いを入れたいところですが、上陸前にディレクターに取りあげられてしまいました。後で溶かして道具の材料に使う――かもしれません。
 セブンスフォールからやってきたアルテミス・カリストとしては、剣は没収されるは、鎧はジャージに着替えさせられるはと、騎士として心許ないことこの上もありません。
「やはり、雨風をしのげる場所と言うことで、洞窟が一番秘密めいて心地よい場所だと思います」
 番組の主旨としては、一軒家の拠点を望まれているのでしょうが、そんな物、台風一つで吹っ飛びかねません。どうせ素人が棟梁も呼ばないで作るのですから、土台となる基礎すら作らないことでしょう。そんな本拠地が倒壊したときにこそ、アルテミス・カリストたちが作った秘密基地が、「こんなこともあろうかと……」と登場して脚光を浴びるのです。うーん、なんと素晴らしい。
 アルテミス・カリストが妄想に囚われていると、萩原雅怜が川を見つけました。
「さすがよ、萩原さん。やっぱり水がなければ、人は暮らしていけないものね」
「その通りだよねぇ。水は大事だよ。これを遡っていけば、水源も見つけられるかもしれないしね」
 褒める弥久風花に、萩原雅怜が相づちを打ちました。
「水源に近いような秘境なら、洞窟もあるに違いありません。さあ、レッツらゴーです!」
 進路を川沿いに変更して、アルテミス・カリストたちは高台の方へと進んでいきました。
「火を熾せる材料とかあればいいんだけれど……」
 弥久風花が、乾いた枯れ木や火種になりそうな乾いた苔などを探しますが、さすがに川の近くでは湿った物しか見つかりません。それに、火を熾せたとしても、それを燃え移らせる松明などがなければ使いようがありません。さすがに、ジャージに火をつけたりしたら怒られます。
「まずは、洞窟を見つけてからよ」
 話はそれからだと、アルテミス・カリストは、歩きにくい川原をズンズンと進んでいきました。

★    ★    ★

「雨が降ってきたら、せっかく集めた物も濡れるわよねえ。どこかに、しまえる所があればいいんだけど」
 海岸沿いではなく、内陸の方へとむかって一色緑は進んでいました。
 洞窟とかあれば、特別な手間をかけなくてもそのまま使えるはずです。適度な広さがあって乾燥していれば、温度も一定でしょうから、物を保管するには最適でしょう。できれば、地面に苔とか干し草とかが厚く敷き詰められていれば、最高です。きっと、のんびりと昼寝をすることが……いえいえいえ、倉庫です、倉庫! 倉庫にするのが目的です。本当です。
 とにかく、道なき道――というよりは、なぜかある獣道をかき分けるようにして一色緑は進んでいきました。
 はたして、目指す洞窟は、この島に存在するのでしょうか。
 どう見ても火山ではないので、火山性の洞窟はなさそうですが、どうなんでしょう。
「ふあ~あ。なかなか都合よくは見つからないよねえ」
 アクビまじりに、とにかく先へと進んでいきます。
 道の勾配はだんだんときつくなってきたので、山へ入ったのでしょう。大した高さではありませんが、一応小さくともちゃんとした山のようです。これは、洞窟があるかもしれません。
 とはいえ、地面に空いた縦穴では使い道がありませんから、崖とか岩肌とかを探します。
「やっぱり、洞窟なんてないのかなあ」
 半ば諦めかけたとき、ちょっと涼しい風が頬を撫でました。それを辿ってみると、ありました、ありました、洞窟です。
『だが……』
 ちょっとした段差に露出した岩肌に裂け目があります。ただ、入り口の幅は50センチほどです。奧は暗くてどのくらい深いかは分かりませんが、そこそこはあるような気がします。ただ、洞窟というよりは、裂け目という感じです。しかも、ちょろちょろと水が流れ出しています。これでは、とてもお昼寝の場所には使え――倉庫には使えそうもありません。
「とりあえず、記録して報告かな」
 持ってきたメモに、ここまでの獣道と洞窟の位置を書き記すと、一色緑はいったん戻っていきました。
『メモには「お昼寝に適さず」と書かれていた。いったい、何を探していたのだろうか……』

 
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